向き不向きがあるVDIとDaaS
やはりWindowsライセンスが重しに、DaaSを選べないユーザーの不平不満
クラウド型デスクトップには多くの利点があるが、欠点が全く無いわけではない。企業によっては、信頼性やレイテンシ、ライセンス、セキュリティなどの問題がネックとなり、最良の選択肢とはならない場合もある。
クラウド型デスクトップは一部のIT部門にとっては、仮想デスクトップインフラ(VDI)に取って代わる優れた選択肢となるが、幾つかのデメリットもある。
クラウド事業者が仮想デスクトップをホスティングしてユーザーに配信するタイプの仮想デスクトップサービスは、DaaS(Desktop as a Service)とも呼ばれる。DaaSは、外出先の従業員に仮想デスクトップを提供するための、低コストでスケーラブルな方法を探しているIT部門の間で人気を集めている。中には、VDIの代替選択肢としてDaaSを検討するIT部門も出てきている。ただし、クラウド型デスクトップには、レイテンシ、セキュリティ、ライセンスコストといった潜在的な問題が潜んでいる。
DaaSの弱点とは
DaaSはクラウドベースのサービスなので、クラウドに付随する懸念は全てDaaSにも当てはまる。事業者の信頼性、レイテンシ、帯域幅の増加、セキュリティの複雑化といった懸念だ。
DaaSの導入では、利用する事業者とその事業者とユーザー間の接続に大きく左右される。事業者側で災害や故障などのトラブルが絶対に発生しないという保証はなく、万一トラブルが起きれば、ユーザーはデータにアクセスできず、業務が滞ってしまう。そうした最悪のシナリオは抜きにしても、ユーザー企業にとってクラウドのレイテンシは、依然としてごく普通の問題だ。ネットワークの遅延により顧客のリソースは制限され、仕事の能率に影響が及ぶこともある。加えて、クラウド型デスクトップの導入に伴い、トラフィックの量が増え、帯域幅のコストが上乗せされる可能性もある。となれば、VDIを使い続けるしかない企業もあるかもしれない。画像処理の業務が多い企業にとって、これは特に重要な検討事項だ。クラウドでTバイト級のデータを扱うと効率が落ちる可能性がある。
自社のデータをサードパーティーに委ねられるかどうかを検討することも重要だ。クラウド事業者はデータの安全確保を約束することはできる。だが結局のところ、完璧なファイアウォールなどない。クラウド事業者のセキュリティが破られれば、顧客にとっては頭の痛い事態に陥りかねない。
DaaSのライセンスはなぜこうも複雑なのか
DaaSを採用する上で、極めて大きな障害となるのがライセンスの問題だ。デスクトップとVDIに関する米Microsoftのライセンスモデルは非常に難解なこととで有名だが、DaaSのサービス事業者や顧客もその複雑さから逃れることはできない。
Microsoftはサービス事業者向けのライセンスプログラム「Services Provider License Agreement」(SPLA)を用意しており、事業者はエンドユーザーに対し、Microsoftソフトウェアへのアクセスを月額料金制で提供できるようになっている。
だが、デバイスから仮想デスクトップにアクセスするために必要となるライセンス「Virtual Desktop Access」(VDA)にはSPLAが用意されていない。つまり、DaaS事業者はエンドユーザーにWindowsデスクトップをレンタルすることはできず、エンドユーザーは自身でWindowsライセンスを契約する必要があるということだ。そのコストはDaaSのサブスクリプション料金には含まれていない。
ノートPCやスマートフォン、タブレットなど、さまざまなデバイスから自分の仮想デスクトップにアクセスしたいと望むユーザーが大勢を占める今の時代、VDAライセンスに端末1台当たり年間100ドルを掛けていては、コストは一気に跳ね上がる。となると、VDIの代替選択肢としてDaaSに移行できるのは、小規模企業か、あるいは「仮想デスクトップアクセスは一部の少数ユーザーに提供できれば十分」という企業に限られるのかもしれない。
VDIの方が向いているのはどのような企業か
VDIの導入は間違いなく、DaaSの導入よりもはるかに複雑だ。だが、DaaSの導入を簡単にしている要因が、場合によってはマイナス要素となることもある。例えば、DaaSはユーザーを簡単に増やせるためにライセンス管理は用意だが、ライセンス契約は依然として必要であり、さらにサブスクリプション料も発生する。ライセンス料の値上がりもある。スケーラビリティをそれほど重視しない企業にとっては、DaaSはマイナス面の方が大きく、割に合わない可能性もある。
VDIサーバをオンプレミスで運用するということは、セキュリティと信頼性を自社で確保できるということであり、この点を安心材料と捉える企業もあるだろう。セキュリティポリシーとバックアップ手順を自社で管理し、機密情報の安全責任も自社で担い、ID管理は容易になる。トラフィックの大半は自社のネットワーク上を流れるので、帯域幅について心配する必要もあまりない。つまり、日常的に大きなファイルを扱っている企業にとっては、VDIは特に好都合ということだ。
業種にもよるが、とりわけ金融とヘルスケアの分野では、規制によってクラウド型デスクトップの使用が認められない場合や、導入に桁違いの費用が掛かる可能性がある(例えば、プライベートクラウドが必要になるなど)。コンプライアンス上の問題からDaaSを利用できない企業にとっては、恐らくVDIがユーザーに仮想デスクトップを提供する唯一の選択肢となる。
DaaSは自社に適しているか
結局のところ、クラウドデスクトップが自社に適しているかどうかは全て、「自社のニーズ」と「サードパーティーにデータを委ねることへの抵抗感の有無」にかかっている。「DaaSかVDIか」という問題の正解は1つではない。最善策は、DaaSとVDIの両方を組み合わせた仮想化戦略かもしれない。行動に移る前にまず、自社のニーズを見極めて、想定されるクラウドデスクトップ事業者への信頼の度合いをじっくりと評価することが大切だ。
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