2012年10月10日 08時00分 公開
特集/連載

Windows 8のダウングレード権では解消しない、MSの焦りと企業の不安Windows 7のシェアはいまだ拡大中

Windows 8の導入を検討しているIT担当者にとって、ダウングレード権は魅力的なセーフティネットだ。だが、それで導入に二の足を踏む全ての要因が解消されるわけではない。

[Stuart J. Johnston,TechTarget]

 米MicrosoftはOEMメーカーによるダウングレード権の提供を認める方針だ。ダウングレード権があれば、ユーザーはWindows 7が付属した新しいPCを購入できる。Windows 8はタッチスクリーン機能とタイル式インタフェースを採用しているため、これまでのWindowsとはユーザーエクスペリエンスが非常に異なる。Microsoftとしては、使い慣れたWindows 7へのダウングレード権を提供することで、ビジネスユーザーの不安を払拭したいのだろう。

 国際的なコンサルティング会社、米The Kapoor Groupの会長兼経営責任者を務めるアジット・カプール氏は、「ユーザーは、まずWindows 8に移行する価値があるのかどうかを考えることが重要だ。Windows 7ではできなかったこと、新たにできるようになることは何かを考える必要がある」と指摘する。

ダウングレード権はWindows 8浸透の決め手になるか

 米国の国際保険会社でインフラストラクチャアーキテクトを務めるマイク・ネルソン氏は、「IT担当者からすると、ダウングレード権があればWindows 8を採用しやすくなる」と言う。

 「IT担当者がWindows 8へのアップグレードで神経をとがらすのは、アプリケーションの互換性とハードウェア要件、スケーラビリティだ。このうち2つで問題が発生した場合、ダウングレード権があればライセンスを気にせずに後戻りできる」

 しかし、他のITプロフェッショナルや専門家らは、現在もシェア拡大中のWindows 7からWindows 8へのアップグレードに踏み切るには、もう少し説得力のある材料が欲しいようだ。

 法人コンサルティング企業の米Pund-IT 主席アナリストのチャールズ・キング氏は、「決め手は、Windows 8搭載のハードウェアによってパフォーマンスが大幅に上がるかどうかだ」と話す。

 しかし、たとえIT部門が納得できるパフォーマンスが得られても、一夜にしてWindows 8にアップグレードできるわけではない。多くの場合、OSアップグレードの計画には半年から1年、場合によってはそれ以上の時間を要する。アップグレードにはユーザーの再教育やアプリケーションのテスト、デバイスドライバの互換性テストなど、さまざまなステップが必要になるためだ。

 先のカプール氏は、「Windows 8の外観は大幅に変更されているため、企業が直ちにユーザーの再教育を始めることはないだろう」と指摘する。「最終的にWindows 8がデスクトップ分野で成功を収めるとしても、この成功はユーザーのペースでもたらされる。Microsoftの都合に合わせて進むわけではない」

 また、企業では最初のサービスパックが出るまで、Windowsのアップグレードを保留する例が多い。MicrosoftはWindows 8 Service Pack 1(SP1)のリリース時期を明かしていないが、Windows 7の場合、SP1が出されたのは初期リリースから1年4カ月後の2011年2月だった。

 Microsoftは2012年8月初旬にWindows 8のコードをメーカーに渡しており、Windows 8搭載システムの販売は、2012年10月26日に解禁される予定。OEM最大手の米Hewlett-Packardと米Dellはコメントを控えているが、両社とも解禁日にWindows 8搭載PCをリリースするとみられる。なお、Windows 8のダウングレード権を得るには、Windows 8 Proを購入する必要がある。

卒業の時を迎えたWindows XP

 米Web分析会社のNet Applicationsによると、2012年8月、Windows 7の市場シェアがついにWindows XPを抜いた。現在、デスクトップOS市場において、Windows 7は42.8%、Windows XPは42.5%。Windows OSの中では Windows Vistaが6.2%で最下位となった。XPとVistaのシェアは縮小傾向だが、Windows 7は拡大しているという。調査会社の米Directions on Microsoft ロブ・ホロウィッツ氏は、「Windows新バージョンへのユーザーの移行準備が整うまで、企業は新規PCの購入を見合わせようとするだろう」と話す。

一方、Windows XPの運用を継続したいユーザーに対して、専門家は「卒業の時が来た」と指摘する。Windows XPの初版がリリースされたのは2001年10月。今では更新もされず、ダウングレードの対象にもなっていない。サポートも2014年4月に全面的に終了する。

 Windowsのライセンスに詳しい、米Pica Communicationsの主席コンサルタント ポール・デグルート氏は、「今後1年半以内に Windows XPから完全に移行する必要があるが、Windows 8 SP1のリリースを待ってからWindows 8の導入を計画、実行するのでは間に合わない」と、警鐘を鳴らしている。

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