あらためて考えたい「Windows 8は本当に必要か?」導入判断の決め手は、タッチスクリーン機能の必要性

Windows 8を早期に導入する企業は、ユーザーインタフェース(UI)が大々的に変更されていることを踏まえて、ユーザーのトレーニング計画を立てる必要があるかもしれない。

2012年10月25日 08時00分 公開
[Stuart J. Johnston,TechTarget]

 Windows 8のトレーニングは、WindowsのUIに慣れ親しんだ数百万人のビジネスユーザーに多大な労力を課し、IT部門には多額の費用をつぎ込ませることになる可能性がある。

 Windowsのライセンスに詳しいコンサルティング会社の米Pica Communications 主席コンサルタントのポール・デグルート氏は、「トレーニングコースの費用と、トレーニングによって失われる従業員の実働時間を考えると、従業員1人当たりのコストは1日当たり400ドルを軽く超える可能性がある」という。

 米ベルビューカレッジでコンピュータインストラクターをしているカール・フォン・パップ氏も、「Windows 8のUIは何もかもが変わってしまった」と話す。Windows 8 β版のテストも担当している同氏は、「ユーザーにはかなりの学習が必要になる」と断言する。

 Windows 8のUIは従来のスタート画面に代わり、デスクトップアイコンがタイル型に並ぶ「Modern」と呼ばれるタッチ操作対応画面になった。2012年8月までは「Metro」と呼ばれていたUIだ。従来のWindowsの外観に近いデスクトップモードも用意されているが、この2つのUIの切り替えに慣れるまで多少時間が必要かもしれない。

抜本的に変わってしまったWindows 8のUI

 米サンアントニオ腎臓病センターでは、Windows 8へのアップグレードをすぐには行わない予定だ。同センターでIT管理者を務めるフィリップ・L・モヤ・ジュニア氏は、「恐らく2013年になるが、アップグレードをしたら、外部のトレーニングを利用するのではなく、エンドユーザー同士の非公式なトレーニングを奨励する」という。「待っていれば、ユーザーが家でWindows 8を使い始めるだろう」という期待からだ。

 また、アップグレードするにしても、古くなったWindows XPのPCを、時間をかけて徐々にWindows 8に置き換える予定だという。「抜本的に変わっているので、導入には時間をかけ、厳しく検証をする」(モヤ氏)

 なお、OS移行に伴い、システム管理者やヘルプデスク担当者のためのトレーニング費用も必要になるが、Microsoftのパートナーが提供する5日間のコースを利用した場合、2500ドル以上になる可能性がある。このようなパートナー企業は、マイクロソフト認定テクノロジースペシャリスト(MCTS)と、マイクロソフト認定ITプロフェッショナル(MCITP)の試験も提供するが、これらの認定資格の費用は最低でも約150ドルとなっている。

大きな疑問符が付くWindows 8の必要性

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

市場調査・トレンド SUSE ソフトウエア ソリューションズ ジャパン株式会社

ベンダー依存から脱却、柔軟かつ統合的なLinux環境を構築する方法とは?

エンタープライズ向け技術は、Linuxを中核に据え、オープンソースで動作しているものが多い。しかし近年、一部のベンダーが契約による囲い込みを強めており、ベンダーロックインのリスクが高まっている。安定したLinux運用を実現するには?

製品資料 株式会社野村総合研究所

運用効率化に欠かせないITSMツール、ノンカスタマイズが正解とは限らない?

ITサービスへの要求は年々増大しており、その対応を手作業でカバーするには限界がある。そこで導入されるのがITSMツールだが、特に自動化機能には注意が必要だ。自社に適した運用自動化や作業効率化を実現できるのか、しっかり吟味したい。

製品レビュー 株式会社クレオ

現場でカスタマイズ可能なITシステム、コストと時間をかけずに実現する方法とは

業務効率を高めて生産性を向上させるために、多くの企業がITシステムの導入を進めている。しかし、自社の業務に合わないITシステムを導入してしまっては、逆に生産性が低下する可能性も高い。この問題をどう解決すればよいのだろうか。

製品レビュー グーグル合同会社

重要なエンドポイントを守る、Chromeブラウザを企業向けに安全性を強化する方法

世界中で広く利用されているChromeブラウザは、業務における重要なエンドポイントとなっているため、強固なセキュリティが必要となる。そこでChromeブラウザを起点に、企業が安全にWebへのアクセスポイントを確立する方法を紹介する。

製品資料 グーグル合同会社

Chromeの拡張機能:企業における今求められる管理戦略とは

Google Chromeの拡張機能は生産性の向上に不可欠な機能であり、ユーザーが独自にインストールできる一方、IT管理者を悩ませている。ユーザーデータを保護するためにも、効率的な運用・監視が求められるが、どのように実現すればよいのか。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。