サポート終了は未来に踏み出す重要な節目
「Windows XP」が“超長寿OS”となった3つのヒミツ
米Microsoftによるサポートが終了した「Windows XP」。同OSはなぜこれほど長い期間、使われ続けてきたのだろうか。本稿では、大きく3つの理由を説明する。
米Microsoftは2014年4月8日(日本では同4月9日)、「Windows XP」に対するサポートを終了した。近年、デスクトップ環境に求められる要件は、より携帯性・省電力性に優れ、そして恐らくタッチスクリーン機能の付いたデバイスが好まれる傾向に変化している。
加えて、ビジネス活動に必要なコンピューティングパワーは、その相当量がクラウドコンピューティングや高帯域幅のネットワーク接続へと実際的に置き換えられてきた。
Windows XPは企業のIT部門において、なぜこれほど長い期間、使われ続けてきたのだろうか? そこには多くの理由が考えられるが、本稿ではその上位3つを説明する。
企業顧客からの強い影響力
大企業であれ中小企業であれ、先を見越せることを重視する。少なくとも実務レベルでは、現状のままで何とか乗り切ろうとし、大きな変化を最小限にとどめようとする傾向がある。それで業務を確実に遂行できるのであれば、特にそうだ。
Microsoftはこの十数年間、旧式であるものの信頼性の高いWindows XPに対するアップデートを都度提供する一方で、新しいユーザーインタフェース(UI)のデザインやマルチプロセッサ対応の新たなアーキテクチャを模索し、「Windows 8.1」までバージョンを進化させてきた。
一昔前まで、PCの性能競争は激しさを極めていたが、今はそれほどではない。ビジネスの世界では、業務遂行のためにコンピュータを購入し、仕事を達成して報酬を得る。多くの中小企業は、Windows XPを使いながら素早く成熟してきた。また、OSをアップデートしたところで、ワークスタイルに影響もなかった。そういう状況下において、Windows XPを使い続けることは、多くの中小企業にとって理にかなっていた。
Windows XPは、アプリケーションの水平展開に適している。IT技術者にとっては、Windows XPが同一アプリケーションの複数バージョンを実行できることは好ましいものだった。バージョン間の不具合で正しく動作しなくなるという心配はほとんどなかった。たとえ何らかの理由で、一部のアプリケーションの新バージョンが動作しなくなっても、いつでも前のバージョンに戻すことができた。
Windows XPの機能は大きく変化しなかったが、その間にハードウェアのスペックは急速に向上した。
新しいハードウェア
2000年代の中頃から、ハードウェアは大きな飛躍を遂げ、64ビットのマルチコア処理へと急速に移行した。Windows XPは、より高いクロック周波数とより容量の大きいメモリをうまく利用して、こうした新しいマシンでもスムーズに動作した。
Windows XPはその基本設計とUIを変えず、時間の経過とともに安定度を高めていった。これはサポート担当者にとって都合が良かった。トラブルが発生するケースは十分に文書化され、修正プログラムは容易に入手できたため、Windows XPの問題を修正する方法を誰もが知っていた。
ハードウェアの能力は、この6、7年の間で行きつくところまで行った感がある。3.0GHzのクロック周波数や、8GバイトのRAMに感動する人はあまりいなくなった。企業と経営者が望むのは、安定性と高い費用対効果だ。これはハードウェアを購入し、問題なく業務をこなせる限り、使い続けることを意味する。ハードウェアは既に、十分に高速で信頼性も高いレベルにまで進化してきたのだ。
5年前、企業はPCのリプレースサイクルを長くできる可能性に気が付いた。マシンの品質は絶えず向上しているように見えたし、Windows XPは根本的に変わらなかったからだ。
残念ながら、世界経済は2008年に急落し、いまだに完全な回復には至っていない。企業規模の縮小は続き、予算は削減され、誰もが倹約を迫られている。そうした状況の中、当然のことながら、多くの企業は、最新のハードウェアとそのマシンに載せる新しいWindowsの購入をさらに先送りしてきた。
楽をしてもうける
Microsoftは数年前に、誰もが常に最新で最も素晴らしい製品を望むわけではないことを理解したようだ。ビジネスユーザーはとりわけ、信頼性が高く、再現性のある結果を求めていた。予想外のことは望まなかった。
このように、壊れていないものに手当が必要だろうか? また、Windows XPと完全に減価償却済みのデスクトップは今でも仕事をこなしている。こんな良い状況を手放す理由があるだろうか?
さらに、「Microsoft Office」がOSと完璧に調和して動いていた。このことは、Windows XPの寿命の長さを裏付けるもう1つの理由だった。確かに、長年にわたって、何度かアップグレードが行われたが、10年前に使っていたOfficeアプリケーションは、今日にでもかなり効果的に使うことができる。
次に来るもの
企業は現在、ある種のコンピューティングの課題に直面している。ハードウェアをアップグレードし、業者からより新しいバージョンのWindowsを導入するか、あるいは、Microsoftの公式サポートなしで、ハードウェアが動かなくなるまでWindows XPに固執するかの選択だ。
従来の固定化されたデスクトップシステムから離れ、移行するための手段として、多くの企業がタブレットやスマートフォンをベースとしたアプリを検討しているだろう。BYOD(私物端末の業務利用)制度の導入には、多くの利点があるが、危惧もある。この動向に対する市場の反応は、特に、標準的な事務所の中でのコンピュータ作業、POS(販売情報管理システム)アプリケーション、ATM(自動預金受払機)のようなシステムの分野では、まだまだ定まっていないようだ。
個人的な意見だが、Windows 8には少し失望させられた。UIが複雑過ぎるし、使わないオプションがあまりにも多い。そして、何かがいきなり起きる。操作が正しかったのかどうか、エラーが発生しているのかどうかが分かるような説明が欲しい。長い待ち時間の一部を、Windows 8が何をしているかを推測することに費やさなければならない。
こうして、企業がWindows XPから離れ、新しいバージョンのWindowsへ移っていくという、とても興味深い時期が訪れようとしている。私の予想では、多くの企業がクラウドに接続するタブレットやスマートフォンへの展開を成功させる一方で、一部の企業はLinuxまたは米Appleのノートブックを選択するだろう。
Windows XPのサポート終了は、テクノロジーが容赦なく進展していく途上、われわれが未来に向かっての一歩を踏み出す上での重要な節目の1つだ。
本稿筆者のロブ・ライリー氏は独立コンサルタント。クライアントは民間部門、スモールビジネス、テクノロジー系メディアで、講演も行う。またライターとして、Linux、オープンソース、モノのインターネット(IoT)、メイカームーブメント、ITキャリア開発に関する分析やハウツー記事を執筆している。
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