MSやGoogleとは競合しない
開発者向けクラウド「DigitalOcean」がAWSよりも優れている点
IaaSプロバイダー米DigitalOceanのクラウドサービスとAWSを比較する。DigitalOceanがAWSより優れている部分とは?
米Amazon Web Services(Amazon)は、さまざまな顧客のニーズを満たすクラウドサービスを提供している。対応範囲は1台のサーバを使用する開発者から分散システムで複雑な処理を実行しているエンタープライズITアプリケーションまでと幅広い。一方、米DigitalOceanはユーザーのターゲットをクラウド開発者に絞っている。
本稿では、DigitalOceanが「Amazon Web Services」(AWS)と異なる点およびAWSより優れている点を紹介する。DigitalOceanのクラウドサービスは、速度を重視した幾つかの機能を提供している。具体的には、1分以内のプロビジョニング、SSDドライブの使用による遅延が少ないI/O、イメージ/ドメイン/ドロップレット(VMインスタンス)/SSHキーなどの他のクラウド環境オブジェクトを管理するためのプライベートネットワークとAPIだ。
クラウド ナビ
DigitalOceanのクラウドサービスでは、一般的な管理作業をAPIから簡単に行うことができる。例えば、開発者はマスターイメージからすぐに新しいインスタンスを起動することが可能だ。必要な作業は、開発者が子ドロップレットに含めたいと考えるパッケージで構成した新しいドロップレットを作成するだけだ(DigitalOceanではVMインスタンスを「ドロップレット」と呼んでいる)。コントロールパネルまたはAPIを使用してドロップレットのスナップショットを作成したら、イメージIDを使用して、マスターイメージと同じ構成の新しいスナップショットを作成されたい。開発者はスナップショットの作成中に設定を追加できる。例えば、ドロップレットの作成中にユーザーデータを送信することが可能だ。
DigitalOceanのクラウドサービスには、メッセージングサービスやデータサービスなど、AWSに組み込みで用意されている一部のサービスがない。このようなサービスはどちらかというと管理者を対象としたものである。一方、開発者は自動拡張などのエンタープライズレベルの機能を必要とすることが多い。DigitalOceanのドキュメントには、シンプルなスクリプトが用意されている。このスクリプトでは、必要に応じてリソースを自動的にスケールアップ/ダウンするDOAPIやHAProxyサーバを使用している。
DOProxy Rubyのスクリプトは、HAProxyロードバランサーにドロップレットを格納し、コマンドラインインタフェースを使用して管理する。DOProxyによって開発者はドロップレットを作成および削除したり、ドロップレットの一覧を管理したりできるようになる。また、手短なコマンドラインの操作によって、ドロップレットの作成と削除が簡単に行えるようになる。ドロップレットの削除には、削除するドロップレットの行番号が必要だ。
DigitalOceanのクラウドサービスのセキュリティ機能
AWSにはフル機能を備えたID管理サービスが備わっているが、DigitalOceanには「OAuth」をベースとした基本的な認証サービスが備わっている。アプリケーションをOAuthに登録すると、開発者にはクライアントのIDとシークレットが提供される。クライアントのシークレットは、アプリケーションと認証サーバ間の通信に使用される。
OAuth APIを使用すると、基本的なユーザー認証のリンクとアクセストークンの発行が可能になる。開発者はDigitalOceanの認証サーバにアクセスして、いつでもトークンを失効させたり、新しいトークンを作成したりすることができる。失効させたトークンは恒久的に無効になる。アクセストークンには、"読み取りのアクセス"または"読み取りと書き込みのアクセス"のどちらかが設定できるため、ユーザーによるアクセス制御が多少なりとも強化される。
OSのサポート、価格、ポータビリティ
DigitalOceanでは、人気のあるLinuxディストリビューションがサポートされている。例えば、「Ubuntu」「CentOS」「Debian」「Fedora」「CoreOS」などだ。だが、米Microsoftの「Windows」はサポートされていない。DigitalOceanのクラウド環境は、すぐに導入できるアプリケーションも提供している。このようなアプリケーションには、米Dockerの「Docker」、Django、MongoDB、Node.js、WordPressなどがある。
DigitalOceanの価格体系は「Simple Volume」と「High Volume」の2つに分かれている。前者では、価格が月額5~80ドル、メモリが512Mバイト~8Gバイト、データ転送が1~5Tバイト、ストレージが20~80Gバイト、CPUがシングルコア~クアッドコアのプランが用意されている。一方、後者のプランでは、価格が月額160~640ドル、メモリが16~64Gバイト、データ転送が6~9Tバイト、ストレージが160~640Gバイト、CPUが8~20基となっている。全てのプランでSSDストレージが使用されており、時間単位の課金も利用するできる。
DigitalOceanのクラウドサービスは、AWS、Microsoftの「Microsoft Azure」、米Googleの「Google Cloud Platform」とは直接競合しない。Linuxベースのプラットフォームで開発を行っている開発者であれば、DigitalOceanでは、管理オーバーヘッドが少なく、価格が魅力的でパフォーマンスが高いVMが提供されていると感じるだろう。だが、DigitalOceanのクラウドサービスが全ての企業に適しているわけではない。AWSの「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)などのようにサービスの機能を備えたプラットフォームが必要な場合、DigitalOceanのクラウドサービスは適切な選択肢ではない。DigitalOceanのクラウドサービスだけでなく、AWSやGoogleのクラウドサービスのメリットも享受したい開発者の方は、軽量のコンテナとしてDockerを使用することを検討されたい。Dockerを使用すると、DigitalOceanから別のIaaSプロバイダーにアプリケーションを移行することが可能になる。
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