知って納得、「セキュリティ法制度対応」の具体策【第3回】
「個人情報保護法」改正で必要になるセキュリティ対策とは?(2/3 ページ)
法の適用範囲の拡大
改正個人情報保護法では、これまでは個人情報保護法の適用対象外だと認識されていた事業者や情報が、適用対象となる場合があることに注意が必要である。例えば、従来は保有する個人情報の合計件数が5000件以下であれば、個人情報保護法が適用除外されていた。今回の改正により、この適用除外が撤廃されたのだ。合計件数の多少を問わず、「個人情報データベース等を事業の用に供している者」が適用対象になると明記されている。
これまで小規模取扱事業者として個人情報保護法の適用除外であった事業者は、事業者内・情報システム内において、改正後の個人情報の定義に該当する情報の取り扱いの有無を確認すべきである。
セキュリティ対策の強化
データ消去
そもそも情報セキュリティにおいて、保護すべき情報の取り扱いを必要最小限にすることは基本かつ大変重要だ。当改正でも、不要となった個人データの消去が努力義務として明記された。情報システムにおいてはあらためて個人データの流れを整理し、不要なデータが確実に消去されるよう取り計らうべきだ。消去はシステムによる自動処理か人手による運用かを問わない。
不正な提供・盗用の抑制
当改正では個人情報データベースの不正な提供や盗用について罰則が設けられた。これは言うまでもなく不正の抑制を意図したものだ。当改正で変更されたわけではないが、20条で挙げられている個人情報の安全管理措置は、各事業者において不正な提供につながる操作や処理の制御に有効な、情報セキュリティの基本的な対策だといえる。これらの措置の実施状況をあらためて確認する必要がある。
具体的な安全管理措置については、主務官庁からのガイドラインやパンフレットも参考になる。例えば経済産業分野の「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」は、安全管理措置の主要な4項目について次のように記載し、これらの措置を講じなければならないと説明している。
| 安全管理措置 | 内容 |
|---|---|
| 組織的安全管理措置 | ・個人データの安全管理措置を講じるための組織体制の整備 ・個人データの安全管理措置を定める規程等の整備と規程等に従った運用 ・個人データの取扱状況を一覧できる手段の整備 ・個人データの安全管理措置の評価、見直し及び改善 ・事故又は違反への対処 |
| 人的安全管理措置 | ・雇用契約時における従業者との非開示契約の締結、及び委託契約等(派遣契約を含む。)における委託元と委託先間での非開示契約の締結 ・従業者に対する内部規程等の周知・教育・訓練の実施 |
| 物理的安全管理措置 | ・入退館(室)管理の実施 ・盗難等の防止 ・機器・装置等の物理的な保護 |
| 技術的安全管理措置 | ・個人データへのアクセスにおける識別と認証 ・個人データへのアクセス制御 ・個人データへのアクセス権限の管理 ・個人データのアクセスの記録 ・個人データを取り扱う情報システムについての不正ソフトウェア対策 ・個人データの移送・送信時の対策 ・個人データを取り扱う情報システムの動作確認時の対策 ・個人データを取り扱う情報システムの監視 |
トレーサビリティの確保
個人データの第三者提供に関しては、提供側・受領側共に次のような記録や確認が義務付けられている。
- 提供側
- 提供した年月日
- 提供先の第三者の氏名または名称
- その他委員会規則で定める事項を記録
- 受領側
- 提供元の氏名または名称および住所(法人・団体は、代表者又は管理人の氏名)
- 取得のいきさつ
- 提供された年月日
- 確認事項
- その他委員会規則で定める事項を記録
記録の保存期間といった詳細は、個人情報保護委員会規則で別途定められる。情報セキュリティ上は、これらの記録についても改ざんや消失に備えて保護しておくことが望ましい。
なお、提供形態が次のいずれかの場合は第三者に当たらないとされる。ただし「委託先への(委託業務としての)提供」「共同利用」については条件付きとなるので、注意が必要である。
- 委託先への(委託業務としての)提供
- 外国の第三者に提供する場合には、委託先であっても本人の同意が必要だったり、オプトアウトが利用できなかったりする場合あり
- 共同利用
- 以下の4項目について本人への通知が必要
- 共同利用の対象となる個人データの項目
- 共同利用者の範囲
- 利用者の取得時の利用目的
- 当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称
- 以下の4項目について本人への通知が必要
- 事業承継に伴う提供
共同利用か委託かは、個人データの取り扱い形態によって判断される。共同利用者の範囲に委託先事業者が含まれる場合、委託先との関係によっては監督義務を免れない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
知って納得、「セキュリティ法制度対応」の具体策
セキュリティ関連の法制度の趣旨に基づき、実現すべきセキュリティ対策はどのようなものか。マイナンバー、個人情報全般、その他の機密性の高い情報について、セキュリティ対策の勘所を示す。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー