生徒に少し早い会社体験
もうメールでは無理――品川女子学院がコミュニケーション手段を見直した理由(1/2 ページ)
「社会で活躍する女性を育てたい」という考えの下で教育を実践している品川女子学院。校内でのIT活用にも積極的に取り組んでいる。今回はコミュニケーションにフォーカスして取り組み内容を取材した。
1925年創立の品川女子学院(東京都品川区)は、「社会で活躍する女性を育てたい」という考えの下で教育を実践している中高一貫校だ。28歳になった時に社会で活躍している女性を育てるという「28プロジェクト」を軸に進路指導を推進。授業内で企業とのコラボレーションによる商品を開発したり、各分野で活躍する著名人を招いた特別講座を開催したり、文化祭での模擬店を「会社」と見なし、保護者に出資金を集って出店することで生徒が起業を体験したりといった、ユニークな取り組みを展開している。
同校では、2014年度に高校2年の生徒にタブレットを配布。翌年2015年度には、高校1年となる生徒に特定のスペックのタブレットを購入するよう指導するなど、学内でのIT活用にも積極的である。
メールでのコミュニケーションは限界だった
そんな品川女子学院が、2013年度に教職員同士および教職員と生徒間のコミュニケーションツールとして導入したのがサイボウズの「サイボウズLive」だ。同校 ICT教育推進委員長 情報科主任の酒井春名氏は、「メールでのコミュニケーションには限界があった」と、サイボウズLive導入の背景を話す。メールではスレッドが埋もれてしまい、話がなかなか進まないことが多かったためだ。また、「教員と生徒との間に適切な連絡手段がなかった。クラブ活動で週に一度しか会わない生徒に連絡したい場合は、クラスに内線で電話をかけて所在を確認するしかなかった」と、酒井氏はサイボウズLive導入前の課題を語る。
現在、品川女子学院では、教職員124人のうち約70人、全生徒数1283人のうち約800人がサイボウズLiveのアカウントを持ち、コミュニケーションツールとして活用しているという。
求める機能が過不足なくそろっていたサイボウズLive
酒井氏によると、コミュニケーションツールの選択に当たって候補としてサイボウズLive以外にChatWorkの「ChatWork」や米Edmodoの「Edmodo」、Ednityの「ednity」、グーグルの「Google+」が挙がった。その中からサイボウズLiveを選んだ理由について「メッセージのプッシュ機能やグループ機能、ファイル/リンクの添付など、われわれが求めていた機能が過不足なく備わっていたからだ」と酒井氏は言う。選定対象としたコミュニケーションツールのほとんどは、酒井氏の目には「何らかの機能が欠けていたり、余計な機能が付き過ぎていたり、コストが掛かったりする」と映り、選択肢から外れていった。
教育機関向けをうたうツールの中には、生徒への課題提示を支援する機能など、授業に役立つ機能が豊富に付いているものも少なくなかった。同教諭は「こうした機能が付いていれば、教職員が使いたくなることは分かっていた」と明かす。にもかかわらず、こうしたツールをあえて採用しなかったのは、「ツールを使って生徒に課題を押し付けるようなことはしたくなかった」(同)という思いからだ。課題提示がしやすいツールを導入すると、生徒の学力を向上させたいという思いから、教員が必要以上の課題を生徒に課してしまうことも否定できない。“やり過ぎ”を避けるためにも、教員と生徒との間の連絡に役立つ最低限の連絡機能のみが付いているツールを探し、結果としてサイボウズLiveにたどり着いたという。
もちろん、コストが掛からない点も大きな選定理由だった。サイボウズLiveは、1グループごとの人数が300人以内であれば無料で利用可能だ。品川女子学院では、所属先やプロジェクトごとにさまざまなグループが存在するが、最大のグループでも人数は約200人。酒井氏は25個のグループに所属しているというが、それでも全て無料で利用できている。
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