フラッシュストレージの4大進化【後編】
NANDフラッシュより“1000倍高速かつ耐久性に優れる”最新メモリ技術とは
フラッシュストレージ技術は進化を遂げている。間もなくNANDフラッシュに取って代わることが予想される最新技術を紹介する。
近年フラッシュストレージ界を4つの大きな進化が席巻した。3Dアーキテクチャによって高密度のNANDチップが実現し、メモリチャネルフラッシュはソリッドステートストレージを増量するためにサーバのDIMMスロットとバスを使用するようになった。また、Non-Volatile Memory Express(NVMe)によって、より優れたパフォーマンスを引き出すためにサーバのPCIバスをさらに効率的に利用できるようになり、NVDIMMはシステムのRAMに不揮発性を付加した。
現在、どのテクノロジーも利用可能だ。前編「NANDフラッシュの多次元化で曖昧になるメモリとの境界線」に続き、各テクノロジーの最適なユースケースとメリット/デメリットを紹介する。それから、NANDフラッシュテクノロジーに取って代わるであろうテクノロジーについても取り上げる。
NVM Express
NVMeは、ストレージデバイスに使用されるNANDフラッシュなど、不揮発性メモリと動作するように設計された新しいストレージプロトコルだ。非常に大きな「Queue Depth(キューデプス)」と高速なデバイスのキューの数に対処できるように最適化されている。デバイスが速くなればなるほど、待ち時間という観点で、ハードウェアではなくOSのストレージソフトウェアスタックがボトルネックになることがずっと懸念されてきた。NVMeの目的は、その問題を回避することだ。
現在NVMeは、複数のフォームファクターで展開されているNVMeデバイスの物理インタフェースとしてPCI Expressバスを使用している。最初にリリースされた複数のNVMeデバイスはエンタープライズクラスのSSD(ソリッドステートドライブ)だったが、クライアント(消費者)向けのNVMe SSDの誕生が期待されている。筆者のチームが行った実験では、NVMe SSDはSATAやSASのSSDよりもかなり高速で待ち時間もずっと少なかった。
NVM Expressの団体は、NVMeの能力を距離を越えて拡張し、多数のデバイスをサポートするため2014年9月に「NVMe over Fabrics」を発表した。これは2015年と2016年において発展する分野として非常に興味深く目が離せない。
NVDIMM
NVDIMMテクノロジーは、DIMMスロットを通じてメモリチャネルに不揮発性メモリ(NVM)を組み込む方法の1つだ。このテクノロジーにはDRAMかNVM(現在はNANDフラッシュ)、あるいはその両方が含まれている。NVDIMMテクノロジーは「NVDIMM-N」「NVDIMM-F」「NVDIMM-P」の3種類に分類できる。これらのテクノロジーのほとんどを使用するにはBIOSの設定変更は避けられない。また、完全にサポートするためにはOSの変更が必要になる場合もある。
NVDIMM-Nは、DRAMとNVMの両方を含むDIMMだ。システムで認識されるのはDRAMだけで、容量も待ち時間もDRAMとして一般的な標準のRDIMMと見なされる。NVMは、ホストサーバによってアドレス指定はできず、単にDRAMのバックアップとして機能する。DIMMには、少なくともDRAMと同程度のNVMが搭載されているので、DRAMのデータは全て保護可能だ。NVDIMM-Nは、通常のDRAMと同じように動作するが、停電時は例外だ。この場合は大容量キャパシタがDRAMをNVMにコピーするための電力を供給し、DRAMのデータがNVMに保存される。データ保護機能を実行するためには、NVDIMM-NのBIOSサポートが必要になる。
NVDIMM-FにはNVMだけが搭載され、DRAMはない。ときに「メモリチャネルフラッシュ」と呼ばれることがある。ストレージに対してブロック指向のアクセスを実行し、NVMをメモリアドレス空間に割り当てることができる。NVMの容量はSSDとして一般的だが、待ち時間は標準のストレージよりもずっと短い(一般的に1~99マイクロ秒だ)。
NVDIMM-PにはDRAMとNVMの両方が搭載されており、NVDIMM-NとNVDIMM-Fの機能が同一のモジュールに統合されている。NVMは、DRAMに不揮発性を提供する領域とブロックストレージとしてアクセス可能な領域の2つに割り当てられる。
Persistent Memoryの影響
本稿で紹介した新しい不揮発性メモリテクノロジーは「Persistent Memory」(PM)テクノロジーに分類される。アプリケーション開発者は、この新しいPMテクノロジーによって、アプリケーションやその他の主なソフトウェアコンポーネント(ファイルシステムやOSなど)の作成方法の見直しを余儀なくされるだろう。
PMは、ストレージではなく、バイトアドレスが指定可能なアプリケーションのメモリとして認識される。だがその不揮発性により、長時間の経過後に同一の論理的な場所からデータを取得することが可能だ。そのため、私たちは「LUN」と「ファイル」の概念を変えて、以前はストレージデバイスと見なされていたものにメモリアドレスを割り当てる新しいテクノロジーに適応しなければならない。
このテクノロジーには多くの疑問が残る。「ストレージに対応するためのドライバーは必要なのか」「ファイルシステムがPMを認識するようにする必要はあるのか」「RAIDやそれに相当するものは必要なのか」といった疑問だ。
想像にたがわず、これらのテクノロジーを完全に利用するには、幾つかの新しいプログラミングモデルが必要になる。SNIA(Storage Networking Industry Association)は、2015年3月に「NVM Programming Model(NPM)のバージョン1.1」を承認した。この仕様では、PMに関連する幾つかの技術的問題(ストレージに用いる従来のソリューションが通用しないもの)に対処している。
幾つかの業界グループは、今後誕生するソフトウェアシステムにPMが及ぼす影響に対処している。このトピックの詳細に興味がある場合は、SNIA NVM Programming Technical WorkgroupとPersistent Memory Programmingプロジェクトが手始めとして最適だ。どちらの業界グループも、これらのソフトウェア開発トピックに関する技術的な詳細情報を提供している。
新しい種類のメモリ
NANDフラッシュがデータを保存できるようにする基盤テクノロジーは、フローティングゲートトランジスタをベースにしている。NANDフラッシュテクノロジーの後継となる可能性を秘めた幾つかの新しいメモリテクノロジーは、さまざまな基盤テクノロジーをベースにしている。これには「相変化メモリ」、メモリスタなどの「抵抗変化型メモリ」、スピン注入メモリなどの「磁気抵抗メモリ」などがある。
この一部または全ては2~5年の間に顕著に増えて利用できるようになることが予想される。NANDフラッシュテクノロジーの後継が出てくるならば、各テクノロジーの容量、速度、コストが、どれが後継テクノロジーになるかに影響を及ぼすことだろう。
米Intelと米Micron Technologyは、2015年7月に「革新的」と自負する新しいメモリテクノロジー「3D Xpoint」を共同で発表している。「このテクノロジーは、最大でNANDよりも1000倍高速で、1000倍耐久性に優れている。従来のメモリより10倍も高密度である」と同2社は主張している。このテクノロジーは、現在のDRAMとNANDフラッシュメモリの間にある溝を埋める可能性を秘めているといえるだろう。
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