「ThinkPad 8」「Venue 8 Pro」など、いわゆるミッドレンジクラスのWindowsタブレットが急増している。果たして、米Microsoftはユーザーの心をつかみ、タブレット市場での巻き返しを図ることができるのだろうか。
米Microsoftの問題点を取り上げる記事を探すのに、それほど手間はかからないだろう。その多くが、Windowsの最新版に関する普及率の低さに焦点を当てた内容だ。だが、こうした状況が一変する確固たる理由がある。それは、値ごろ感のあるミッドレンジクラスのWindowsタブレットが急増しているからだ。
2014 International CES(以下、CES 2014)では、中国Lenovoの「ThinkPad 8」などの新型Windowsタブレットが発表された。1年前であれば、米GoogleのAndroidを搭載した端末になっていただろう。市場がMicrosoft支持に転じたといえる。
Windows 8/8.1が広く受け入れられない主な理由の1つは、デスクトップあるいはラップトップ向けにあまり優れたユーザーエクスペリエンス(体験)を提供できていないことである。タブレット向けに設計されたWindows 8/8.1は、タブレット端末で利用してこそ真価を発揮するのだ。
Windowsタブレットをより多くのユーザーの手に届けることが、Microsoftの課題であることは間違いない。それに対して同社が講じた施策が、「Surface」タブレットである。「Surface Pro 2」と初代「Surface Pro」は素晴らしいが、非常に高価な製品だ。「Surface 2」などのWindows RT搭載モデルは低価格だが頼りなく、いまだに市場を開拓できていない。
消費者は今、Windows 8.1のフルバージョンを搭載したタブレットを300ドル以下で手に入れることができる。同価格帯のミドルサイズタブレットを1年前に探そうとすれば、米Appleの「iPad mini」か、Googleの「Nexus 7」などAndroid端末が候補に挙がっていた。そこに米Dellの「Venue 8 Pro」など、非常に魅力的なWindowsデバイスが登場してきたことで、タブレット市場におけるMicrosoftの勢いが強まっている。
Appleは世界最大のタブレットメーカーであるが、世界はiPadの購入を希望する人とそうでない人の2つのグループに分けることができる。Appleのファンでない人の多くは、価格の安さやメモリカードスロットといった機能を求め、Android端末に流れていく。
肝心なのは、新しい世代のWindowsタブレットは、価格の安さとメモリカードスロットといった機能性の両方を備えているということだ。さらに、ラップトップ/デスクトップ向けに作られたソフトウェアや「Microsoft Outlook」も使用できる。カジュアルにも使え、ある程度の業務もこなせる低価格なモバイルコンピュータを欲している人々にとって、Windowsタブレットは良い選択肢の1つになるだろう。
iPadの業務利用に関しては、その圧倒的な人気に押され、(場合によってはしぶしぶ)利用を認めた企業もあるだろう。その一方で、Windowsタブレットの導入については、IT部門も喜んで応じるはずだ。また、大抵の場合、企業はセキュリティ上の懸念から、Androidタブレットの業務利用には興味を示さない。
Windowsタブレットの利点は、業務だけにとどまるものではない。その例の1つは、HuluのようなWebサイトだ。同サイトは、iOSとAndroid端末ではブロックされてしまうが、Windowsベースのタブレットであれば問題なく利用できる。
手ごろなWindowsタブレットの登場は、Microsoft以外のハードウェアベンダーにとっても追い風だ。台湾AcerやDell、中国Lenovoといったベンダーは、タブレット市場になかなか入り込むことができなかった。これらの企業は、Windowsデバイスの開発に長年の経験があり、これまで以上に役立つはずだ。
ミッドレンジクラスのWindowsタブレットがあれば、市場で成功を収められるといっているわけではない。ただ、MicrosoftのOSを搭載したデバイスは高価な電池食いだと切り捨てる時代は、完全に終わったということだ。
そしてこれは、Microsoftにとってこの数年で最も良い知らせだろう。
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