モバイルヘルスがERの滞在時間を短縮する
スマートフォン医療で病院の「待ち時間ゼロ」が現実に
医師が患者に関する情報を早期に把握できるようになれば、治療と診断の迅速化につながる。その実現のために、医療機関に普及しつつあるモバイルデバイスは有効な手段となる。
緊急救命室に運び込まれて、これからどのような治療が施されるのか分からない患者にとって、数分という時間は数時間もの長さに感じられることがある。入室から治療までの時間を短縮することは、最も簡単に医療の品質を上げる方法だ。特に救急治療が必要な患者にとって、その効果は大きい。
モバイルヘルスデバイスを導入すると、瞬時にデータを送受信できるようになる。緊急救命治療室の滞在時間を短縮する方法を模索している病院にとって、モバイルデバイスは問題を解決する選択肢となるかもしれない。
モバイルが患者の不満解決の手段に
一般的に、病院における治療の遅れの原因は人手不足だ。患者の治療に必要な専門医が院内にいない場合は、その専門医を呼ぶ必要がある。こうしたことが診断と治療の遅れを招き、患者はフラストレーションを抱えることになる。
筆者は米ノースカロライナ州モーズビルの病院で、脚を骨折した子どもを治療したことがある。その子どもを緊急治療室に運び込み、レントゲン撮影をした。その後、外科手術の選択肢と必要な種類のギプス包帯について説明するまでに1時間強かかった。
この件については未解決の問題がある。もしレントゲン写真をモバイルデバイスで確認できていれば、もっと短時間で治療法の選択肢を提供することができたのだろうか。緊急救命室に運び込まれる患者について、医師がモバイルデバイスで確認できるのが望ましい予備情報には、他にどのようなものがあるのか。緊急救命室に運び込まれる患者の情報にモバイルデバイスからアクセスすることが、従来の方法よりも非効率的となる事象はあるか。
その子どもは痛みに苦しみ治療を必要としていたため、治療中にはこうした質問をすることはできなかった。子どもの情報が医師の手にいち早く渡っても、15分ほどの時間短縮にしかならなかっただろう。それでも、患者が不安な状態でいる時間を短縮することは可能だ。リスクが高いと見なされる患者と比べれば、このケースの緊急度は低い。リスクが高いケースでは、患者の情報が医師や専門医の手元に数分でも早く届くことが重要だ。
病院や一般消費者の間でモバイルデバイスの普及は進んでいる。このことは、緊急救命室での治療の効率と効果を高める一助となるだろう。
モバイルデバイスには幾つかの用途が考えられる。例えば、患者に医用画像やデータへのアクセスを付与できる。具体的には、リスクの高い妊婦が自宅で座った状態で胎児の心拍モニターなどを確認することが可能だ。こうしたユースケースの経験がある医師は、モバイルデバイスでデータを受信する速度が患者の治療と待ち時間の短縮に役立つことを知っている。これは、結果的に患者のリスクを軽減することにもつながる。
緊急救命室に導入されているモバイルデバイスは、他にも存在する。医学的な効果を評価するためのパイロットプロジェクトとして、米Googleの「Google Glass」を採用している病院もある。患者の診察や手術の様子をリアルタイムでストリーミングしたり、皮膚科などの専門医にモバイルアプリですぐ視覚的な情報を提供できる。より多くの治療で、情報に基づいた医療診断が可能になる。
モバイルヘルスデバイスの導入で、以前は患者が報告するかどうかに掛かっていた情報も医師が確認できるようになる。治療が完了しているかどうかも確認可能だ。現在のモバイルアプリは、レントゲン写真、カルテ、バイタルサインを瞬時に配信できる。病院は今後もモバイルデバイスとモバイルアプリの評価を続け、医師が患者の情報にタイムリーにアクセスする上で役に立つかどうかを判断すべきだろう。
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