音楽配信サービス国内最大手のレコチョクは事業システムを全面的にAWSへ移行する検討を進めている。システム開発の内製化を伴う大転換だ。AWSカンファレンスでの講演および個別取材をもとに紹介する。
日本の音楽配信サービスを牽引するレコチョクは、2010年以降、急ピッチでサービスを多様化させている。ストリーミング配信(定額制・ラジオ型)を強化したり、通信キャリアと協業して音楽配信サービスを提供。配信先デバイスも従来のフィーチャーフォンに加えてスマートフォン、PC、携帯ゲーム機と増やし、デバイスの性能進化に合わせて配信楽曲のデータ品質も高めている。
当然、事業システムのインフラも拡張に拡張を重ねてきた。通信容量は300Mbpsから2Gbps、データ容量は400Tバイトから700Tバイト、サーバ台数は300台から1000台とそれぞれを3〜5年で数倍へ拡張。2010年からはサーバ仮想化によりプライベートクラウドも進めてきた。
それでも事業システム推進部担当部長の山川清澄氏は危機感を募らせていた。「今の仕組みではこれ以上対応できない。継続的なインフラ拡張が必要なことは確かだが、その時間軸が見えない」。海外と比べると国内の音楽配信業界を取り巻く環境は日本独自の変化を遂げているという。音楽市場においてパッケージ販売のシェアが依然高い(2013年で87%)、フィーチャーフォンのシェアが意外に落ちていないなどが挙げられる。そうした中で世界的な潮流であるダウンロード型からストリーミング型へのシフトがどうなるか。先を見越せない中での先行的、段階的なインフラ拡張は常に過剰になる(リソースが需要を上回る期間が長い)。
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