Windows 8のプロモーション開始は、ユーザーのWindows 7移行にブレーキをかけかねない危険な賭けだった。Microsoftは、なぜこのリスクを冒してWindows 8の発表を急いだのだろうか?
米Microsoftが2011年6月に、そしてその翌月の半ばにWorldwide Partner Conference(WPC)で次期OS「Windows 8」のプロモーションを始めたことについては驚きの声も上がった。しかし、同社には1年以上も前から製品の売り込みを始める十分な理由がある。企業ユーザーからEnterprise Agreement(EA)の契約を獲得し続ける必要があるのだ。
多くのユーザーが、有効期間内に新しいメジャーアップデートがリリースされる保証なしに、この高価な3年契約のボリュームライセンス契約を更新することに強い抵抗を感じている。そこで、MicrosoftはWindows 8クライアントを披露し、その翌月にはWindows 8サーバのベールをはぐことで、料金に見合うものが提供されるというメッセージを企業ユーザーに伝えている。
しかし、過去の実績から、依然としてMicrosoftがこの約束を果たすことに一部のITベンダーは懐疑的だ。
あるITコンサルティング会社の匿名希望の取締役は、「Microsoftは、OSという稼ぎ頭の威力が急激に衰えることを懸念しているはずだ。EAの契約更新を取り付けることは、生き延びる手段の1つだ。また、EAの料金を正当化するのが難しくなっているのも確かだ」と話す。
一部のアナリストも、これはMicrosoftが手遅れにならないうちに対応しなければならない緊急事項だと考えている。米コンサルティング会社Pica Communicationsの主席アナリストであるポール・デグルート氏によると、不況の影響を受けた多くの企業が契約更新を渋っているという。
「EAは通常3年契約なので、毎年約33%が更新を行う。また、更新件数が最も多いのは6月30日が期末のMicrosoftの第4四半期だ」とデグルート氏は説明する。デグルート氏の試算では、Microsoftの2011年度のEAの歳入は80億ドルを超えるという。
「EAが苦境に立てば、Microsoftも苦境に立つ」とデグルート氏は話す。
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