協和発酵キリンはAWS上に疑似的な“プライベートクラウド”基盤を構築。基幹系を含めた業務システムの移行をグローバルに進める。「AWS Summit Tokyo 2013」での事例発表に独自インタビューを加えてリポートする。
高い新薬開発力で知られる製薬業の協和発酵キリンは、情報システム戦略でもユニークさが際立つ。80年代のホストコンピュータによる基幹システム構築以来、一貫して「データ中心アプローチ」を追求し、現在は「エンタープライズHub」と同社が称するデータハブシステムを中心に各種の業務システムが疎結合するアーキテクチャを構成している。データハブは、共通マスター(マスターHub)とオペレーショナルデータストア(TR-Hub)で構成される。後者は、各業務システムがトランザクションデータを格納し、交換するためのものだ。本稿では、協和発酵キリンが基幹系を含む業務システムをAWSへ移行した事例を紹介する。
情報システム部長の篠田敏幸氏は「中核のエンタープライズHubでシステムインタフェースが確立しているため、周辺の業務システムは取り換え可能。形態はパッケージでもスクラッチでもよく、オンプレミスでもクラウドでもよい」と話す。つまり、もともと協和発酵キリンのシステムアーキテクチャはクラウドと高い親和性があった。クラウド化を指向するのは必然だったのだ。
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