MicrosoftはWindows XPのサポート終了後も、ウイルス対策ソフトのXP向けアップデート配信は続けると表明。サードパーティーのメーカーも多くがサポートを継続する方針だ。
米Microsoftは2014年1月15日(米国時間)、Windows XPのサポートを2014年4月に終了した後も、マルウェア対策ソフト「Security Essentials」のWindows XP向けアップデートの配信は続けると発表した。
同社マルウェア対策センターチームはブログでサポート延長について説明し、「組織の移行完了を支援するため、MicrosoftはWindows XPユーザー向けのウイルス定義ファイルとエンジンのアップデート提供を、2015年7月14日まで継続する」とした。
この対応は、XPの全てのサポートを2014年で終了するというMicrosoftの決定を覆すものだ。これにより平均的なWindows XPユーザーは、同社のSecurity Essentialsを使っていれば新しい定義ファイルを受け取れることになる。一方、まだXPからの移行を済ませていない企業向けには、「System Center Endpoint Protection」「Forefront Client Security」「Forefront Endpoint Protection」「Windows Intune」といったMicrosoft製セキュリティ製品のアップデートが、少なくとも2015年まで提供される。
米調査会社Net Applicationsの統計によると、Windows XPの市場シェアは30%を切るところまで落ち込んだ。それでもまだ相当のシェアを握っていることから、米Googleと米MozillaはそれぞれのWebブラウザについて、XP対応のアップデートの提供を少なくとも2015年いっぱいは継続すると表明。サードパーティーのウイルス対策ソフトメーカーも多くが、XP自体のサポート終了後もXPユーザー向けのサポートは続けると表明している。
Microsoftは、あと3カ月を切ったXPのサポート終了日に影響はないと強調している。同社はこれまで企業やユーザーに対し、XPからもっとセキュアなバージョンのWindowsに切り替えるよう促してきた。
Microsoftのマルウェア対策センターチームは、「われわれの調査によれば、サポート切れのOSでマルウェア対策製品を使った場合の効果は限定的だ。手堅い防御策を取るということは、現代の脅威の状況からの防御を意図した最新のソフトウェアとハードウェアを使うことから始まる」と強調する。
Security Essentialsのアップデートの提供は、XPマシンへのマルウェア感染を防ぐ一助にはなるかもしれない。だがここ数年、Microsoftのウイルス対策ソフトの効果を疑問視する見方もあり、セキュリティ製品評価を行うドイツの第三者機関AV-TESTがまとめた家庭用ウイルス対策ソフトのランキングでは、Security Essentialsは常に最下位にランクされている。AV-TESTは2013年7月、「保護」部門でSecurity Essentialsに最低スコアを付けた。これに対してMicrosoftは以前、こうした結果は実世界の実力を反映していないと反論していた。
Security Essentialsの実力に関する意見はともかく、XPユーザーがたとえサードパーティーのウイルス対策製品を選んだとしても安全は確保できないと、セキュリティ製品の検証を行っている米NSS Labsの調査担当副社長ケン・ベイラー氏は言う。同氏は金融マルウェアの最新動向について詳しく解説した最近の報告書の中で、マルウェア作者が利用する機能はますます高度化していると指摘した。
特に、攻撃者が一度の攻撃で少しずつ違ったマルウェアの変種を数百種類も繰り出せるようになったことは、定義ファイルを使ったウイルス対策ソフトにとって大きな打撃だと同氏は述べ、次のように解説している。
「(従来型のウイルス対策ソフトは)ほとんど使い物にならない。ユーザーがまだそれを使い続けている理由は2つしかない。1つはコンプライアンス上の理由で、何らかの監査を受ける場合にウイルス対策ソフトがなければ、ひどく見てくれが悪い。もう1つの理由として、古いマルウェアの検出には優れている。だが標的型マルウェアから真に身を守りたければ、これでは役に立たない」
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