ガートナーの提言
6つの事例が示す 注目を集める「超高速開発」ツールの真価(1/2 ページ)
ツールによってプログラムの生成やテストを自動化する「超高速開発」が、ユーザー企業のアプリケーション開発現場でも存在感を強めている。ガートナーが示す6つの先進事例と製品選定ポイントをレポートする。
自動化ツールによる「超高速開発」がアプリケーション開発の常識を変えつつある――ガートナー ジャパンが2016年3月に開催した「エンタープライズ・アプリケーション&アーキテクチャ サミット 2016」において、ガートナー ジャパン リサーチディレクターの片山治利氏は超高速開発の実践例を紹介し、自動化ツールを適用すべきアプリケーション領域を明らかにした。その内容をレポートする。
アプリケーション開発自動化は開発機会多い基幹アプリに適用
ツールによってプログラムの生成やテストを自動化する「超高速開発」がアプリケーション開発におけるキーワードとして浮上しから数年がたち、アプリケーション開発自動化ツールへの関心は確実に高まっている。ガートナーの調査によれば、プログラム自動生成ツールを採用する予定のある企業は4割を超え、テスト自動化ツールは5割近い。片山氏は「それだけ企業はアプリケーション開発にアジリティー(機敏さ)を求めている」と話す。
逆に言えば、従来の開発手法では業務部門や経営層から要求されるアジリティーが達成できない場面が増えているわけだ。アジリティーを阻害する要因は幾つもある。業務部門とIT部門で違う“言語”を用いながら要件をシステムに落し込んでいく一種の“伝言ゲーム”では時間がかかり、話の食い違いも生まれやすい。また可読性の低いソースコードが保守作業を難しくする。かと言って、パッケージでは機能が多すぎ、無駄なコストが生まれる。
一口にアプリケーションと言っても幅広く、やみくもにアプリケーション開発自動化ツールを適用すればよいわけではない。片山氏はガートナーが考案したポートフォリオ分析手法「ペース・レイヤ」を用いて適用領域を説明する。ペース・レイヤでは、企業システムを変更頻度と使用目的によって「記録」「差別化」「革新」の3層に分けて戦略を立てる。「独自開発が必要で変更頻度も高いのが差別化と革新のシステム。特に基幹アプリケーションが含まれ、開発・保守機会の多い差別化システムにアプリケーション開発自動化ツールは適している」と説明して、自らが取材した6件の採用事例を紹介する。
スピード経営時代に超高速開発は必須に
まず、ソフトバンクグループでBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業を手掛ける、ある部門での事例。その部門では「Microsoft Excel」ベースの顧客管理をシステム化するニーズがあった。社内のクラウド型コンタクトセンター基盤と連係するために、機能拡張がしやすいCRM(顧客関係管理)システムを求めていたのだ。ただ、IT部門も十分に手を掛けられない。そこで、ジャスミンソフトが提供するJavaベースのWebアプリケーション自動生成ツール「Wagby」に注目し、「失敗しても許される程度のコスト」と“ダメ元”でチャレンジした。実際、割り当てた開発要員はJava未経験者1人のみ。それでも業務側と密に打ち合わせ、ビジネス要件を全て取り入れながらスパイラル開発をした結果、案件・マスター管理などCRMの基本機能を1カ月で作り上げてしまった。片山氏は「このスピード感に注目してほしい」と指摘する。
パナソニックの社内カンパニーであるエコソリューションズ社で住宅設備製品を扱うハウジングシステム事業部は、新規事業で必要となるアプリケーションを事業部自ら超高速開発した。新規事業は従来の商流と大きく異なるため、自社の基幹システムが使えない。そこで事業部は、海外製ながら国内での採用実績も多い、GeneXusのプログラム自動生成ツール「GeneXus」を採用。システムインテグレーター(SIer)であるウイングの支援を受け、受発注アプリケーションなどを開発した。簡単にプロトタイプを作成でき、開発、検証、改善のサイクルを4回反復しながら3カ月で稼働させた。その後の保守も自らが行う。「IT統制システムや経理システムとの連係があり、IT部門ともすり合わせている」が、アプリケーション開発自動化ツールの発達で、業務部門が必要なアプリケーションをIT部門抜きで開発できる時代になってきたのだ。
製造業A社のアプリケーション開発自動化への取り組みは歴史が長い。ビジネスロジックの記述のみでマルチプラットフォーム対応アプリケーションを開発できるMagic Softwareの「Magic xpa」を利用し、1990年代初めから製造現場で使う製造図面管理、製作進捗管理など小規模システムを開発してきた。これによって開発プロセスの標準化(圧縮)が進み、ツールのレファレンスも充実し、開発生産性を向上させた。そこで、より大規模なシステムの開発に挑む。製造業のIT化で肝となる部品表や品番管理、いわゆるPDM(Product Data Management)システムの開発にMagic xpaで取り組んだのだ。それ以前にA社にはPDMパッケージ導入に2年をかけて、結局頓挫した苦い経験があった。それがMagic xpaで一転、3人の開発要員が半年で完成させてしまった。現在は、いよいよMagic xpaでホストシステム刷新に取り組む。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー