ソニー初の8インチタブレット
徹底レビュー:「iPad mini 3」を上回る高評価、「Xperia Z3 Tablet Compact」が打ち立てた新基準
「Xperia Z3 Tablet Compact」は、ソニーのXperiaタブレットとしては初めて10インチ未満のディスプレーを搭載し、中型Androidタブレットの新たな基準を打ち立てた。
この8インチタブレットは、抜群に洗練されたサイズ、デザイン、軽さが見るからに魅力的だ。しかも、「IP68」規格準拠の防水性能と防じん性能(※)も備えている。米Appleなど他の多くのメーカーは、こうした機能を提供していない。さらにこのタブレットは、米Qualcomm製プロセッサ「Snapdragon 801」(クアッドコア、2.5GHz)と3GバイトのRAMを搭載し、きびきびと動作する。またソニーは、米Googleの「Android 4.4.4」(KitKat)のユーザーインタフェースを若干変更した上で搭載。ストレージ容量(16Gバイトまたは32Gバイト)はmicroSDカードで拡張できるようにしている。
(※)具体的には、IPX5(噴流に対する保護等級)およびIPX8(浸水に対する保護等級)の防水性能とIP6Xの防じん性能
しかし、Xperia Z3 Tablet Compactはまだ改善の余地があり、幾つかの点で競合製品に後れを取っている。他社のフラッグシップタブレットよりも画面解像度が低く、背面のメインカメラもXperiaスマートフォンに見られるものよりも非力だ。価格も32Gバイト版が499.99ドル(日本のソニーストア価格は4万9500円)と8インチタブレットの一般的な相場よりもかなり高い。それでも、このタブレット全体としては長所が短所を上回っている。
仕上がりとデザイン
ソニーのXperiaデバイスは間違いなくデザインが魅力だ。Xperia Z3 Tablet Compactも例外ではない。
重さは、8インチタブレットでは前例のないわずか約270グラムで、手に取ると驚くほど軽い。サイズは213.4(高さ)×123.6(幅)×6.4(厚さ)ミリで、大手メーカー製のコンパクトタブレットでは最もスリムだ。ボディカラーはホワイトとブラックで、デザインやサイズ、重さから、ホワイトモデルは書類の中に紛れ込みやすい。
不思議に思わずにはいられないのが、「これほど堅牢かつコンパクトで剛性もしっかりしている製品が、どうしてこれほど軽いのか」だ。市場に出回っているファブレットの中には、ソニーのこのタブレットと比べて、画面は小さいのに重いものが幾つかある。Appleの「iPad mini 3」も、50グラムくらい重く、1ミリ程度厚い。サイズの小ささと軽さが2つの重要な売り物であるにもかかわらずだ。
重さからいえば、Xperia Z3 Tablet Compactは片手で無理なく持てるが、8インチ画面であるため、使うには両手が必要だろう。そうであっても、これほど洗練された美しいコンパクトタブレットは市場にない。
この軽さは、軽い素材を採用することで実現されている。そのため、Xperia Z3スマートフォンとは異なり、このタブレットの背面はガラスではなく、プラスチック製だ。それでもプレミアム感は損なわれていない。また、このタブレットはアルミニウムで縁取りされており、1枚の薄い板のようなデザインだが、角が丸みを帯びていて、落下してもダメージを受けにくい。
Xperia Z3 Tablet Compactは、訴求力のある充実した製品に仕上がっているようだ。IP68対応の防水・防じん性能も、一般的にユーザーにとって大きな信頼感につながっており、競合製品に対するかなりの優位点となっている。
ディスプレー
ディスプレーは、Z3 Tablet Compactのスペックにおける弱点の1つだ。8インチの「トリルミナスディスプレイ for mobile」が搭載され、解像度は1920×1200ピクセル(WUXGA)、ピクセル密度は283ppiとなっている。このタブレットのような高価なモデルにしては比較的控えめだ。iPad mini 3に搭載されている324ppiの7.9インチディスプレー(2048×1536ピクセル)と比べるとますますさえない。ただし、ユーザーがその違いに気付くのは、iPad mini 3を使った直後にZ3 Tablet Compactを使った場合に限られるだろう。Z3 Tablet Compactだけを使っている分には、不都合はないはずだ。
