既存のセキュリティ製品だけでは不十分
Windows XPサポート終了、まだリスクを分かっていない人のための処方箋
Windows XPのサポート終了はもう語り尽くされた感がある。だが、中小企業に対しては事情が異なっている。サポート終了後のリスクについて、多くの中小企業がまだ気付いていないのだ。
「Windows XP」のサポート終了については、語り尽くされたと筆者は思っていた。ただ気掛かりなのは、中小企業で社内IT環境の管理を担当している人たちのことだ。
いまだに至るところでWindows XPを搭載したPCを見掛ける。大企業ではない。大企業での利用は急速に減っている。だが、中小企業ではそうはいかない。新しいハードウェアを購入するわけでもなく、費用を掛けられないなりに何とかしようとする姿勢も見えない。このままでは放置された脆弱性が、自社にとって大きなリスクになることに、全く気付いていないのだ。
そんな中小企業の多くでは、問題の対処を外部のIT業者に任せている。その業者が、システムの更改が今すぐに必要であることをクライアント企業にきちんと報告していない。彼らにはIT担当者としての責務があるはずだ。さらにいえば、更改作業によってIT業者の収入増にもつながる。
中小企業は、先見性のあるアイデアを持っていることが多い。アプリケーションを「Windows Server 2003 Terminal Services」に移行することによって、アプリケーション互換性に関する問題を部分的に解決した企業もある。少なくとも、あと1年3カ月の時間を稼いだことになる。ただ、その後、IT担当が1人だけの体制では、作業をこなしきれず、悲鳴を上げるだろう。FUD(恐れ、不確実、疑い)と捉える向きもあるだろうが、Windows XPのサポートが終了する前にこうした体制を改善しなければ、それによって背負う将来のリスクはあまりに大きく、無視できるものではない。
混乱に拍車を掛けるMicrosoft
ところがここにきて、米MicrosoftはWindows XP向けマルウェア対策の定義ファイルの更新を、2015年7月14日(Windows Server 2003のサポート終了予定日)まで継続すると発表した。これが、Windows XPの移行対策に乗り遅れた人々に「まだ時間があるじゃないか」という誤った希望を抱かせている。
実際には、Windows XPは2014年4月8日(日本では同4月9日)にMicrosoftによるサポートが終了する。それ以降、Windows XPの脆弱性はゼロデイ攻撃に晒されることになる。Microsoftはセキュリティパッチを公開しない。アンチウイルスおよびマルウェア対策の定義ファイルだけでは、セキュリティ製品として十分とは言い難い(それでも、これが唯一のセキュリティ製品となれば、最善にして最悪の選択なので、使うことになるだろう)。
Windows XPサポート終了後の問題について注意を喚起するためには、IT業者がクライアント企業に現状を伝えるだけでなく、MicrosoftとPCメーカーにも、もっとできることがあるはずだ(筆者が推測するに、小さい会社のオーナーでTechNetブログ《※注》を読んでいる人の数は多くない)。幅広い層の訪問者がアクセスするWebサイトでオンラインマーケティングを実施したり、思い切ってテレビコマーシャルを打つのも効果的だろう。
例えば、毎年全米で大きな注目を集める、アメリカンフットボールのスーパーボウルのテレビ中継で、こんなテレビCMを流してはどうだっただろう。何かが爆発する映像に「4月8日、この日から毎日がゼロデイになる」という不気味な声のアナウンスを乗せ、続けて米Dell、米HP、中国Lenovoなどの最新機種のテレビCMを流すのだ。
注:TechNetとは、Microsoftがシステム管理者向けに技術情報などを提供するサービス
Desktop as a Service(DaaS)サービスの事業者も、この機会を捉えることができるだろう。特にサーバベースのコンピューティングを運用している企業には有効だ(仮想デスクトップインフラとは対照的である)。デスクトップの導入と管理をサービス事業者に委託をしてくれそうな見込み客として中小企業はこの上ない。ただ、中小企業に仮想デスクトップインフラ(VDI)を売り込むのは、まだハードルが高い。ライセンスの費用がかさむし、デスクトップOSに対応している手頃な価格のマルチテナントソリューションがないからだ。だが、サーバベースのコンピューティングなら中小企業でも問題ない。米Amazonは、こうしたDaaS製品を扱う絶好の位置にいる。
無論、ここまでの提案に現実性はない。どれも、多くの契約を交わさなければ実現できないからだ。だとすれば、Windows XPサポート終了対策の必要性を訴える責任は、なおさらIT担当者と業者の肩に掛かっている。多くの場合、この目的を果たすのに高度な技術は不要だ。単に古いデスクトップを新しいものと交換すればいいことだが、今は数年前にはなかった、作業を容易にするためのテクノロジーも利用できる。
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