IPv4カウントダウン計画の最終局面
失敗しないための「IPv6ネットワーク機器購買ガイド」
IPv6への移行に備え、IPv6対応ネットワーク機器に関するサービスプロバイダー向けの指針を解説する。サービスプロバイダーとベンダーがIPv6の機能について同じ認識を持てることが狙いだ。
IPv6は運用環境で使用できるといわれて久しい。だが、IPv6の導入が加速し始めたのは最近のことだ。米Googleは、現在IPv6経由で資産にアクセスしているユーザーは4%程度と見積もっている。また、米国のインターネットユーザーに関しては、8.5%がIPv6にアクセスできると見積もっている。だが、IPv6の導入は9カ月で2倍という勢いで増えている。
IPv6経由でコンテンツとアプリケーションにアクセスできなければ、IPv6が利用できても意味がない。だが、主要サービスプロバイダーでは、IPv6の導入に関連するコンテンツ側の対応も行っている。その筆頭はGoogle、米Yahoo!、米Netflix、米Facebookだろう。実際、Facebookは2~3年のうちにIPv6のみの環境に移行する方針を打ち出している。全てのコンテンツがIPv6経由でアクセスできるわけではない。だが、全てのコンテンツにIPv6経由でアクセスできるようになれば、素早くコンテンツにアクセスできるようになる。それはIPv4とIPv6の変換処理という代償を払ったとしても同様だ。
米国のブロードバンドアクセスにおけるIPv6導入率の高さは、米Comcastと米AT&Tの功績によるところが大きい。この2社と世界各国でIPv6を展開しているサービスプロバイダーには共通点がある。それは数年前に計画と導入を始めていることだ。
IPv6導入が複雑になるのは、、サービスプロバイダーが大きな責任を課されているからだ。具体的には、コンシューマーとビジネスユーザーの両方にIPv6アクセスを提供しなければならないことだ。IPv6に移行するということは、サービスプロバイダーがIPv6対応機器向けに購買ポリシーを更新しなければならないことを意味する。このような機器には、ホストのハードウェア(コンピュータやOSソフトウェアを含む)からルータ(スイッチとロードバランサーを含む)やネットワーク保護製品(ファイアウォールや侵入検出システム)など、さまざまなものが含まれる。
定期的な更新サイクルに従ってIPv6対応機器を購入してインフラをアップグレードすると時間がかかる。だが、これが最もコスト効率のよいアプローチだ。また、サービスプロバイダーは、ベンダーとベンダーの製品がIPv6に対応できるようベンダーを指導または説得するために時間をかける必要がある。
米American Registry for Internet Numbers(ARIN)はIPv4カウントダウン計画の最終局面を迎えている。また、IPv6の導入はあらゆる物事にかかわっている。この2点を考慮すると、サービスプロバイダーには、購買ポリシーとベンダー管理プロセスの更新を先延ばしにするなどと悠長なことを言っている余裕はない。適切な購買ポリシーがあれば、全ての新しい/アップデートされたハードウェアとソフトウェアをIPv6対応にできる。また、ベンダー管理プロセスを更新すれば、ベンダーがIPv6のサポートを約束するだけではなく、実際にサポートを維持させることが可能になる。
サービスプロバイダーがIPv6戦略をサポートするように購買ポリシーを更新するための推奨事項は次の通りだ。
- 目標とするIPv6ベースのアーキテクチャとサポートのデザインを定義する。そのアーキテクチャの各要素で必要なIPv6の機能を特定する
- 目標とするIPv6の機能のスケーラビリティとパフォーマンス要件を特定する
- IPv6の導入とサービス実施可能プランに基づいてIPv6の機能に優先順位を付ける
- 購買チェックリストを作成し、全てのITプロジェクトのIT購買決定者とベンダー管理チームに配布する
一般的な概要レベルのガイドと比較については、以下で紹介するIPv6対応に関するドキュメントを参照されたい。ただし、各サービスプロバイダーは、それぞれ独自のIPv6対応の要件を定義する必要がある。以下では各種機器について独自の汎用的な要件を定義している。サービスプロバイダーは、これを独自の具体的な要件を定義するたたき台として使用できる。
