IT部門視点で考える
最終決戦DaaS vs. VDI 選択のポイントが分かった
「数台だけ仮想デスクトップをサポートすればよい」「一時的に仮想デスクトップが必要」「VDIの専門知識がない」というIT部門にはDaaSがお勧めだが……。
VDI(仮想デスクトップインフラ)ではなくDaaS(Desktop as a Service)を選ぶ理由は1つではない。例えば、「事前投資が少ない」「IT部門による保守作業が少ない」「ユーザーが常時アクセスできる」などの理由だ。だが、組織のデスクトップインフラによってはVDIの方が適している場合もある。本稿ではVDIとDaaSの選択基準を紹介する。
DaaSの場合、プロバイダーに依頼すれば新しい仮想デスクトップはすぐに購入可能で、使い終わったら返却できる。これはDaaSを使用する大きなメリットの1つだ。毎月の支払い額は使用する仮想デスクトップの台数で決まるので、仮想デスクトップのニーズが急に増える可能性がある組織には理想的な選択肢だ。DaaSを利用すれば短期間または時期的な仮想デスクトップの需要に対応できるので、たまにしか使わない機器を大量に抱えずに済む。
また、災害復旧計画の一環として従業員が使用するクラウドベースのデスクトップを稼働させることもできる。これにより、どこでも、どのデバイスからでもデスクトップにアクセスして作業する自由を従業員に与えることが可能になる。
DaaSとVDIの選択基準
VDIを導入したいが、複雑なVDI環境を構築して運用する専門知識を持ち合わせていないIT部門にもDaaSがお勧めである。運用の経験がないまま不十分なVDIプラットフォームを構築するよりも、DaaSプロバイダーから仮想デスクトップをレンタルする方が賢明だ。DaaSを導入して、特にDaaSプロバイダーとともに完全なサーバインフラを構築した場合、オンサイトのデスクトップインフラはごくシンプルなものになるだろう。数台のシンクライアント、1台のプリントサーバ、インターネット接続だけになる可能性もある。
使用する仮想デスクトップの台数が徐々に増え、その数が大きく膨れ上がることが見込まれる場合もDaaSがお勧めだ。DaaSのフットプリントは毎月少しずつ増やせる。一方、VDIを拡張する場合は初めから最大数を計画しておく必要がある。つまり、多額の先行投資を行うか、定期的にハードウェアをアップグレードしてVDI環境を乱しながらキャパシティーを増やすかの二者択一になる。どちらの場合も、VDIではキャパシティーへの事前投資が必要になる。
クラウドサービスプロバイダーのデータセンターにサーバインフラ全体を移行した場合、同じプロバイダーに仮想デスクトップを移行することでメリットが得られる。デスクトップとサーバの距離を近づけばネットワークの待ち時間を極力抑えることができるので、アプリケーションのパフォーマンスが向上する。コミュニティークラウドを利用している企業にとって、これはさらに魅力的に映るだろう。
コミュニティークラウドは、金融サービス企業や政府系企業など特定の顧客にサービスを提供する。これらの企業はクラウドサービスプロバイダーに独自の規制順守を求める場合がある。仮想デスクトップにも同じ規制が課される可能性が高いので、コミュニティークラウドに仮想デスクトップを配置することは理にかなっている。
DaaSではなくVDIを使用する理由
一般的に大規模で多様性に富んだ企業や制御を重視する企業には、オンプレミスのVDIが適している。例えば1万台のデスクトップを配信する必要がある場合、企業の規模はDaaSプロバイダーと同等だといえる。この規模なら、クラウドサービスプロバイダーのように仮想インフラを設計、展開、最適化する余裕がある。ほとんどのスケールメリットを発揮できるなら、外部のプロバイダーのラックいっぱいに仮想デスクトップを用意してもらわなくても、社内でよりコスト効率良くデスクトップを提供できる可能性は高い。
常にクラウド採用の足かせとなるのが制御だ。地域によってはデータ主権に関する法的要件があり、特定の業界に属する企業がクラウドサービスを使えないこともある。1つではなく複数の規制を順守しなくてはならない場合、全ての要件を満たすDaaSプラットフォームを見つけるのは困難だ。
クラウドサービスには「定義済みの構成」という特徴がある。基本的にDaaSのデスクトップ構成を特注することは不可能で、あらかじめ用意されている構成の中から選ばなくてはならない。これに対してVDIは自由にカスタマイズできる。CPU、RAM、ディスク構成を選べるだけでなく、ユーザーに仮想的なラック型ワークステーションを提供することも可能だ。
米Microsoftの「Windows」搭載PCのユースケースでは1台の仮想化ホストに多数の仮想マシン(VM)を配置するのは適切でないことが多く、基本的にDaaSではこのユースケースをサポートしていない。1台の価格が標準的なPCの3~10倍するワークステーションが必要な場合、VMのパフォーマンスはユーザーが求めるレベルには恐らく達しないだろう。
通常、VDIでは高性能なハードウェアが必要なユーザーに専用の物理ワークステーションやカスタマイズしたVMを割り当てることができる。これらのデスクトップはデータセンターに存在しているので、どこからでもアクセス可能だ。DaaS専門のプロバイダーも同様の機能を提供することは恐らく可能だが、その場合はあまりスケールメリットを発揮できない。
両方使用する場合とどちらも使用しない場合
もちろんワークロードごとにDaaSとVDIを使い分けても構わない。VDIは数千人規模の正社員を抱える企業のデスクトップインフラに適している。そのような企業が、契約社員にデスクトップをあてがうためにDaaSを並行して導入することも考えられる。
規制やテクノロジーに関する理由でDaaSに特化した環境が必要になる部分もあるだろう。真にグローバルな組織は、多様性が非常に高い。そのため、全ての需要を1つのテクノロジーで満たすように義務付けるのは災いのもとだ。
昨今人気を集めているのは、DaaSサービスやオンプレミスのVDIへの接続を仲介するVDIサービスだ。1つの方法でVDIとDaaSにアクセスできれば、サポートは簡素化される。ある意味では、DaaSプロバイダーがデスクトップ環境内のもう1つのデータセンターになる。
DaaSとVDIを比較するときに、誰もが目を背けているのが「どちらも使用しない」という選択肢だ。Windowsを搭載した物理PCを増やすのはつまらない旧式のやり方だが、Windowsアプリケーションを間違いなく実行できる。新しいPCを購入してアプリケーションをインストールするという従来のアプローチを踏襲する方が適切と判断する企業も少なくないだろう。
だが、アジリティや柔軟性などのメリットを享受したいならVDIとDaaSのどちらか、または両方の導入を検討するとよいだろう。
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