2013〜2014年にかけて写真共有サービス「PlayMemories Online」でシステム障害を頻発させたソニー。AWSで独自に構築したIaaS基盤を再構築し、新たなスタートを切った。
「Amazon Web Services」(AWS)は、ここ数年で多くのエンタープライズ事例を生み出している。アマゾン データ サービス ジャパンが2015年6月に開催した「AWS Summit Tokyo 2015」でも、30社以上のユーザー事例が紹介された。クラウドを利用する企業が増えている一方で、全ての企業が成功しているとは限らない。オンプレミスとはアーキテクチャの特性が大きく異なり、期待されるメリットも変わる。何より、多くのユーザー企業にとって初めての取り組みだ。表に出る事例のほとんどは、成功もしくはこれから取り組む事例だが、もしかすると実際には導入や運用で行き詰まっている企業も多いのかもしれない。
AWS Summit Tokyo 2015で、自らの苦い経験談を語ったのはソニーだ。同社は2013年から2014年にかけて、IaaS基盤に独自開発した写真共有サービス「PlayMemories Online」でシステム障害を頻発させた。2013年12月〜2014年4月にかけて、一部のユーザーがサインインできない状態が続いた。また、2014年10月には、アップロードされた写真および動画の一部が正常に表示されないといった障害も発生。その後、システムを一から作り直すことで立て直しを図り、現在に至る。ソニー UX・商品戦略本部 クラウド&サービスアプリ開発運用部門 部門長の玉井久視氏は、「最初に考えたシステムが無駄だったとは思わない。その経験があったからこそ今のシステムができた。以前のシステムの経験は非常に重要だった」と振り返る。本稿では、AWS Summit Tokyo 2015の講演内容を基に、貴重な経験の一部をリポートする。
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