「壊れていないものを直すな」は正しいか
Windowsタブレットユーザーが「Windows 10」を導入すべきは、今すぐ? それとも半年後?(1/2 ページ)
米Microsoftを代表する製品であるWindowsの待望の最新版「Windows 10」がリリースされた。これで今すぐにでも、手持ちのWindows 8.1搭載タブレットをWindows 10にアップグレードできる。だがそれは得策なのだろうか。
米Microsoftは「Windows 8/8.1」または「Windows 7」を搭載するコンピュータには、「Windows 10」のリリース後1年間に限り、アップグレードを無償で提供する方針だ。そこで、Microsoftの他、米Dellや中国Lenovoなどが提供するWindowsタブレットを使用する何百万人ものユーザーは目下、「今すぐアップグレードすべきか」を自問している。
この問いに対する答えは、タブレットの使用目的によって異なる。つまり、Windowsタブレットを主にインターネットに使用しているカジュアルユーザーか、生産性ツールとして毎日利用しているハードコアユーザーかによってだ。
カジュアルユーザーの場合
メールの確認、Webへのアクセス、Facebookのチェック、ちょっとしたゲームのプレイなどの気軽な用途にWindowsタブレットを使っているユーザーは多い。タブレットでは「Microsoft Office」を使わず、恐らく外付けキーボードも持っていないようなユーザーだ。こうしたカジュアルユーザーは、Windows 10へのアップグレードを数カ月ほど控えた方がいい。ただし、Windows 10には幾つか素晴らしい新機能があるので、いずれはアップグレードすべきだ。
なぜ今すぐWindows 10にアップグレードしない方がいいのかは、歴史を少し知れば理解できる。Windows 8/8.1はタブレットを意識して設計されたOSなので、タッチスクリーン端末ではおおむね良好に動作している。だがノートPCの場合、そうはいかなかった。頻繁に使用する機能の多くが、マウスでは使いにくいのだ。全Windowsユーザーに占める割合が最も大きいのはノートPCユーザーであることから、Windows 10はノートPCユーザーを優先し、米Appleの「OS X」への乗り換え阻止を目指したOSとなっている。つまり、Windows 10ではタブレットは優遇されていないということだ。
とはいえ、MicrosoftはWindows 10の開発に際し、タブレットユーザーを無視したわけではない。Windows 10には、Windows 8のModern(旧Metro)インタフェースとよく似た「タブレットモード」が用意されている。例えば、タブレットモードで「スタートボタン」をタップすると、おなじみの「ライブタイル」が並ぶスタート画面が表示される。ウィンドウ表示されていたアプリケーションは全て全画面表示となる。ただし、画面を分割して複数のアプリケーションを並べて表示することも可能だ。
「チャームバー」はなくなり、画面右端から左方向にスワイプすると、新しい「アクションセンター」が表示される。ここには、アラームや受信メールなどの通知の他、各種設定を切り替えるためのボタンが表示される。
タブレットユーザー向けの改善点は他にもある。これまで、従来のWindowsアプリケーションを利用するためには、ModernインタフェースからWindowsデスクトップに切り替える必要があった。だがWindows 10ではこの面倒な作業は不要となり、Modernアプリケーション(Windowsストアアプリ)だけでなく、あらゆるアプリケーションをタブレットモードで実行できる。さらに良いことに、実行中のアプリケーションは画面上のボタンを押すだけで切り替えられる。
音声アシスタント機能「Cortana」については、ビジネスユーザーよりもカジュアルユーザーの方が気に入るかもしれない。Windows 10では、この仮想アシスタントは「Windows Phone」だけでなく初めてPCでも使えるようになった。いったんCortanaのクセや制限に慣れれば、非常に便利な機能になるかもしれない。
Windows 10には「Microsoft Edge」と呼ばれる新ブラウザが搭載されている。Edgeはまだ完成度が低く、Windows 10の弱点の1つと言わざるを得ないが、今後必ず改善されていくはずだ。Webページに手書きで書き込んだり、メモを書き込んだページを「OneNote」に保存したりもできる。タブレットユーザーには重宝しそうな機能だ。
結論としては、Windows 10はタブレットのカジュアルユーザーが使用するには優れたOSだ。ただし、同じことはWindows 8にもいえるし、「壊れていないものを直すな」という格言もある。カジュアルユーザーがすぐにもWindows 10に切り替えようとあせる必要は全くない。いずれにせよ、Microsoftはまだあと数カ月間はバグの発見と修正を行うことになる。
ただし、Windows 10への無料アップグレードが提供されるのはリリース開始から1年間だけだ。2016年7月28日までのいずれかのタイミングで、Windows 10をインストールすべきだ。その頃までにはMicrosoftも全ての不具合を修正しているだろうし、新機能を試してみるには格好のタイミングとなるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[サイボウズ株式会社] DXに必要な「Dスキル」「Xスキル」を持った人材を育成するには? -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] データで見る、DXが「順調に進む企業」と「つまずく企業」の違い -
製品資料
[サイボウズ株式会社] 賛否が割れがちな「Notesからの移行」 新環境への移行を納得してもらうには? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] 農林中金に学ぶ内製開発 処理効率を約2倍に高めAI活用も加速させた方法とは? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] NTTグループのデジタル変革術、17万人が利用する決裁プロセス刷新の全貌
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
2
kintoneで実践 製造業のための「見積もり管理」改善のヒント
-
3
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
4
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
5
サーバ約70台をAWSへ ヤナセが移行前にやった「通信要件の可視化」
-
6
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
-
7
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
8
製造業と金融業で「AI導入」が進まない理由 それぞれが抱える“恐怖”とは
-
9
「AI活用」を掲げた年金刷新が炎上 英政府が大手ITアウトソースを切り捨て「内製回帰」した理由
-
10
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
7
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
8
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
9
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー