医療IT最新トピック
なぜ、医師は電子カルテの「シェーマ」を利用しないのか?
電子カルテのシェーマを利用しない医師の本音、人工知能を応用した“医薬品ビッグデータ”解析事業の開始、上尾中央総合病院の“ITテレビ”100台導入事例など、医療IT関連の最新トピックを紹介します。
「IT化が他分野より10年遅れている」ともいわれる医療業界だが、関連技術や製品、サービスは日々進化している。医療IT関連の動向を紹介する「医療IT最新トピック」。今回は、電子カルテのシェーマ(絵図)利用状況や、上尾中央総合病院のITテレビ 100台導入事例、標準化ストレージ規格「SS-MIX2」の新バージョンのリリースなどを取り上げる。
医師の半数が電子カルテのシェーマは記載しない――メドピア
医師専用サイト「MedPeer」を運営するメドピアが、会員医師を対象に実施した「電子カルテのシェーマ記載」に関するアンケートの結果を公表(2014年9月24日~同月30日、MedPeerサイト内で実施。有効回答数は3602人)。「電子カルテにシェーマ(絵図)の記載をしていますか」と質問したところ、「電子カルテにシェーマは記載しない」という回答が最も多く、32.7%となった。「書ける範囲でシェーマを記載している」は31.7%で、「不便を感じず、シェーマを記載している」は5.1%にとどまった。また、回答者全体の30.5%が「電子カルテを導入・利用していない」であった。
メドピアでは2011年4月に実施した同内容の調査結果と比較。「書ける範囲で記載」が9.6ポイント増、「特に不便なく記載」は1.5ポイント増となり、電子カルテへシェーマを記載している会員は、約3年半たってもわずかな伸びであったという。
同社は「入力の手間や困難さに関するコメントが多く見られたことから、シェーマ入力の利便性には課題が残っていることが分かった」と説明する(発表:メドピア<2014年10月24日>)。
人工知能を応用して“医薬品ビッグデータ”解析事業に参入――UBIC
人工知能を活用したビッグデータ解析事業を手掛けるUBICは、独自に開発した人工知能「バーチャルデータサイエンティスト」を利用し、医薬品ビックデータ解析事業に参入する。
UBICは、国際訴訟支援やデジタルフォレンジック分野における証拠発見技術の研究開発を通じて培った、非構造化データ分析のノウハウを生かす。医薬品ビックデータ解析では、遺伝情報や健康診断情報、問診情報などの構造化・非構造化データを横断して解析する。医師の診断結果やケースごとの効果の違いを可視化し、臨床実験の効果測定分析の精度を向上させることで、医薬品開発時における効率化を目指す。
同事業における研究・開発体制強化のため、UBICは北里大学の竹内正弘教授を医療・医薬分野の技術開発顧問に迎える(発表:UBIC<2014年10月21日>)。
上尾中央総合病院が「ITテレビモニター」100台を導入――シャープ
医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院(埼玉県上尾市)が、液晶テレビにネットサービスなどのIT機能を一体化した「ITテレビモニター」を100台導入。提供先のシャープが発表した。
ITテレビモニターは、ネットサービスや業務用システムと連係するなどのカスタマイズが可能なタッチパネル対応16型テレビだ。上尾中央総合病院では、入院病棟のベッドサイドに設置。患者の見やすい位置に画面を移動したり、テレビ放送を視聴できる他、インターネットや病院施設の案内情報などをタッチパネル操作で閲覧できる。院内の売店で販売する物品の注文やビデオレンタル(VODサービス)の利用も可能(発表:シャープ<2014年10月27日>)。
身体活動のデータをクラウドで蓄積・解析し、見える化する「健康増進サービス」――日立製作所
日立製作所は、健康増進を支援するクラウドサービス「健康増進サービス」を開発。地域住民の健康増進に取り組む自治体や企業を対象に2014年10月31日に販売開始した。自治体や企業が運営する地域住民向けの集会所における健康サロンでの活用などを見込む。
健康増進サービスは、活動量計で計測した歩行などの身体活動のデータをクラウドに蓄積して解析し、分かりやすく可視化。その結果を地域住民に提供するとともに、支援スタッフが結果に基づいた健康増進に役立つ助言を行うなどの運用を想定する。
活動量のデータと疾病との相関をグラフで表示し、具体的な数値指標を用いた活動量の目標管理を可能にする機能も用意。支援スタッフの助言をより的確にするため、東京都健康長寿医療センター研究所で運動科学研究室室長を務める青柳幸利氏による、身体活動と健康状態の相関に関する研究(中之条研究)の成果を活用する。
同社によると、利用者が1人で取り組むのではなく支援スタッフと直接会話する形態を取ることで、健康増進効果を高めるとともに利用者の体調変化や認知症の兆候などの早期発見も期待できるという(発表:日立製作所<2014年10月28日>)。
医療従事者向けキュレーション事業で提携――メディカルトリビューンとミュートス
医学・医療情報の提供、関連イベントの企画・運営を手掛けるメディカルトリビューンと、製薬企業を中心とした企業向けCRM/SFAシステムの開発などを手掛けるミュートスは、会員制デジタルキュレーションサービス「CuraSaw」の構築・運営を目的に業務提携する。CuraSawでは、利用者である医師などの医療従事者の属性や利用履歴に応じて、その興味や関心にマッチする医療情報コンテンツを表示したり、無料で配信したりする。
ミュートスがCuraSawシステムの開発や企画運営を行い、メディカルトリビューンは、医師向けメディア「Medical Tribune」、専門情報サイト「MT Pro」の読者・会員に対するCuraSawへの誘導を担う(発表:ミュートス<2014年10月29日>)。
「SS-MIX2」仕様書・ガイドラインの改訂版をリリース――日本医療情報学会
日本医療情報学会が、医療情報データを格納する標準化ストレージ規格「SS-MIX2(厚生労働省電子的診療情報交換推進事業)」の仕様書・ガイドラインを改訂し、同学会のWebサイト「医療情報の標準化に関する情報・資料など」からのダウンロード提供を開始した。日本医療情報学会、保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)、日本HL7協会、SS-MIXコンソーシアムなどが2014年7月から共同で改訂作業に取り組んだ。
ダウンロードできる仕様書・ガイドラインは以下の3点。
- 「SS-MIX2標準化ストレージ仕様書Ver.1.2」
- 「SS-MIX2標準化ストレージ仕様書Ver.1.2_コード表」
- 「SS-MIX2標準化ストレージ構成の説明と構築ガイドライン Ver.1.2」
「SS-MIX2 標準化ストレージ 仕様書」は「SS-MIX2標準化ストレージ構成の説明と構築ガイドライン」とバージョンを統一するために「Ver.1.2」としている。「Ver.1.0」「Ver.1.1」は存在しない。
日本医療情報学会では改訂の理由について、現バージョン「SS-MIX2標準化ストレージ仕様書Ver.0.96」における実装過程で顕在化した仕様記載の曖昧な点を解消するとともに、JAHIS標準のその後の改訂内容と整合性を取る必要性があったと説明する(発表:日本医療情報学会<2014年10月30日>)。
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