ソニーがモバイルデバイスからTVまで、あらゆる製品にソニー独自のトリルミナス技術を採用していることを考えれば、Z3 Tablet Compactにこの技術を搭載したのは当然の選択だ。何よりも、この技術は色の表現が素晴らしい。そのおかげでZ3 Tablet Compactは、くっきりと鮮やかなユーザーインタフェースイメージを提供し、それが先進性や高級感に加えて重要な、優れた品質を感じさせる。もっとも、ピクセル密度がそこそこなため、斜めから見ると、画像がわずかに“ディゾルブ”する。これは、コントラストが維持されないということを意味する。しかし、タブレットを正面から見ると、この現象は見えない。
同様に、表示の鮮明さも文句の付けようがない。最高に鮮明というわけではないが、個々のピクセルを肉眼で見分けることができるのは、ユーザーが目を凝らして見ようとする場合や、斜めの直線がコントラストのはっきりした背景の上で動くアニメーション動画を見る場合、文字やWebサイトをスクロールする場合に限られる。表示の鮮明さ(くっきりした強く深い色のおかげといえる)に対する全体的な好印象が、これらのことによって損なわれることはない。
直射日光の下ではコントラストが大幅に低下するが、輝度を上げればこの問題に十分対処できる。
全体的に、ソニーはこのタブレットのディスプレーを、そこそこのもので良しとして作ったという印象を受ける。この印象は当たっているはずだ。このタブレットを薄くできるように、バッテリーはかなり小さくなっていることに留意しよう。そのためにソニーは、電力の消耗が早すぎないディスプレーを搭載する必要があると考えた。これはほとんどのユーザーにとって賢明な判断だった。
ボタンと端子
Xperia Z3 Tablet Compactの前面には、縦位置でディスプレーの右上に220万画素のフロントカメラと照度センサーが並んで配置され、最上部と最下部の中央にステレオスピーカーが隠されているかのように組み込まれ、ほとんど見えない。背面には810万画素のメインカメラ(フラッシュなし)の他は「Sony」「Xperia」「NFC」のロゴだけがある。
横位置で下面中央に充電端子があり、これに「プレイステーション 4」(PS4)のワイヤレスコントローラー「DUALSHOCK 4」をつなぎ、「PS4リモートプレイ」オプションを利用してPS4ゲームを楽しめる。これはソニー製品ならではの機能で、多くのPS4ユーザーがこれを目当てにZ3 Tablet Compactの購入を検討するだろう。充電端子の隣にある保護カバー内にはmicroSDおよびnanoSIMカードスロットが用意されている(後者はLTEモデルのみ)。縦位置で下面左端の保護カバー内にはmicroUSB接続端子がある。
縦位置で右側面最上部にはヘッドセット接続端子が配置されており、右側面中央には電源キー/画面ロックキー、その下には音量キー/ズームキーがある。縦位置での上面にはスロットはない。
パフォーマンス
ソニーはXperia Z3 Tablet Compactに最先端クラスのチップセットを選択した。同タブレットはQualcommのSnapdragon 801プロセッサ(最大2.5GHzで駆動するクアッドコアの「Krait 400 CPU」「Adreno 330 GPU」を搭載)および3GバイトのRAMを備えている。実際に使うと、こうした強力なハードウェアは絶大なパフォーマンスを発揮し、Z3 Tablet Compactは極めて軽快に動作する。
このことは、要件の厳しいアプリを次々に迅速に立ち上げたり、複雑なWebサイトのスクロールやズームイン、ズームアウトを行ったりすることで、顕著に分かる。ビデオを転送したり、タブレットを素早く起動したり、幾つかのアプリケーション、とりわけ、ゲームのようなグラフィックス負荷の高いアプリケーションの同時実行中の速度を維持したりすることでも同様だ。
各種のベンチマークを行ったところ、Xperia Z3 Tablet Compactは、現在販売されているモバイルデバイスの中で最速の部類に入ることが分かった。ただし、ベンチマークによって得手不得手はある。「AnTuTu」と「BrowserMark」のベンチマークでは、Z3 Tablet Compactは他社製品と比べて3位以内のスコアを記録したが、他のベンチマークでは10位以内となっている。例えば、「Geekbench 3」によるマルチコアテストでは2750を記録。韓国Samsung Electronicsの「Galaxy Tab S 8.4」は2780だった。
