医療IT最新トピック
22種のがん発症リスクを解析、ヤフーのゲノム解析サービスは成功するか
JCHO九州病院のタブレットを活用した患者説明支援システムの導入、地域医療・介護連携に役立つWebサイト開設、ヤフーのゲノム解析サービスの提供開始など、医療IT関連の最新トピックを紹介します。
「IT化が他分野より10年遅れている」ともいわれる医療業界だが、関連技術や製品、サービスは日々進化している。医療IT関連の動向を紹介する「医療IT最新トピック」。今回は、タブレットを活用する患者説明支援システムの導入、地域医療・介護連携担当者向けのWebサイト開設、ヤフーのゲノム解析サービスの提供開始などを取り上げる。
JCHO九州病院がタブレットを活用する患者説明支援システムを導入
福岡県北九州市にある独立行政法人の地域医療機能推進機構 九州病院(以下、JCHO九州病院)が、患者への分かりやすい説明と院内での効率的な情報共有を目指し、患者説明支援システムを導入。提供元のインフォコムが発表した。
入退院センターの新設に当たり、JCHO九州病院では患者への諸事項の説明や指導、問診情報の取得などに関する業務改善を以下の4つの視点で取り組んでいた。
- 患者の理解度向上
- 説明、指導資料の一元管理による管理業務の効率化
- 電子カルテ「MegaOakHR」との自動連係による業務の効率化と院内情報の共有促進
- 最新のICT活用によるイメージアップ
その実現のためにJCHO九州病院では、インフォコムの患者説明支援システム「DigiPro」を導入した。DigiProは、PDFや動画、画像、HTML5など異なるファイル形式のコンテンツを一括でタブレットへ配信して集中管理できる説明支援ツール。DigiProを活用することで、動画を利用した患者への分かりやすい説明や、問診情報の簡単入力と説明内容、問診結果の電子カルテへの反映などを可能にした(発表:インフォコム<2014年11月4日>)。
NTT東西、福祉サービス向け緊急通報システムを販売開始
東日本電信電話、西日本電信電話(以下、NTT東西)は、高齢者や要介護者向けのコミュニケーションシステム「SR10-VII」、緊急通報装置「SL-11号BOX」、簡易型緊急通報装置「シルバーホンあんしんSVI」を販売開始した。SL-11号BOXの「ひかり電話」対応やSL-11号BOX、シルバーホンあんしんSVIにおける双方向通話を可能にした。
SR10-VIIは、消防署や市町村の介護支援センターなどの緊急通報センターに設置。あらかじめ登録されている高齢者などの緊急通報装置(SL-11号BOX)から通報を受けた際、電話番号や個人データなどをディスプレーに表示する。緊急通報センターのオペレーターは表示された画面を確認後、救急車の手配や協力員への支援要請などを一元的に行うことができ、緊急時に迅速で的確な対応が可能になる。
独り暮らしの高齢者の自宅に設置するSL-11号BOXは、高齢者が病気や事故などに遭った場合、もしくは日常生活上での悩みごとを相談したい場合などに「非常ボタン」や「相談ボタン」を押すだけで、登録している緊急通報センターや親類などを自動的に呼び出すことが可能。
また、シルバーホンあんしんSVIは、あらかじめ登録した最大9カ所へ順次自動的に通報する「非常」ボタンを備えた簡易型の緊急通報装置だ。販売価格はSR10-VIIが301万6000円(税別、以下同)、SL-11号BOXが6万6800円、シルバーホンあんしんSVIが3万6800円(発表:NTT東西<2014年11月4日>)。
地域医療・介護連携を促進させる実務者向けWebサイト「地域連携ONE」を開設
介護・医療の情報サービスを提供するエス・エム・エスが、病院や診療所、介護事業所などで地域連携業務に携わる実務者向けの会員制Webサイト「地域連携ONE」(http://www.renkei1.net/)を開設した。
地域連携ONEは、患者の紹介先を探している医療機関と、紹介を受け入れる医療機関・介護事業所の間の情報共有をサポートすることで、地域医療連携の円滑化を目指す。公開されている施設基準の届け出状況や各会員が登録した詳細情報から患者紹介先を検索したり、紹介を受け入れる医療機関・介護事業所の会員に対しては「空床、空室状況」「胃ろう、吸引など対応可能な医療行為」「人口透析、人口呼吸器など機器の待機状況」などの情報を登録、発信できるようにする(発表:エス・エム・エス<2014年11月4日>)。
介護事業者向けサービスを強化、富士通マーケティング
富士通マーケティングは介護分野のビジネスの拡充を目的として、介護事業者向けサービス「FUJITSU ヘルスケアソリューションHOPE Cloud WINCARE」(開発元:富士通)の支援サービスを見直し、新メニュー体系での提供を2014年10月に開始した。
