知って納得、「セキュリティ法制度対応」の具体策【第3回】
「個人情報保護法」改正で必要になるセキュリティ対策とは?(1/3 ページ)
2015年に改正された個人情報保護法は、企業のセキュリティ対策にどのような影響をもたらすのか。特に情報システムとの関わりが深いと思われる改正点を中心に解説する。
個人情報の取り扱いに関するセキュリティ法制度である個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)。その改正法(改正個人情報保護法)が2015年9月3日に成立し、2年以内に施行されることとなった。改正点のうち、とりわけ情報システム担当者にとってポイントとなるものを大別すると、
- 個人情報の定義の明確化と、それに伴う概念追加
- 法の適用範囲の拡大
- セキュリティ対策の強化
の3つとなる。本稿ではこれら重要な改正点に焦点を当て、必要なセキュリティ対策を解説する。
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個人情報の定義の明確化と、それに伴う概念追加
改正個人情報保護法では、個人情報の定義がより明確化され、それに伴い幾つかの概念が新たに明記された。個人情報の定義そのものが明確化されたことに伴い、これまで「個人情報には当たらない」と認識していた情報の中に個人情報が含まれてくる可能性がある。取り扱う情報において、改正個人情報保護法での個人情報の定義に該当するものがないかどうか、あらためて確認すべきである。
個人情報保護法はこれまで、保護すべき情報を以下3つの概念に分けてきた。
- 個人情報
- 生存する特定の個人を識別できる情報。他の情報との照合で特定個人が容易に識別できる情報を含む
- 個人データ
- 紙媒体・電子媒体を問わず、特定の個人情報を検索できるように体系的に構成したもの(例. 個人情報データベース)に含まれる個人情報
- 保有個人データ
- 開示、訂正、消去などの権限を有し、かつ6カ月を超えて保有する個人データ
今回の改正では、個人情報に「個人識別符号」「要配慮個人情報」の概念を加えることで個人情報を明確化した(図1)。また関連する概念として「匿名加工情報」を加えた。
個人識別符号
個人識別符号は別途政令で定められるので、それらの公表について引き続き注視すべきである。なお改正個人情報保護法への準拠において、政令を待たずに、保有する情報が個人識別符号に該当するか否かを判断したい場合には、国会答弁(注1)で示された次のような考え方が参考になると考えられる。
- 特定個人の身体の一部特徴を変換し、かつ当該特定の個人を識別できる符号
- 役務の利用や商品の購入などに関して一意的に割り当てられ、かつ特定の利用者や購入者などを識別できる符号
- マイナンバーや運転免許証番号、旅券番号、基礎年金番号、保険証番号などを想定
- 端末IDやIPアドレスなど単に機器に付番される(利用者ごとに割り当てられるものではない)ものは該当しない
- 携帯電話番号やクレジットカード番号、メールアドレス、サービス提供のための会員IDについては、さまざまな契約形態や運用実態があり変更も容易であることから、現時点では一概に個人識別符号に該当するとは考えられない
※注1 平成27年3月25日衆議院内閣委員会、平成27年5月15日衆議院内閣委員会、平成27年5月8日衆議院内閣委員会。
なお個人情報の定義は、今回の改正で「明確化」されたという位置付けであり、個人識別符号も以前から個人情報に含まれていたと解釈できる。以前から個人情報保護法の対象だったものが、個人情報の明確化の過程で概念として追加されただけで、新たに対象として追加されたわけではない、ということだ。そのため情報システムに関しては、当法の施行以降に取得する情報のみならず、既に取得済みの情報についても、個人情報の取り扱いの有無をあらためて確認すべきである。
要配慮個人情報
要配慮個人情報は、取り扱いに特に配慮を要する個人情報だ。具体的には、保有個人データの主体(本人)の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴、犯罪被害歴、別途政令で定める記述などが該当する。要配慮個人情報の取得や第三者提供においては、本人の同意が求められる。そのため情報システムにおいては、取り扱いの有無を把握するとともに、同意取得に関わるステータスの管理を可能にしておくことが望ましい。
匿名加工情報
匿名個人情報は、特定の個人を識別できないように加工し、かつ当該個人情報を復元できないようにした個人情報だ。取り扱いは、個人情報保護委員会規則に従うことになる。そのため当該規則に関わる公表についても引き続き注視すべきである。
「請求権の明確化」にも注意
当改正では本人の権利として、保有個人データの開示や訂正、利用停止などについて事業者に請求する権利が明確化されている。この権利は改正前からあるものだが、当改正を契機に、データ主体からの請求に応えられる状態であることをあらためて確認することが望ましい。そのためにはまず、データの取り扱いについて把握し、個々のデータを追跡可能にしておくことが求められる。
上記は主な改正点の1つとして触れたが、そもそもセキュリティ対策の対象や内容を決定する際には、当改正の対象である個人データに限らず個人情報全般について、個々の情報の取り扱いを把握しておくことが必要である。例えば、
- 同意の有無や内容
- 複写・加工などの処理内容や利用状況、保持状況
- 委託や第三者提供などの社外連携
などだ。後述するセキュリティ対策の強化を検討する前に、取り扱いの把握に努めることを強く推奨する。
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知って納得、「セキュリティ法制度対応」の具体策
セキュリティ関連の法制度の趣旨に基づき、実現すべきセキュリティ対策はどのようなものか。マイナンバー、個人情報全般、その他の機密性の高い情報について、セキュリティ対策の勘所を示す。
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