Windows 7移行に伴うOfficeデータ改変が法令違反に?企業デスクトップをWindows 7に移行するための5つのポイント(前編)

SP1のリリースで本格化した企業のWindows 7移行。これを確実に成功させる5つの重要なポイントのうち、前編では最初の2つを紹介する。安易な移行は法令違反を誘発する可能性があるので要注意だ。

2011年03月10日 11時00分 公開
[Lucian Lipinsky de Orlov,TechTarget]

 Windows 7 SP1(参考:機能強化なしでもWindows 7 SP1が重要である理由)のリリースにより、企業のWindows 7移行も本格化してきた。

 本稿では、エンタープライズデスクトップをWindows 7に移行する上で重要となる5つのポイントについて解説する。今回は、一見地味ではあるが事前にしっかりと検討・準備をしておくことで後の工程に大きく影響する2つのポイントを紹介する。

1. インベントリ情報の収集:現在の社内資源を把握する

 Windows 7への移行作業がどの程度の労力を必要とするのかを知らなければ、プロジェクトの成功はおぼつかない。どの程度の労力を投入できるかによって、プロジェクトのスケジュール、アプリケーション修正の期間、パッケージングチームの規模、必要とされるテストなどが決まる。

 このため、全てのエンタープライズアプリケーションおよび既存のハードウェアのインベントリについて、できる限り詳細な情報を収集する必要がある。主な対象はデスクトップアプリケーションだが、メインフレームやサーバ用の多数のアプリケーションもPC用アプリケーションが動かなくなると影響を受ける可能性がある。また、あらゆるデスクトップのハードウェアを把握することが、Windows 7が使えるシステムとそうでないシステムを区別する上で不可欠だ。

クラウドベースのCMDB活用

 インベントリを管理するツールは何でも良いが、コアチームと支援チームの両方が同時にデータにアクセスできるものでなくてはならない。このため、最も適した製品がクラウドベースの構成管理データベース(CMDB)だといえる。この種の製品は、企業のサポート負担を減らすだけでなく、数時間で立ち上げられるというメリットもある。

 どの情報を収集するかを決めるに当たっては、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)のCMDB規格が役立つ。収集するデータには、少なくともアプリケーションとその全てのコンポーネント、Windows 7の影響評価、全ての資産のデスクトップハードウェア構成を含めなければならない。また、バージョンレベル、アプリケーションのオーナー、その連絡先情報(プロジェクトの説明責任を明確化する際に必要となる)、アプリケーションの開発担当者、開発時期、廃止予定時期、ユーザー数、利用部門といった関連情報も含める必要がある。

 デスクトップの移行が完了すれば用済みとなる配布スキルや配布機能とは異なり、このデータベースは貴重な企業資産であり、プロジェクト終了後も保管しておく必要がある。そのデータは各種の報告書を作成する際のベースにもなる。データベースの作成に際しては、こういった大規模プロジェクトではどんな報告書がよく利用されるのか、また経営幹部から通常、どういった報告書が求められるのか、といったことを念頭に置けばいい。需要予測に基づき、設定した指標およびSLA(サービス品質保証)のベースとなるデータも利用できるようにしておくことも重要だ。

2. Officeデータも忘れずに──法令にも留意

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 フリー株式会社

情報システム部門の負担を軽減、SaaSのアカウント管理を効率的に行う方法とは?

近年、SaaS利用が加速する中、「誰がどのサービスを使っているのか不明」「退職者のアカウントが残っている」といった管理上の問題が顕在化している。そこで本資料では、SaaSのアカウント管理を効率的に行う方法を紹介する。

製品資料 ニュータニックス・ジャパン合同会社

複雑なハイブリッド環境をシンプルに、ITダウンタイム減少へ向けたBCDRの新潮流

今日、企業は俊敏かつ継続的なサービスを求められており、顧客離れやブランド価値の毀損につながるシステム停止は絶対に避けるべき要件となっている。そこで重要となるのが、データ保護とBCDR(事業継続性とディザスタリカバリー)である。

製品資料 サイオステクノロジー株式会社

有識者に聞く、システム障害対策をコストではなく「経営課題」と捉えるべき理由

組織経営の存続を左右する「システム障害」だが、これまではその対策を単なるコスト要因と見なす風潮が強かった。しかし新世代のビジネスリーダーたちは重大な経営課題としてシステム障害に向き合い、さまざまな対策を実践しているという。

製品資料 サイオステクノロジー株式会社

マンガで学ぶ:「止まっては困るシステム」を守るHAクラスタの有用性

さまざまな業種の組織で稼働する「止まっては困るシステム」が、障害で停止するケースが増加している。こうしたリスクに対処する方法として注目されるHAクラスタの有用性と、製品選定時に押さえておきたいポイントをマンガ形式で解説する。

プレミアムコンテンツ レッドハット株式会社

AIOpsツールを使ってみたくなる用途はこれだ

「AIOps」ツールはシステムの運用や開発における業務効率化に役立つ。どのようなメリットがあり、どのように活用できるのか。似た言葉である「MLOps」と共に紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。