新メニュー体系は、2014年4月に稼働した社会福祉法人である春風会の導入事例をベースにした。従来提供していた導入トータルサービスを「セットアップ」から「レセプト立ち会い」までの工程別にメニュー化し、導入事業所自身が必要なものを取捨選択できるようにした。また、介護事業者の製品理解を深めるべく、製品紹介やQ&A、簡易見積もり用Webサイトを新たに開始。同社の「クラウド型セキュリティ対策サービス BSTS」をオプションメニューに追加するなど支援サービスを強化した(発表:富士通マーケティング<2014年11月5日>)。
ケア21、介護サービス業務の負担軽減にアプリを活用
介護事業を全国展開するケア21が、次世代情報共有基盤としてWebコラボレーションソフトウェア「ArielAirOne Enterprise」を採用。提供元のアリエル・ネットワークが発表した。
住宅系/施設介護事業を手掛けるケア21では、事業規模の拡大が進む中、経営理念に掲げる「現場第一主義」の徹底を支える情報共有基盤の刷新に着手し、ArielAirOne Enterpriseを採用した。
ケア21はArielAirOne Enterpriseによって、従業員1000人のコミュニケーション活性化や業務効率化を実現し、利用者サービスのさらなる向上に努めるという(発表:アリエル・ネットワーク<2014年11月5日>)。
ヤフー、ゲノム解析サービスを提供開始
ヤフーは、病気発症リスクや体質が調べられる一般向けゲノム解析サービスの提供を開始した。Yahoo!ショッピング内の「Yahoo!ヘルスケア HealthData Lab」ストアから4万9800円(税込)で販売する。
この解析サービスは、肺がんや大腸がん、前立腺がんなど22種のがんをはじめ、2型糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、肥満などの病気発症リスク、血中尿酸値や飲酒量、筋力、血圧などの体質を含めた約290項目を解析。利用者は解析キットを購入後、個人用ページである「マイページ」の利用登録や唾液試料の返送後、マイページで生活習慣調査に回答する。後日、解析終了後にマイページ内で解析結果を閲覧できる。
ヤフーでは、臨床遺伝専門医などの遺伝カウンセリングを受けられる有料サービスの提供を今後予定している。また、生活改善アドバイスを受けたい利用者を対象に医師や栄養士などへ相談できる有料サービス「Doctors Me」(運営:サイバーバズ)も用意する(発表:ヤフー<2014年11月7日>)。
国民健康保険中央会、全国47都道府県をつなぐ大規模な双方向データ連携基盤を構築
国民健康保険中央会が開発し、国民健康保険団体連合会(以下、国保連合会)が運用する「介護保険・障害者総合支援システム」のデータ連係基盤として、リアルタイムデータ統合製品「Oracle GoldenGate」を採用。提供元の日本オラクルが発表した。
47都道府県にある国保連合会が個別に運用している介護保険・障害者総合支援システムと、新たに設置した「共同運用センター」との間でリアルタイムにデータ同期を可能にした。介護保険システムで扱う年間約1億3000万件以上、障害者総合支援システムで扱う年間約1100万件以上の大規模な処理データを同期する。
Oracle GoldenGateの採用に当たって国民健康保険中央会は、国保連合会のシステム基盤として従来稼働していた「Oracle Database」との親和性の高さ、データサイズやネットワーク負荷が低いことなどを評価したという。また、共同運用センターと国保連合会のシステムとの双方向レプリケーションも可能となり、システム障害や災害時におけるデータ損失を防ぐなど事業継続性が向上した(発表:日本オラクル<2014年11月12日>)。
高齢者住宅向けシステムの管理サーバのLinuxを採用、ナカヨ
ナカヨが高齢者住宅向けシステム「メイクスマートケア」の管理サーバにLinuxサーバOS「Asianux Server 4 == MIRACLE LINUX V6」(以下、Asianux Server 4)を採用。提供元のミラクル・リナックスが発表した。
メイクスマートケアは、高齢者住宅の運営事業者にお知らせ機能や健康管理機能などを提供するシステム。Androidベースの電話機兼用タッチパネル式居室端末「GRANYC」と、Linuxベースの管理システムサーバで構成する。無償の「Fedora Linux」を活用して、メイクスマートケアのプロトタイプ開発を進めていたナカヨでは、安定性とアプリケーション開発のしやすさから本番環境でもLinuxを選択。Fedora Linuxと互換性があり、かつ商用Linuxとしては比較的安価なことから、Asianux Server 4の採用を決めた。
また、ナカヨではAsianux Server 4の導入と同時に、ミラクル・リナックスの企業向けシステムバックアップソフトウェア「MIRACLE System Savior」も採用した(発表:ミラクル・リナックス<2014年11月12日>)。
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