長期的なコスト削減にも役立つ
フラッシュストレージの寿命を最大化する4つのコツ
フラッシュメモリストレージの寿命は以前ほど大きな問題ではなくなっている。だが、さらにその寿命を延ばすとなると幾つかのコツがある。
ITリソースのチューニングには、ほとんど常に何らかの副作用がある。例えば、CPUをオーバークロックすると、信頼性への悪影響がパフォーマンスの向上をいずれは上回ってしまう。しかし、フラッシュメモリストレージの寿命を最大化する最良策は、パフォーマンスを最大限まで追求することだ。ストレージパフォーマンスを高める工夫の多くが、フラッシュストレージの寿命を延ばすことにもつながるからだ。
フラッシュドライブは、ドライブのフラッシュメモリチップ内のセルにデータを保存する。これらのセルからのデータ読み出しは、ドライブの信頼性に影響を与えることなく、何度も繰り返し行える。しかし、セルにデータを書き込める回数には制限がある。そのため、フラッシュドライブの寿命を延ばす鍵は、書き込み操作を最小限にとどめることにある。これは全体的なパフォーマンス向上にも役立つ。エンタープライズクラスのフラッシュドライブは、極めて信頼性が高いことが分かっている。それでも、書き込み操作を減らす方法を講じれば、こうしたドライブの寿命とパフォーマンスも一段と向上する。
1. フラッシュメモリストレージにはパリティスキームを適用しない
ドライブの寿命に関してユーザーにできる最も重要なことは、「フラッシュドライブを『RAID 5』や『RAID 6』などのパリティスキームで使用しない」ことだ。パリティデータはディスク障害に対する一定の保護を提供するが、その代償としてアレイのパフォーマンスが低下し、ストレージ容量が減少する。フラッシュストレージの場合、パリティデータに関連する書き込み操作は、ドライブの寿命も短くする。代わりに、ミラーセット(RAID 1)をストライピング構成(RAID 0)とする「RAID 1+0」を使用する方が効果的だ。そうすれば、不要な書き込みサイクルを発生させずにディスク障害から保護できる。
2. デフラグを無効にする
もう1つのお勧めの方法は、「フラッシュドライブやフラッシュアレイのデフラグを無効にする」ことだ。デフラグプロセスはもともと、HDDの読み取り装置(ヘッド)の動きを低減し、パフォーマンスを高める方法として考案された。しかし、フラッシュドライブではヘッドの移動時間に関連するパフォーマンスの低下は起こらない。さらに、書き込みデータを空きセルに割り振る「ウェアレベリング」は、フラッシュドライブのデフラグで得られる可能性があるメリットを小さくする。
ほとんどの最新のOSは、ソリッドステートストレージのデフラグを自動的に無効にする。しかし、OSがフラッシュストレージをデフラグしないように設計されていても、さまざまな状況でデフラグプロセスが自動的に実行される。例えば、OSはドライブをソリッドステートとして認識できないと、そのディスクをフラッシュではないと見なしてしまう。同様に仮想ハードディスクは、ホストしている物理ストレージがフラッシュベースでもHDDとして扱われることが多い。
3. Windowsページファイルを無効にする
フラッシュメモリの寿命を延ばすためにできる可能性があることとして、「フラッシュストレージを使用するOSボリュームのページファイルを無効にする」ことが挙げられる。Windowsページファイルは主に、RAM不足の克服とメモリダンプ情報の保存のメカニズムとして存在する。システム構成によってはページファイルを完全に無効にしたり、フラッシュ以外のボリュームに移動したりすることができる可能性がある。
Windowsページファイルの無効化は、長年にわたって盛んに議論されてきた。だが、米MicrosoftのIT担当者向け情報サイト「TechNet」の最近の記事では、ページファイルはオプションとして言及されており、「Windows 10」のプレビュー版で明らかになった変更点は、ページファイルの重要性が以前よりも大きく低下していることを示唆している。
4. 静的データは動的ウェアレベリング対応ドライブ以外に保存する
最後のアドバイスは、「動的ウェアレベリングを使用するドライブに静的データを保存しない」ことだ。ウェアレベリングは、書き込み操作をドライブ全体に分散させ、同じセルへの書き込みが繰り返し行われないようにすることで、フラッシュドライブの寿命を延ばす仕組みだ。ウェアレベリングは、動的なものと静的なものがある。
例えば、フラッシュドライブの50%の容量を静的データが占めていて、トランザクション性の高いデータがドライブの残りの50%に頻繁に書き込まれているとしよう。このドライブが動的ウェアレベリングしか使用していない場合、アクティブデータを含むセルがウェアレベリングの対象になる。つまり、静的データが存在するために、このドライブは不均等に消耗してしまうことになる。ウェアレベリングによってこのドライブの寿命は、ウェアレベリングメカニズムがない場合より長くなるが、データが頻繁に書き込まれるセルがいずれは消耗し切ってしまい、そのためにドライブは動作しなくなる。静的データを含むセルは新品同然の状態であるにもかかわらずだ。
静的ウェアレベリングでは、動的ウェアレベリングと同様の効果が得られる他、ドライブがより均等に消耗するように、定期的に静的データが異なるセルに再配置される。これによってドライブ全体の寿命が向上する。
SSD(ソリッドステードライブ)は一般的に信頼性が高いが、フラッシュメモリの信頼性をさらに向上させる方策を講じれば、長期的なストレージコストの削減にも役立つ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
4
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
7
ANAが専用回線から移行した「NaaS」の全貌 ネットワーク準備が数カ月から数週間に
-
8
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
9
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
10
「プログラマー不要論」にThe Linux Foundationが示した答え
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー