プライバシー保護優等生のAppleがライバル批判
Appleのティム・クックCEOがあきれるネット企業のプライバシー侵害、なぜ放置?(1/2 ページ)
米Appleのティム・クックCEOは、「顧客にはプライバシーに対する基本的な権利がある」と語った。今後、企業は消費者のプライバシー情報をどう扱っていくべきなのだろうか。
米Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)はこのほど行った講演で、米Googleや米Facebookなど顧客のデータの収集と収益化で成り立っているインターネット企業に苦言を呈した。
「顧客にはプライバシーに対する基本的な権利があるとわれわれは信じる」とクックCEOは、プライバシー擁護団体Electronic Privacy Information Center(EPIC)が米ワシントンで開催したイベントで語った。このイベントは同団体が発表した「EPIC Champions of Freedom Awards」の受賞者の祝賀会で、クック氏を含む4人が表彰された。
無料サービスの提供とパーソナライズ広告のための手段として、電子メールや検索履歴、写真などから個人情報を掘り起こすことは、プライバシーに対する基本的な権利を踏みにじるものだとクック氏は論じた。顧客はそうした代償を強いられるべきではなく、またその引き換えにも応じないだろうと同氏は指摘し、「個人情報を掘り起こすことは一体何のためなのか、ユーザーにもいつか分かると思う」と語っている。
これは自社を棚に上げてのライバル批判だろうか。そうではないとプライバシーの専門家は言う。米調査会社Forrester Researchのアナリスト、ヘイディ・シェイ氏によると、Appleは消費者のプライバシー保護を事業の根幹に据え、代わりにハードウェアとアプリケーション、音楽の売り上げで収益を得ている。同社の「iMessage」や「FaceTime」などのサービスには暗号化が施されている。「cool(イケてる)とcreepy(不気味)との間には微妙な一線がある。Appleのような企業はこれに敏感だ」とシェイ氏はブログに記した。
怠慢と無知が助長するプライバシー侵害
だがAppleのように顧客のプライバシーに配慮する企業は少数派だと語るのは、米調査会社451 Researchのセキュリティ担当上級アナリスト、エイドリアン・サナブリア氏。「責任の一端は私たちユーザーにもある。ユーザーはデータ収集に対して驚くほど無頓着で、大多数はほとんど気にも留めない。誰もが気にするのは主に、サービスが無事機能するかということだ」と同氏は言う。
しかも無頓着なだけにとどまらない。451 Researchの上級アナリスト、ギャレット・ベッカー氏によれば、「ユーザーは基本的に怠慢」であり、無料サービスと引き換えに、進んで無知なままでいる。「私自身は、個人情報を収集しない検索サービスや電子メールサービスがあれば進んで料金を払うだろう。ただ私は少数派かもしれない」とギャレット・ベッカーは語る。
ここに悪循環がある。顧客が気にしない以上、多くの企業はプライバシーポリシーを改善する意味はないと考える。顧客が気にしないのは、そうしたポリシーの分かりにくい細部を十分に理解していないためだ。少なくともポリシーに目を通していればの話だが。
「無知でいることは幸せかもしれない。だが、もし企業が何を収集してどう使っているかを事前にはっきり説明すれば、消費者の抵抗に遭うだろう」(ベッカー氏)
また、米国家安全保障局(NSA)の情報収集に対する非難と、企業による個人情報収集に対する非難が結び付かないのは不可解だともベッカー氏は言う。この矛盾を露呈させてくれるスノーデン氏のような人物が、コンシューマー市場にも必要なのかもしれない。
やり直すことはできない
いずれにしても、情報プライバシーのような問題は簡単には解決しない。決済情報に対する規制があっても、われわれは医療や写真など多くの種類の個人情報を企業に提供している。こうした情報はそれほど厳重な規制の対象にはなっていない。
451 Researchのサナブリア氏は言う。「もしクレジットカードが盗まれたとしても、自分に金銭的被害は一切生じない。詐欺だったことが確認されれば銀行がリスクを負担してくれて、自分は新しいクレジットカードがもらえる。だがヌード写真はいったん投稿されてしまえば取り返しがつかないことになる」
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