- Requirements for IPv6 in ICT Equipment(ICT機器のIPV6の要件、米RIPE Network Coordination Center策定)
- USGv6 Buyer's Guide(USGv6購買担当者向けガイド、米National Institute of Standards and Technology策定)
- 各種テクノロジーとプロトコルのIPv6 Ready Logo(IPv6 Forum策定)
購入前の製品のIPv6に関する必須要件は、ベンダーにIPv4と同じレベルを要求することだ。パフォーマンスとスケールについて同じレベルを求めるのは理にかなっている。だが、機能については問題となる可能性がある。また、ベンダーのリソースにも限りがある。サービスプロバイダーが特定の機能に関心があることをベンダーに伝え、この需要を満たすためにベンダーと協力することは移行に伴う労力の無駄を省く上で役立つ。
テクノロジーの観点では、次の分野に留意されたい。IPv6対応機器に移行するときにどう対応すべきかを確認するとよいだろう。
- インタフェースによって範囲が異なる複数のIPv6アドレス
- IPv6拡張ヘッダと転送パフォーマンスへの影響
- マルチキャストの実装
- ICMP(インターネット制御メッセージプロトコル)ベースの制御プレーン
- IPv6のセキュリティ確保
- 移行期間中に2つのプロトコルを同時に管理すること
目標とするアーキテクチャで機能するIPv6対応製品の要件定義に必要なものがある。それは、IPv6に精通し、サービスプロバイダーの環境での作業経験を持ち、今後のロードマップを理解しているチームだ。つまり、IPv6対応の購買ポリシーを効果的に更新できる状態に組織を持っていくにはIPv6に関する教育は必要不可欠だ。
サービスプロバイダーと同じように、ベンダーの組織もIPv6に対応する必要がある。それには、テクノロジーだけでなく、スタッフがIPv6という新しいプロトコルとその機能のサポートに必要な知識を習得する必要もある。それから、IPv6の機能品質の一貫性を保つためにプロセスも更新しなければならない。
ベンダー管理プロセスを更新する
購買ポリシーの更新に加えて重要なことがある。それはIPv6をサポートするようにベンダー管理プロセス全体を更新することだ。以下のガイドラインは、その作業に役立つだろう。
- 全製品の購買プロセスにおいてIPv6対応を必須要件とする
- 現行のIPv6対応プロファイルを使用して中央リポジトリを作成する
- 各ベンダーから明確で詳細なIPv6のロードマップを取り寄せて、それに照らして監視する
- ベンダーが最低でもIPv4と同じレベルでIPv6開発/システム/回帰のテストプロセスを実施していることを可能な範囲で確認する。製品機能の一貫性と安定性を監視する
IPv6への対応とIPv6に関するポリシーの更新は継続的に行うべき作業だ。IPv6の導入に関する知識体系は今後も拡大および多様化することが予想される。また、IPv6は進化している。新しい機能がInternet Engineering Task Force(IETF)の標準で定められ、製品や機器で採用されるようになるだろう。
他社の経験から学び、その知識を自社のビジョンの細部に適用されたい。実際にIPv6を導入した企業に助言を求めたり、「North America IPv6 Forum Summit」などIPv6に関するカンファレンスに参加することもお勧めする。
サービスプロバイダーは、インフラの構築方法やサービスの配信方法によって差別化を図っていることを思い出してほしい。つまり、IPv6が使用できることは、ビジネスの一側面でしかない。技術的な価値の提案とモデルは組織によって異なる。顧客の環境に設置されている機器が、あるサービスプロバイダーによってIPv6対応の認定を受けているとしよう。だが、だからといって、その機器が目標としているアーキテクチャの要件を満たすとは限らない。あなたの会社独自のIPv6の要件を定義し、ベンダーと密接に協力して、必要なときにIPv6対応機器を使えるようにすることが肝要だ。
つまり、購買ポリシーをIPv6対応にしなければ、旧式と見なされる機器や製品に投資する可能性が極めて高くなる。ぜひ早急に購買ポリシーを更新することを検討されたい。
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