IT部門もアジャイル、DevOpsで行こう【第1回】
求められるのは“スピード基準” IT部門が開発部隊になれない2つの壁(1/2 ページ)
ビジネスを取り巻く環境は絶えず変化しており、ソフトウェア開発にはますますスピードが求められている。さまざまな開発手法やテクノロジーが登場する中で、何をどう採用していけばいいのだろうか。
迅速かつ柔軟なソフトウェア開発手法「アジャイルソフトウェア開発」や、開発者と運用者が協力しながらサービスを開発・運用していく手法「DevOps」が叫ばれるようになってから久しい。これらの考え方はIT企業を中心に採用されてきたが、近年ではさまざまな業種においても広がりを見せている。ビジネスを取り巻く環境の変化は加速し続けており、企業はスピード感を持って変化に対応することを求められているからだ。
PC、そしてスマートフォンの普及によって、世界中の誰もが時間をかけずに大量の情報に触れ、発信できるようになった。その結果、これまでとは比べものにならないほどの速さで顧客のニーズが変化するようになっている。
また、テクノロジーの進化も著しい。スマートフォンやタブレットの進化は落ち着きつつあるように見えるが、最近ではIoT(モノのインターネット)やビッグデータ、AI(人工知能)といった技術分野の進化が著しく、テクノロジーにおける台風の目となっている。
顧客のニーズや経営課題、新たなテクノロジー。これらと企業を結び付け、新たな価値を生み出す上で最も重要なものがソフトウェアである。スマートフォンやタブレットのアプリケーションはもちろん、IoTで利用されるセンサーやマイコンを制御するのも、ビッグデータの解析を行うのも、全てはソフトウェアだ。
変化が激しいと言うことは、毎日のようにビジネスチャンスと経営課題が生まれていることを意味している。ソフトウェアの力を最大限に活用し、新たな価値を生み続ける企業のみが生き残れる時代になりつつあるのだ。
そしてソフトウェアの開発は一度行って終わりではない。ニーズを満たすよう開発を行い、公開し、その後得られたフィードバックを新たな開発に生かすという『サイクル』であることを理解する必要がある。このサイクルをいかに高速に回すかが、スピード経営の肝となってくる。
さて、このサイクルにとって減速要因となってしまう壁が存在する。ビジネスと開発の間にある壁と、開発と運用の間にある壁だ。
ビジネスと開発の壁を取り除くアジャイルソフトウェア開発
日本国内においては、現在でもベンダーに開発を委託するスタイルが主流である。しかし、ユーザー企業が要件定義を行い、発注し、システムインテグレーター(SIer)が開発、納品……というフローは、リードタイムと時間のオーバーヘッドが非常に大きい。これがビジネスと開発の壁となってしまうわけだ。
この壁を取り除く手法の1つが、アジャイルソフトウェア開発だ。アジャイルソフトウェア開発の中にも幾つかの方法論が存在するが、いずれの方法においても、ソフトウェア開発の粒度を細かくし、素早くリリースすることに主眼が置かれている。ユーザー企業が中心となって内製化を進める、もしくはベンダーと密に協力し、アジャイルソフトウェア開発を実践していくことで、壁を取り除くことが可能となるだろう。
開発と運用の壁を取り除くDevOps
もう1つ、開発と運用の壁について考えてみよう。開発者のミッションは、新機能を開発し、ユーザーに届けることである。開発者は、開発した機能をできるだけ速くユーザーに届けたいと考えるだろう。前述したアジャイルソフトウェア開発によって、ビジネスサイドと開発者の壁が取り除かれていればなおさらだ。
一方、運用者のミッションは、サービスを安定して運用することだ。そのため、開発者に対しては品質を要求し、障害の要因ともなり得る頻繁なリリースはあまり好まない。このようなミッションの違いが壁となり、サイクルを減速させてしまう。
開発者と運用者で同じ目標、ここでいう「サイクルを高速で回す考え方」を共有し、協力していく。それがDevOpsだ。
IaaSで実践するDevOps
DevOpsを実践するためには、適切なツールの活用や自動化の推進、そして協力し合う文化が必要とされている。ここでは一例として、開発者が運用者に成果物を引き渡すシーンを考えてみよう。
開発と運用の現場にはさまざまな環境が存在する。開発者の手元にある開発環境、テスト環境、ステージング環境、そして本番環境などである。開発した成果物は全ての環境で正しく動作することが期待されるわけだが、実際には環境ごとの差異によって挙動が異なってしまうケースが往々にして存在する。こういったトラブルは開発者と運用者を悩ませ、開発サイクルを遅くしてしまう。
これらの解決策として効果を発揮するのがIaaS(Infrastructure as a Service)である。IaaSはAPIを提供しており、ソフトウェアでインフラを構築することが可能だ。
従来、インフラの構築は非常にコストと手間が掛かる作業だった。サーバやネットワーク機器の調達から始まり、それらを設置・配線を行い、OSやミドルウェアを設定する。それだけで数日から数週間かかってしまうことも少なくなかった。しかしIaaSを利用すれば、APIもしくはGUIなどから同様の作業を簡単に行える。利用しているうちに環境差分が発生してしまった場合は、一度環境をクリアして作り直せばよい。
もう1つ、CI(継続的インテグレーション:Continuous Integration)を紹介しよう。運用者が要求する品質を実現するためには、開発した機能をしっかりとテストした上で引き渡す必要がある。これは開発したモジュール単体のテストだけでなく、ビルドから結合テストまで含めて頻繁に実施することで、品質を向上させる考え方である。
現在、CIを行うためのツールが数多くリリースされている。これらのツールとIaaSを組み合わせれば、より力を発揮することだろう。例えば、CIの中で環境の構築からテスト、デプロイまでをやってしまうのだ。これならば、毎回確実にクリーンな環境でテストができるだけでなく、リリース手順まで自動化できることになる。本番へのリリースもより素早く安全に行えることだろう。APIで環境構築ができるIaaSならではの活用方法だといえる。
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IT部門もアジャイル、DevOpsで行こう
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