話題のITベンダーに学ぶIT製品選定のポイント【Sansan編】
「社内メールはほぼゼロ」――Sansanのちょっと不思議なコミュニケーション環境とは(1/2 ページ)
Sansanは「働き方の革新」を実現するために、5種類のWeb会議アプリを使っている。どのように使い分けているのだろうか。
連載について
ユーザー企業にIT製品/サービスを提案する立場にあるITベンダーは、いわば企業ITの専門家集団だ。そんなベンダーが自社で利用するIT製品/サービスをどのように選定しているかを知ることは、ユーザー企業にとっても大いに参考になるはず――。本連載はそうした考えに基づき、ベンダーがどのような視点でIT製品/サービスを選んでいるのかを明らかにしていく。
2007年6月に創業したSansanは、名刺管理クラウドサービスを提供する。法人向けサービスの「Sansan」および個人向けサービスの「Eight」を展開しており、「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」という企業ミッションを掲げ活動している。「名刺は出会いの証。Sansanでは、個人単位で管理されていた名刺を会社の資産として活用し、人脈を可視化して働き方を変えることを目指しています」と、Sansanの最高情報責任者(CIO)である久永 航氏は述べる。
名刺という個人情報を扱っていることから、Sansanでは「セキュリティと利便性の両立」を重視しており、社員にも個人情報保護士の資格を取得するよう義務付けている。ただし、「ずっと固定のアプリケーションしか使えないといったような縛りがあると、利便性が損なわれ、クリエイティビティにも影響が出る恐れがあります。そのため、セキュリティを担保しつつ、新たなアプリケーションを積極的に活用していくことが大切だと考えています」と久永氏は言う。
そんな同社は、自社内の利便性を向上させるために、さまざまな業務アプリケーションを活用し、「働き方の革新」を実現しようとしている。
クラウドファーストでアプリケーションを選択
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できる「ユニファイドコミュニケーション」
Sansanが利用している、業務アプリケーションは下記の通りだ。
| 製品名 | 製品ジャンル | ベンダー名 |
|---|---|---|
| Google Apps for Work | グループウェア | グーグル |
| Yammer | 企業SNS | 日本マイクロソフト |
| V-CUBE セールス&サポート | Web会議アプリケーション | ブイキューブ |
| appear.in | Telenor Digital | |
| WebEx | シスコシステムズ | |
| Skype | Skype Communications | |
| Google ハングアウト | グーグル | |
| kintone | 顧客管理/在庫管理アプリケーション | サイボウズ |
| TeamSpirit | 勤怠・工数管理アプリケーション | チームスピリット |
Sansanが社内で利用しているアプリケーションについて久永氏は、「自前で開発することはなく、さまざまなクラウドサービスを積極的に採用しています」と話す。IT資産を自前で持ってしまうとメンテナンスに手が回らなくなると判断したのが主な理由だ。
同社は全てのアプリケーションにおいて、まずクラウドサービスを検討する「クラウドファースト」を推進しており、クラウドサービスでない場合は、なぜクラウドを使わないのか経営者に対して説明が必要だと久永氏は語る。
「クラウドサービスであれば、気軽に試すことができますし、試して合わなければ簡単に他のアプリケーションに乗り換えることも可能です。会社の規模が大きくなる中、柔軟に拡張できる点も便利です」(久永氏)
Yammerで非効率なメールのやりとりを削減
導入したアプリケーションの中でも、同社の働き方の革新に大きく貢献したのがYammerだ。
導入のきっかけは、メールが非生産的だと感じたことだった。「メールで『了解しました』といったやりとりをすること自体、とても非生産的です。また、メールでの議論や会議の議事録などを検索したいと思っても、他のメールに埋もれてしまい非常に探しにくかったのです」と久永氏は当時を振り返る。そこでまず試しに数人のグループでYammerを利用し、その後すぐに全社での採用に至った。
2010年8月にメール代替アプリケーションの選定を始め、同年10月には全社でYammerの利用を開始した。つまり、Yammerが2012年にMicrosoftに買収される前から同アプリケーションを活用していたことになる。
数あるアプリケーションの中でYammerを選択した理由について久永氏は、「Yammerは、マニュアルがなくても直感的に分かるユーザーインタフェース(UI)で、気軽に使える点が気に入りました」と語る。また当時、Sansan社内でスマートフォンの活用を進めており、「Yammerはスマートフォンのアプリがリリースされていたので、それも大きな選択のポイントとなりました」と言う。
今では、社内コミュニケーションにメールを使うことはほとんどなく、顧客からのメールを社内転送するときに利用する程度だという。また、Yammerでさまざまなグループを作ってディスカッションをしており、Yammerが意思決定の場にもなっている。「会議を設定せずにYammerで議論して決めることもあり、意思決定のスピードが早くなりました」と久永氏は社内での活用法を説明する。「議論内容がそのまま議事録として残るのも便利です」と同氏は評価する。
ただし、久永氏は「Yammerは海外製のためか、特に日本語の検索が若干弱いと感じることもあります」と明かす。また、システム間連係のしやすさにも改善が必要だという。「最近、Yammerで議論した内容を他のアプリケーションで共有することが増えてきました。現在はYammerで議論したスレッドのURLをコピー&ペーストしているのですが、システム間連係で、より共有しやすくなることを期待しています」
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