Windows XPといつ決別する?
Windows 7へのアップグレードは是か非か?
Windows 8が姿を現しつつあるが、企業が検討すべきはWindows 7をどうするか、である。いまだにWindows XPを使用している企業も多いが、そろそろアップグレードの是非を決める時期だろう。
Windows 7へのアップグレードに際して、IT管理者が自らに問うべき最も重要な質問は「なぜ」だ。それに対する米Microsoftの回答は、「Windows 7には多数の新機能があり、セキュリティが強化されていて、格段に使いやすくなっているのであるから、アップグレードしないのはどうかしている」という実にシンプルなものだ。しかし、現実の世界でOSを変更するには、確固とした理由が必要だ。その妥当性を証明でき、最終的に確実に投資を回収できるという裏付けが必要になる。アップグレードの理由を検討するということは、長所と短所を評価するということだ。このプロセスの結果、単純に長所よりも短所の方が勝っていれば、アップグレード計画が頓挫する可能性もある。
アップグレードできるかどうかの判断は、アップグレードプロセスの難点を洗い出し、コストを見極め、何よりもWindows 7がビジネスにもたらすメリットを特定する作業である。
つまり、Windows 7が適している状況とそうでない状況を検討する必要がある。その結論によって、アップグレードが可能かどうか、または少なくとも意味があるかどうかがほぼ決まるだろう。
Windows 7へのアップグレードを見送る場合
Windows 7が適さない状況や企業がある。最も明白な要因はハードウェアの制限だ。これは、アップグレードが可能かどうかを判断する最初の材料として非常に有効だ。ハードウェアは明らかに事前に要件の確認が必要なポイントだが、多くの管理者はこの点を見過ごすか、その重要性を最小化しがちだ。
アップグレードの計画を立てる前に、確実にアップグレードに対応できるハードウェアを用意するか、少なくともハードウェアの交換が必要になる可能性を覚悟しておこう(または上司に覚悟してもらおう)。
ハードウェアがアップグレードに対応できるかどうかを判断する鍵は、適切なPC資産のインベントリにある。多くの企業には、完全なハードウェアとソフトウェアのインベントリを実行できるIT資産管理アプリケーションがあるため、費用の掛かるハードウェアの入れ替えが必要かどうかを容易に判断できるだろう。資産管理システムがない場合は、用意することをお勧めする。時間の節約になるし、各種機能がWindows 7の移行をスムーズにしてくれる。
MicrosoftのWindows 7 Upgrade Advisorは、Windows 7に必要なハードウェアの特定に使用できる無料の評価ツールだ。ただし、Windows 7 Upgrade Advisorは手始めに使用するのはよいが、基幹業務アプリケーションやその他の特殊な状況によってPCに課される要件を考慮できない可能性がある。つまり、ハードウェアを評価する場合は、Windows 7が稼働するかどうかだけでなく、アプリケーションも適切に実行できるかどうかを判断する必要がある。CADやCAMなどのアプリケーションをWindows 7で運用する場合は、性能の高いハードウェアが必要だ。
アップグレードが可能かどうかの検証は、まずデスクトップハードウェアから実施する。その後、ネットワークインフラストラクチャ、ネットワークストレージなどに対して、同様の検証を行う。このとき、Windows 7の一部の新機能のために、ネットワークトラフィックやストレージ要件が増える可能性があり、この増加分も考慮しなければならない。
他に確認が必要なのは、サポート製品だ。恐らく、企業のヘルプデスクでは遠隔操作パッケージを使用しているだろう。その場合、遠隔操作アプリケーションが新しいデスクトップOSに対応していることを確認する必要がある。アップグレード中は特にヘルプデスクのサポートが大切になるためだ。また、ウイルス対策、資産管理、データベースアクセスなどのソフトウェアエージェントも注意が必要だ。Windows 7を導入する前に、このような点を全て検証し、問題があれば修正しなければならない。
アップグレードに伴うダウンタイムの長さと、アップグレードの実施に必要なスタッフの人数も特定しなければならない。また、アプリケーションの互換性、エンドユーザーのトレーニング、セキュリティを考慮する必要もあるし、Windowsポリシーや他の自動デスクトップ管理機能を利用しているかどうかも勘案する。
場合によっては、現在のITインフラストラクチャの実際の使用状況が、アップグレード可能かどうかを左右する場合がある。その良い例が、Microsoftのターミナルサービスや米Citrix SystemsのXenAppを使用して、カスタマイズされたアプリケーションをデスクトップPCに展開しているケースだ。このような場合は、エンドユーザーの操作性が変わるわけでも向上するわけでもしないし、使用中のアプリケーションの機能性が高まるわけではない。従って、Windows 7にアップグレードしても実質的なメリットがなく、このような状況では「寝た子を起こさない」のが賢い。
Windows 7にアップグレードする場合
デメリットが圧倒的に多く思える場合でも、メリットが勝っている状況や、Windows 7のメリットが具現されている導入事例がある。また、アップグレードが必須のケースも無論ある。例えば、64ビット版の基幹業務アプリケーションに移行する場合、32ビット版のアプリケーションから移行するにはOSを変更する必要があるため、Windows 7への移行が必要になる場合がある。同様に、32ビット版から64ビット版のOSに移行する場合は、アプリケーションのアップグレードが必要になることもある。
また別のケースとしては、ハードウェアの入れ替えが挙げられる。古くなったためにPCを入れ替える場合は、新しいハードウェア向けに設計されていないOSを維持する意味はほとんどなく、Windows 7に移行するのが賢明だ。
Windows 7への移行をサポート
Windows 7へのアップグレードが適していると容易に判断できるその他の状況としては、最新のOfficeスイートやCRM(顧客関係管理)パッケージなどの新しいアプリケーションを導入する場合、ネットワークをアップグレードする場合が当てはまる。他には、管理コストを削減する必要性から、Windows 7の導入に向かう場合もある。全社で展開しているのがWindows 7だけであれば、サポートスタッフが対応する必要があるシステムが1つで済むため、サポート、保守、管理費用が抑えられる。ライセンスについても、サイトライセンスに切り替えることで、1本のライセンスで全てのデスクトップOSがカバーされるため、管理が容易になる。
Windows 7へのアップグレードが妥当かどうかを判断するには、分析と調査に重きを置く必要がある。通常、この分析の結果によって、アップグレードに予算がつくか、メリットがあまりないかが決まる。ただし、Windows 7へのアップグレードについては、他のアップグレードと同じルールが適用されることはお忘れなく。つまり、プロジェクトの妥当性を証明するためには、費用対効果を見極める必要がある。
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