DaaSベンダー買収で「Horizon View」が新展開
VMwareのデスクトップ戦略はどう進む? 2014年を予想する
VMwareがDaaSを手掛ける米Desktoneを買収したことは、VDIソリューション「VMware Horizon View」に少なからず影響を及ぼすだろう。今後、Desktone製品とHorizon Viewがどのように調和するかを予想した。
米VMwareは2013年10月中旬に、DaaS(Desktop as a Service)を提供するためのマルチテナント型デスクトップ仮想化プラットフォームを手掛ける米Desktoneの買収と、VDI(仮想デスクトップインフラ)ソリューション「VMware Horizon View 5.3」の機能強化を相次いで発表した。これらの動きは同社の長期的なデスクトップ戦略にとってどのような意味を持つのか。
VMwareは2013年8月最終週に開催した米国でのイベントVMworld 2013 U.S.で、Desktoneとの提携を発表し、その後すぐさま同社を傘下に収めたことになる。その短期的な効果は分かりやすいが、VMwareの主要なデスクトップ仮想化技術であるHorizon Viewへの影響は読みにくい。
われわれデスクトップ仮想化業界の関係者は、VMwareとDesktoneの提携を知ったとき、VMwareとDesktoneが協力して手掛けるDaaS製品と、Horizon Viewの間では、統合は行われないことを理解した。クラウドバースティングや自動化などに関する協業は行われず、共同ブランディング(マーケティング)が展開されるだけとのことだった。それはうなずけた。両製品の技術基盤は非常に異なっており、当時の両社は別々の会社だったからだ。だが、今ではそうした理屈は当てはまらない。DesktoneとVMwareは同じ会社だ。そこで、Desktone製品とHorizon Viewが将来、どのように調和する可能性があるかを予想してみよう。
DesktoneプラットフォームとHorizon View:調和の可能性
DesktoneのDaaS用デスクトップ仮想化プラットフォームは、DaaSプロバイダーが多くの企業をサポートできるように開発された。このプラットフォームのブローカーは非常に先進的であり、多くのプラットフォーム、ゲストOS、プロトコルをサポートする。こうした機能の大部分は、Horizon Viewでは最近まで実現されていなかった。Desktoneプラットフォームでは、米Citrix SystemsのCitrix HDXのサポートが新規顧客には提供されなくなるのではないかとみられるが、どうなるかは分からない。DaaSプロバイダーの側としては、かなりの割合の見込み客に求められる機能を提供し続けることがベストかもしれないが。
かねてよりHorizon Viewの評価が低い点の1つとして、スケーラビリティがある。特に、ブローカーがサポートできるデスクトップ台数の少なさに不満の声が出ている。Desktoneプラットフォームは、VMwareやCitrix Systemsのプロトコルを使用するが、両社の既存のブローカーは使用しない。代わりに、Desktoneは独自のデスクトップブローカーを一から開発した。このブローカーは、多くのユーザーとさまざまなデスクトッププールを含む巨大な環境を想定したものだ。その対応可能な規模を、単一企業に適したレベルに縮小した上で、ユーザーのデスクトップへの接続とその管理を行うための超効率的なバックエンドを企業に提供できたら、と考えてみよう。非常にクールだ。DesktoneプラットフォームとHorizon Viewの組み合わせは、こうした可能性を秘めている。
VMwareのデスクトップ仮想化技術のエキサイティングな新展開
VMwareは、2013年10月中旬にスペインで開催したVMworld 2013 Europeで多くの発表を行い、話題を呼んでいる。しかし、私はVMworldに過去5回参加し、「この会社はすごいことをやっている」と思わされた翌年に、製品がリリースされなかったり、構想とは似ても似つかない出来になったりして、がっかりするという経験をしてきた。今回はどうか。VMwareはVMworld U.S.では少しおとなしかったが、その1カ月半後のVMworld Europeでは、同社のデスクトップ仮想化ソリューションが大きな注目を集めた。
例えば、「VMware Horizon Mirage」は、以前はVDIにインストールすると、リソースを大量に消費する問題があり、物理デスクトップでのみサポートされていたが、パーシステントVDI環境でもサポートされるようになった(ノンパーシステント環境でのサポートは、2014年前半から開始される見通し)。
さらに、NVIDIA GRID技術に加えて多くのGPUを利用できるHorizon View 5.3のvDGA(Virtual Dedicated Graphics Acceleration)機能も素晴らしい。VMwareはVMworld Europeで、ノンパーシステントデスクトップを絶対視する従来の考え方にとらわれず、パーシステントデスクトップのメリットも訴えた。
またVMwareは、Horizon View 5.3の新機能により、ユーザーが基本的に、PCからブローカーを介さずに、IP経由でデスクトップに直接接続できるようになったことも明らかにした。この機能は魅力的な使い方ができる。例えば、Citrix SystemsのRemote PCによる物理デスクトップへのアクセスや、独自の接続ブローカーの作成などだ。さらにこの機能は、DesktoneプラットフォームとHorizonスタックの統合にも利用できる可能性がある。それぞれ独自のブローカーが用意されているが、直接接続を確立するという選択が可能になったからだ。
Horizon View 5.3は、VDI環境でWindows Server OSもサポートするようになった。これは、従来はVMwareの眼中にはなかった機能強化かもしれない。これにより、Horizon Viewを利用する顧客は、エンドユーザー向けにWindows Serverのインスタンスを展開することで、MicrosoftのVDA(Virtual Desktop Access)ライセンシングを打破(穏当に言えば、これに対処)できる。そうすることは、VDAライセンシングを取り巻く理不尽を回避するのに役立つ。「#FixVDA運動」(※)を前進させることにもなるだろう。
※ MicrosoftのVDAライセンシングのさまざまな不当性に注意を促す活動とされている。
今、VMwareの動向をフォローするのはエキサイティングだ。Citrix SystemsはXenDesktop 7とProject Avalonで忙しいが、VMwareは仮想化ベンダーとしては唯一開催した秋の大イベントが功を奏し、勢いに乗っている。Desktoneプラットフォームを含むVMwareの全てのデスクトップ仮想化技術は今後、どのように連携していくのか。それは注視していかなければならないが、2014年はVDI市場にとって非常に興味深い年になろうとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー