どっちが得か、よーく考えてみよう
Google vs. Amazon――SSDベースの高速クラウドの優劣を比較してみる
米Amazon Web Services(AWS)のユーザーは、 SSD(ソリッドステートドライブ)をベースとした新しいストレージボリューム「Amazon Elastic Block Store」(Amazon EBS)を歓迎しているが、米Googleも2014年6月中旬に同様のクラウドサービスの提供を開始した。
米Amazon Web Services(AWS)のサービスに導入された新しい「General Purpose」SSDボリュームは現在、「Amazon Elastic Block Store」(Amazon EBS)を新たに配備する際のデフォルトボリュームとなっている。ここ数年、ハイパフォーマンスが要求されるワークロードでは磁気方式のHDDに代わって、IOPS(1秒間当たりのI/O数)が従来型ディスクよりも上回るSSD(ソリッドステートドライブ)の利用が進んでいる。
SSDを使うメリット
電子メールアーカイブ用のクラウドサービスを提供する米Sonianでは、「NoSQL」データベース用にAWSの新ボリュームを採用する予定だ。同社は2007年以来、AWSを利用しており、これまでHDDのパフォーマンスに基づいて戦略決定を行ってきた。SSDでは高いIOPS性能が期待できるため、「Cassandra」や「MongoDB」といった次世代データベースを使った新規プロジェクトの展望が開けたという。
「SSDでは価格に比して高いパフォーマンスが得られ、そのメリットを受けるワークロードは少なくない」とSonianのグレッグ・アーネット最高技術責任者(CTO)は語る。
以前は、HDDベースのストレージシステムで高いパフォーマンスを得るには、プロビジョンドIOPSをAWSから購入しなければならず、これにはディスク容量のコストに加えて1時間当たり0.1ドルの追加料金が必要だった。今後は、この追加料金なしでSSDのパフォーマンスが得られるという。
国際人材派遣企業の米Robert Half Internationalのソリューションアーキテクト、ジェームズ・フォガーソン氏は「少なくとも1つのプロジェクトについては、プロビジョンドIOPSを利用しなくても済むようになる。もう1つのメリットは、パフォーマンスが大きく変化する標準のEBSと比べ、安定したパフォーマンスが保証されることだ」と話す。
Google vs. AWS SSD
一方、GoogleはAWSよりも1日早く、自社のIaaS(Infrastructure as a Service)製品をSSDで強化した。
「AWSとGoogleのユーザーは両社の新サービスをそれぞれ受け入れると思われるが、クラウドサービスの導入を検討中の企業にとっては、どちらを利用するのが得かというのは難しい判断になりそうだ」とアナリストらは指摘する。
GoogleがSSDをベースとしたパーシステントディスクに設定している価格は、AWSのサービスの価格の3倍(Googleの月額0.325ドル/Gバイトに対しAWS SSDは月額0.1ドル/Gバイト)だが、Googleによると、同社のSSDベースのストレージの推定パフォーマンスは30 IOPS/Gバイトであり、これはAWSの3 IOPS/Gバイトの10倍である。
だが、この数字はそれほど高速というわけではない。AWSはバーストパフォーマンスを持続パフォーマンスと区別しているのに対して、Googleの場合は一律の料金設定となっている。AWSのGeneral Purpose SSDボリュームは最大30分間、3000 IOPSのパフォーマンスを提供し、追加コストは発生しない。AWSでは、中小規模のデータベースなどのワークロードや起動ボリューム用としてGeneral Purpose SSDボリュームを推奨している。ユーザーがさらに高いパフォーマンスを必要とする場合は、プロビジョンドIOPSを利用することにより1ボリューム当たり最大4000 IOPSまでプロビジョニングできる。プロビジョンドIOPSは2014年6月中旬に35%値下げされた。
理屈の上では、両クラウドサービスプロバイダーは最大30 IOPS/Gバイトを提供するが、1個の仮想マシン(VM)あるいは1インスタンス当たりのトータルIOPSを考慮に入れると、両社の価格設定は異なる様相を帯びる。
「Google Compute Engine」の場合、1VM当たりの最大IOPSは読み出しが1万、書き込みが1万5000である。これに対し、AWSのEBSでは、General Purposeボリュームの推定パフォーマンスは3 IOPS/Gバイトであるが、1インスタンス当たりの最大IOPSは4万8000となる。
「両社はSSDを提供するに当たり、価格とパフォーマンスの間で折り合いを付ける必要があった」と指摘するのは、米The Server and StorageIO Groupの創業者で同社の上席アドバイザリーコンサルタントを務めるグレッグ・シュルツ氏だ。
「バイヤーも両ベンダーのSSD製品について、価格とパフォーマンスのバランスを考える必要がある」とシュルツ氏は語る。
「私が開発者であれば、Googleの方が魅力的に思えるかもしれない。だが、ストレージの種類やプロビジョニング機能などを含めた総合的な価値ではAWSの方が優れているといえそうだ」(同氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[オーティファイ株式会社] AIでコーディングは加速したのにテストはそのまま? いまQAに必要な進化とは -
事例
[オーティファイ株式会社] QAで開発サイクルを遅延させない 8社の事例に学ぶ「テスト工程」の課題解決策 -
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「AIっぽい広告」の山に埋もれさせない AIマーケで着実に成果をだす秘訣とは? -
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「広告投資」調査レポート2026:勝ち組企業は何に投資しているのか? -
製品資料
[株式会社Helpfeel] 「問い合わせの渋滞」を解消、情シスの負担を軽減する“次世代型AI”活用方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
膨らむAIコストに歯止め GitHubのマルチモデルルーターは何が違うのか
-
4
マンガで解説:採択率は3割台? デジタル化・AI導入補助金申請の落とし穴
-
5
9割が頓挫する「AI内製化」 差がついたのはツールより設計力
-
6
覇権争いは終了? SnowflakeやSAPが「Apache Iceberg」の採用を急ぐ理由
-
7
「コンテナ型データセンターの検討状況と課題」に関するアンケート
-
8
多要素認証導入済みでもランサムウェア被害に 復旧費用は平均2億7000万円
-
9
「ネットワークインフラの現状と課題」に関するアンケート
-
10
社内開発×ノーコードで検証速度を4倍にしたエアトリのWebサイト改善術
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
-
10
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー