読書以外の用途にも広く使用可能
徹底レビュー:1万円台のタブレット「Amazon Fire HD 7」はどこまで使えるか
米Amazonの「Fire HD 7」は、オンラインショッピングや電子書籍の閲覧をはじめとして、SNS、Webサーフィン、ゲームなどにも幅広く使用できる低価格な中型タブレットだ。どのようなユーザーにオススメなのだろうか。
米Amazonの「Amazon Fire HD 7」は、米Googleの「Android」をベースにした「Fire OS」を搭載する中型タブレットだ。主な用途はオンラインショッピングと電子書籍の閲覧だが、SNS、Webサーフィン、ゲームなどにも使用できる。最安モデルの参考価格はわずか1万6280円だ。
タブレット市場における成功の鍵は消費者に豊富な選択肢を提供することだとAmazonは考えている。これは、同社が最近サイズの異なる3種類のFire HDシリーズ(「Fire HD 6」「Fire HD 7」「Fire HDX 8.9」)をラインアップに加えたことから見て取れる。
構造とデザイン
Fire HD 7は低価格帯タブレットだ。その影響がデザインの随所に表れている。最も分かりやすいのはカバーだろう。カバーはプラスチック製で、コストが高い金属は使われていない。また、特別洗練された感じもない。このような理由から、Fire HD 7のデザインは“機能的”と呼ぶのが妥当だろう。
だが、カラーバリエーションは豊富だ。黒、白、赤、黄、青の5色があるため、タブレットで個性を表現することができる。
ディスプレー周囲のベゼルは7インチのデバイスにしては幅広だ。そのため、ボディの横幅は、多くのユーザーが求めるよりも広い12.8センチとなっている。手が大きい人は片手で持つことができるが、手が小さい人は幅が広すぎて片手では持てないだろう。参考までに紹介すると、Fire HD 7と同じ価格帯の8インチタブレットである東芝「Encore Mini」の方が横幅は狭い。
337グラムという重量は中型タブレットにしてはかなり重いが、長時間の使用が煩わしくなるほどではない。
ディスプレー
Fire HD 7は、デザイン面で低価格帯タブレットと共通点が多い。ただし、ディスプレーは例外で高価格帯タブレットに引けを取らない。
1280×800の解像度は、7インチディスプレーで216ppiの画素密度となる。理想的な値には後一歩及ばないが、フォントを滑らかにして、動画を鮮明に再生するには十分な画素密度だ。ディスプレーではIPS(In Plane Switching)テクノロジーが採用されているため、視野角が広く、どの角度から見ても問題ない。
動画はディスプレーが大きいほど快適に視聴できるが、このサイズでも問題なくテレビ番組や映画を鑑賞することができる。見逃したテレビ番組を翌日の昼食時に確認するのには、これくらいのサイズのデバイスが便利だろう。
Fire HD 7は直射日光の下でも使用できるが、室内での使用を想定して作られている。そのため、屋外で使用する電子書籍リーダーを探している場合は、「Kindle」シリーズのデバイスを検討するのが良いだろう。
ボタンと端子
Fire HD 7の上部には電源ボタン、左側面には音量調節ボタンが配置されている。
端子は最低限のものしかなく、充電およびPCとのデータ転送用を兼ねたMicro-USB端子が1つと、ステレオジャックが1つあるだけだ。
特筆すべきはmicroSDカードスロットがないことだ。つまり、ユーザーが利用できるのは内部ストレージか「Amazon Cloud Drive」に限られる。Fireシリーズの全モデルはAmazon Cloud Driveに無料でアクセス可能だ。Fireタブレットで撮影した写真とAmazonで購入した書籍や映画などのコンテンツを無制限に保存できる他、任意のファイルを5Gバイトまで無料で保存できる。また、追加ストレージを有料で購入することもできる。
Fire HD 7は低価格帯タブレットのため、プロセッサの性能は高くはない。だが、台湾MediaTekの「MTK8135」クアッドコアプロセッサ(1.5GHz×2+1.2GHz×2)の性能は、カジュアルなゲームや動画再生など比較的負荷の低いタスクには十分だ。
ポーランドAurora Softworksの「Quadrant」ベンチマークテストを実施したところ、Fire HD 7の平均スコアは6150だった。この値は、同じ価格帯の台湾E-Funの「Nextbook 8」のスコア(5240)には勝っているが、より高価な韓国Samsung Electronicsの「Galaxy Tab 4 7.0」のスコア(8465)には及ばない。Fire HD 6とは内部構造が同じため、スコアはほぼ同じだった。
Fire HD 7のベースモデルは1万6280円。内部ストレージは8Gバイトで、電子書籍なら多数保存できるが、アプリを入れるとすぐいっぱいになるだろう。16Gバイトのモデルもあり、こちらの価格は1万8280円だ。
ソフトウェア
大抵のタブレットメーカーは、AndroidのUI(ユーザーインタフェース)を変更しているが、AmazonのFire HDシリーズほど変更しているメーカーはほとんどない。見た目と操作性が大幅に変更されており、AmazonはこのOSを「Fire OS」という名称で呼んでいる。とは言うものの、バックグラウンドで動いているのは「Android 4.4.2」で、ほとんどのAndroid向けアプリがFire HD 7と他のFireシリーズのデバイスで動作する。
ただし、Fire HD 7では、AndroidにバンドルされているGoogleの「Googleマップ」や「Gmail」などのアプリは使用できない。Androidの標準アプリストアである「Google Play」にもアクセスできない。その代わり、Amazonのアプリストアが用意されている。AmazonのアプリストアにはGoogle Playほど豊富なアプリがそろっているわけではない。だが、Fireシリーズで動作確認済みの各種アプリが用意されている。
ほとんどのユーザーがタブレットで行う基本的な作業については、Amazonが独自に開発したアプリが用意されている。例えば、Webサーフィンやメールのやりとりなどだ。
Fire OSでは標準的なAndroid OSよりもシンプルなデザインが採用されている。最近使用したアプリは大きなアイコンとなってカルーセルに表示されるため、すぐに開くことができる。その下には、アプリのアイコンがグリッド表示され、必要なアプリに素早くアクセスできるようになっている。
Fire HD 7では、家族全員がSNSアプリ、電子メール、設定などに個別のプロファイルを設定できる。その一方で、映画や電子書籍などのコンテンツは「Family Library」経由で共有可能だ。
Fire HD 7は、Amazonストアから簡単に電子書籍を購入して読めるデザインになっている。購入した電子書籍は、最近使用したアプリと一緒にカルーセルに表示されるが、Amazonストア以外で購入した電子書籍は簡単に読むことはできない。そのため、Amazonストア以外で購入した電子書籍も読みたいユーザーにはお勧めではない。
Fire HD 7で購入できるのは電子書籍だけではない。全Amazonストアにアクセスできるリンクが目立つ場所に配置されており、Fire HD 7で買い物ができるようになっている。
カメラ
Fire HD 7には前面と背面にカメラがある。メインの背面カメラはわずか200万画素で、フラッシュ機能はない。通常の撮影には十分だが、Fire HD 7のカメラだけで事足りるかどうかは疑わしい。
前面カメラはビデオチャット用だが、自分撮りにも利用できる。
バッテリー持続時間
Amazonによると、Fire HD 7のバッテリーは、Webサーフィンや動画鑑賞など、さまざまなタスクを行った場合に8時間持続するという。米TechTargetは、確認のためにFire HD 7のテストを実施した。Fire HD 7のような負荷が高くない作業に使うタブレットにとって現実的なシナリオと考えられる普通の使い方をしたところ、約3日間再充電をせずに使うことができた。これは、Amazonの公表値を本質的に裏付ける結果といえよう。
バッテリー持続時間は、不要なときにWi-Fiをオフにする、バックライトの明るさを必要最低限のレベルまで落とすなどの方法で延ばすことができる。
Fire HD 7は他の低価格帯タブレットと一線を画している。例えば、Fire HD 7には台湾ASUSの「MeMO Pad 7」のように並外れた性能は備わっていないが、ディスプレーの品質は高い。ただし、E-FunのNextbook 8の性能には勝っている。
Fire HD 7は適正と思われるサイズと重量を若干上回っている。だが、これは低価格帯タブレットによくあることだ。それよりも問題なのは、microSDカードスロットがないことである。とは言うものの、ストレージ不足は無料で使えるAmazon Cloud Driveで埋め合わせることができるだろう。
低価格で便利な中型タブレットを探しているユーザーにはFire HD 7を強くお勧めする。電子書籍の購入がAmazonストアに限られることが気にならないユーザーにとっては、すばらしい電子書籍リーダーになるだろう。読書以外の用途にも使える豊富な機能が用意されている。
長所
- 低価格
- 美しいディスプレー
- 使いやすい
短所
- サイズのわりに幅広で重い
- microSDカードスロットがない
Fire HD 7は、低価格で便利な中型タブレットを探しているユーザーに非常にお勧めのタブレットだ。
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