各種ベンチマークの結果をまとめると、Z3 Tablet CompactのスピードはSamsungの「Galaxy Note 4」、Appleの「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」に匹敵している。タブレットの中では、自社製プロセッサ「Exynos」を搭載するSamsungのGalaxy Tab S 8.4だけが、Z3 Tablet Compactのパフォーマンスに太刀打ちできるレベルに迫っている。ベンチマークは長年、真剣に受け止められてこなかったが、Z3 Tablet Compactが、現在入手可能なタブレットの中で最速クラスであることの証明に一役買っている。
ソフトウェア
Z3 Tablet Compactに搭載のAndroid 4.4.4(KitKat)は、ソニーがユーザーインタフェースを若干改変したものだ。幾つかのソニー製ウィジェットがホーム画面に配置できるようになっているが、それ以外は大きな変更は施されていない。このことは、何も手を加えられていない純粋なAndroidを好むユーザーから間違いなく歓迎されるだろう。
カメラ
メインカメラには810万画素の裏面照射型Exmorセンサーが採用されているが、これはあまりぱっとしない。ほとんどのタブレットのカメラよりも貧弱なだけでなく、ソニーがXperiaスマートフォンに搭載しているものにも及ばない。
つまり、Xperia Z3 Tablet Compactで撮影できる画像は、ごく平均的なものだということだ。日中に撮る写真については不満はない。問題は、暗い状況での撮影だ。夜に撮った写真では、細部はほとんど判別できない。色の解釈に問題があり、ノイズも多いからだ。HDR(High Dynamic Range)をオンにすると、結果は改善されるが、撮影準備と画像保存にかかる時間が長くなる。6カ月ほど前にリリースされた10インチタブレット「Xperia Z2 Tablet」にも同じ問題があった。本格的な改善策が取られてこなかったのは明らかだ。
ビデオ撮影についても同じことがいえる。Xperia Z2 Tabletと同様に、ビデオは解像度1080p、30fpsで撮影できる。
バッテリー持続時間
Android 4.4.4(KitKat)に最適化された最新プロセッサを採用し、電力消費を考慮してディスプレー解像度を抑えたことで、ソニーはXperia Z3 Tablet Compactに、8インチタブレットとしては比較的小容量の4500mAhのバッテリーを搭載することに成功した。実際、画面サイズははるかに小さい(6インチ)のに4000mAhバッテリーを搭載しているファブレットの例もある。だが、Z3 Tablet Compactのバッテリー持続時間は全く申し分ない。具体的には、平均的な使い方で2~3日持つだろう。これなら、こうしたスリムタブレットでは十二分だ。
結論
ソニーのXperia Z3 Tablet Compactは、現在提供されている中型Androidタブレットの中でベストなものの1つだ。8インチタブレットとしては、AppleのiPad mini 3やWindows搭載のコンパクトタブレットを考慮に入れても、恐らくベストだろう。その優位性の源泉は、最先端の優れたプロセッサと素晴らしいデザインにある。中型タブレットとしてはこれまでで最もエレガントで実用的な(防水・防じん性能も含めて)製品と思わせるものを持っている。
一方、短所は、低いディスプレー解像度、メインカメラの貧弱な品質、499.99ドルという高価格だ。しかし、このデバイスの長所は、これらの短所を確かに上回っている。Xperia Z3 Tablet Compactの購入者はほぼ全員が、買ってよかったと思うだろう。
長所
- 薄く軽く、魅力的なデザイン
- IP68準拠の防水・防じん性能
- 最先端の優れた高速プロセッサ
- Android 4.4.4(KitKat)に対する改変がわずか
短所
- ディスプレー解像度が低い
- 価格が高い
- メインカメラが平均的な品質
- バッテリーの持ちがいまひとつ
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー