モバイル端末の下取りやアップグレードの利用は活発で、消費者に還元される金額は増加している。一方、端末の使用年数は長くなっている。この“ねじれ現象”の背景には何があるのか。
車両保険や物品の保証サービスを手掛けるAssurantは、スマートフォンをはじめとするモバイル端末の下取りやアップグレード(買い替え)プログラムに関する動向を調査している。2025年5月、同社は2025年第1四半期(1月~3月)の調査結果を発表した。この期間に、モバイル端末の下取りやアップグレードプログラムを通じて米国の消費者に還元された総額は12億4000万ドル(約1800億円)に達し、前年同期比で40%の大幅増となった。この背景には何があるのか。
Assurantの調査レポート「Mobile Trade-In and Upgrade Industry Trends Q1 2025 Summary」によると、米国の消費者に還元された総額が40%増加した背景には以下の要因がある。
2025年第1四半期に下取りプログラムやプロモーションで取引された上位5機種は、全てAppleのスマートフォン「iPhone」だった。以下に機種名を列挙する。
iPhone 13は2024年第3四半期(7~9月)から2025年第1四半期まで3四半期連続で最も多く下取りプログラムやプロモーションで取引された。GoogleのモバイルOS「Android」を搭載したスマートフォン(Androidスマホ)の中で最も多く取引されたのは、Samsung Electronicsの「Galaxy S22 Ultra 5G」だった。
2025年第1四半期に下取りプログラムやプロモーションで取引された上位5機種のうち、iPhone 11は2019年、iPhone 12は2020年、iPhone 13シリーズは2021年発売といずれも発売から3年以上が経過している。Assurantによると、取引の対象となったiPhoneの平均使用年数は3.79年、Androidは3.93年で、Assurantが調査してきた中で最長だった。
それにもかかわらず、発売から時間が経過した機種を対象にしたアップグレードプログラムは多くはないとAssurantは指摘する。これは、消費者が新しい機種の買い替えに踏み切りづらい傾向にあることを示唆している。その理由として考えられるのは、使用中のモバイル端末に満足している、あるいは経済的な理由で買い替えが難しいといった事情だ。同社は、「モバイル端末の平均使用年数が4年に到達する日が来るかどうかに注目している」と説明する。
Assurantの見解では、高性能な中古モバイル端末の流通が拡大すれば、消費者が手頃な価格で入手できるようになり、電子廃棄物の削減や中古市場全体の活性化に寄与する。
Assurantのグローバル・コネクテッドリビングおよび国際事業部門のプレジデントを務めるビジュ・ネア氏は、2024年にAI(人工知能)機能を搭載したスマートフォンの新機種が発売されたことが消費者の購買意欲を刺激したと考える。それによって使用中のモバイル端末の下取りや、新機種への乗り換えが活発になったとの見方だ。ネア氏は続けて、「2025年にはインフレや景気後退といった経済的不安を受け、消費者は機能だけではなく価格の手頃さも重視するようになった」と説明する。
「下取りや新機種へのアップグレードを促す施策が活発化すれば、消費者は気軽に最新機種を入手しやすくなるだけではなく、環境への負荷が軽減し、下取りやアップグレードも活性化するという循環が生まれる」とネア氏は展望を述べる。
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