サイバー攻撃への備えは必須だが、日常業務でのプライバシーや開発効率も犠牲にできない――。そうした悩みを解消し得るLinuxディストリビューションが「ParrotOS」だ。その設計思想と、具体的な機能とは。
現代のシステムを支えるOS「Linux」の中には、セキュリティに特化したディストリビューション(配布パッケージ)がある。具体的には、「Kali Linux」「ParrotOS」といったディストリビューションが有力だ。本稿はそのうち、プライバシー保護や開発プロセスでのセキュリティ確保といった要件に応えるParrotOSに焦点を当て、その多彩な機能と、背景にある設計思想を解説する。
2013年に公開されたParrotOSは、プライバシー、セキュリティ、開発という3つの分野を軸にしたディストリビューションで、それぞれの分野ごとに特化したエディションがある。多様なハードウェアと仮想マシン(VM)で動作し、他のディストリビューションと同様、カスタマイズ性と自由度が特徴だ。
ParrotOSは以下をはじめ、セキュリティ専門家やプライバシーを重視するエンドユーザーにとって魅力的な標準機能を複数備える。
Kali Linuxと同様に、ParrotOSにも豊富なプライバシーおよびセキュリティツールがプリインストールされており、2025年7月時点でその数は600を超える。以下はその一例だ。
ParrotOSには、特定のニーズに合わせて調整された、さまざまな種類のエディションがある。エンドユーザーはまず大まかな特化分野(カテゴリー)を選んでから、エディションを選ぶことになる。主なカテゴリーは以下の3つだ。
以下の導入形態も利用可能だ。
各エディションの概要は以下の通りだ。全てのエディションはプライバシー強化、セキュリティ、開発向け機能を搭載する。
ParrotOSは複数のインストール方法を提供している。エンドユーザーは希望するバージョンのインストーラーをダウンロードし、インストール先の物理マシンまたはVMでインストーラーを起動して、インストールウィザードの指示に従う。公式ドキュメントは、以下の導入方法についての手順を説明している。
ParrotOSには多様なエディションや稼働システムの形態があり、ハードウェア要件もさまざまだ。他のLinuxディストリビューションと同様、ParrotOSは標準的なハードウェアや比較的古くなったハードウェアでも動作する。
インストールと導入に関する、整理された公式ドキュメントが存在する。Linuxの標準セキュリティモジュール「AppArmor」、NVIDIA製GPU(グラフィックス処理装置)用のドライバー、スクリーンキーボードのカスタマイズ機能など、OSの主要コンポーネントに関する設定情報も含まれる。
その他の情報源としては、ParrotOSの公式ブログや、ソースコードが公開されているリポジトリが挙げられる。パッケージ、バグ、今後の新機能などの情報を確認しておこう。
エディションごとに利用できる機能は異なる。SecurityエディションはKali Linuxに近く、セキュリティ専門家に適する。権限昇格、データ管理、ソフトウェア管理、ネットワーク設定といったLinuxの基本的な操作に習熟していることが前提になる。Homeエディションは一般利用を目的としたエンドユーザーに最適で、特にLinuxに不慣れな場合は、日常的な作業の出発点として使うことができる。
ParrotOSは開発者向けのディストリビューションとしても有用だ。さまざまな開発者向けツールが組み込まれており、特にプライバシー設定は、セキュリティが重視される状況でアプリケーションを開発する人々にとって力を発揮する。
Kali LinuxやParrotOSを使いこなす鍵は、目的に合った最適なツールを見つけ出すことだ。この点において、Kali Linuxは侵入テストという1つの目的に特化しており、その役割を的確に果たす。ParrotOSのSecurityエディションは、競合する存在だ。一方でHomeエディションは、プライバシー設定や追跡防止機能を一般ユーザーや開発者に提供するという特徴を持つ。
ディストリビューションを選ぶ際は、まず「侵入テストやセキュリティ監査がしたいのか、それとも追跡を避けたい一般ユーザーなのか」という自身の目的を明確にすることが重要だ。
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