Intelの組織再編で議論
やっぱり納得できない「PCの時代は終わった」という指摘
IntelはPC事業が低迷している状況を受け、最大で1万2000人の従業員を削減すると発表した。PCの時代は本当に終わったのだろうか。
Intelが発表した大規模な人員削減の背景には、2016年第1四半期の売上高が米国の株式アナリストたちの予測を下回ったこと、PC市場における製品出荷台数が5年連続で減少したことがある。このようなニュースに接してあらためて浮上するのは、ここ何年も言われ続けている「PCの時代は終わったのか」という疑問だ。
今回、販売・製造・オペレーション部門の責任者に異動が決まったIntelのCFO、ステイシー・スミス氏も、PC事業の低迷について「データセンター、IoT(モノのインターネット)、セキュリティ、プログラマブルソリューションの事業が成長したおかげで、PC市場の低迷を相殺できた」とはっきり述べている。
だが、本当にPCの時代は終わったのだろうか?
調査会社Forrester Researchで主席アナリストを務めるJ・P・ガウンダー氏はPCの時代は終わっていないという。
「ほとんどの人たちがPCを使わなくなったときに初めてPCは終わったといえる。今はまだ、そうはなっていない」というガウンダー氏は、依然として多くの人がPCを職場で使われており、その使用する時間は減っていないと指摘した。
ガウンダー氏によれば、Intelが今回行う組織再編は、ハードウェア市場とハードウェアベンダーが過渡期にあることを示すものだという。多くのユーザーはPCのリプレース時期を迎えておらず、Intel、そして多くのPCベンダーは売り上げを伸ばせずにいる。だが、これから1、2年以内には「Windows 10」に移行する企業が増えるという予測がある。この新しいOSで初めて利用できる機能に加えて、Microsoftの「Surface Pro」「Surface Book」やDellの「XPS 13」などの新しいデバイスを導入する企業が増えるとガウンダー氏は予想する。
IT技術アナリストたちの見解では、Intelの人員削減は古き良きPC時代の終息を表すものではなく、PCがより柔軟になり、オフィスの外にも持ち運べて、広範なニーズに対応できる新たな道具へ進化しつつあることの表れだという。
「もはや、誰もがオフィスの中で同じPCを使っていた画一的な世界ではない」(ガウンダー氏)
未来のPCとIntelの関係は
ガウンダー氏は、こうしたPCの進化をIntelが乗り切れるかどうかはまだ分からないという。Intelは、1万2000人のスタッフを削減し、ウェアラブルやIoTなどの成長事業に重点を置いていくと発表した。だが、PCから新しい領域への転換を強調したことは、Intelが21世紀になって起きた世界的なモバイルコンピューティングへの転換に乗り遅れていることを示しているという。
「Intelはスマートフォン革命に乗り遅れた」とガウンダー氏は述べ、Intelが10年前に「iPhone」にプロセッサを提供する機会を見送り、MicrosoftとデスクトップクライアントPC事業に専念する道を選んだことを引き合いに出した。今回の新しい決断は、同じ過ちを繰り返すまいというIntelの姿勢だという。
調査会社Gartnerのリサーチ担当でバイスプレジデントのマーク・ハン氏も同じ考えだ。同氏によれば、Intelはこうした戦略に数年前から力を入れ始めたという。
「Intelはネットワークでつながる2つの領域に注力し始めている。その一方はクラウドやデータセンター、通信、ネットワークインフラで、もう一方は、従来型のクライアントPCとモバイルデバイス以外の分野で、IoT(モノのインターネット)と呼ぶ領域だ」とハン氏は話す。IntelのクライアントPC事業は低迷しているものの、タブレットにもなる“2-in-1”の薄型ノートPCは既に高成長の実績を残している。
CIOの課題
では、企業のCIO(最高情報責任者)にとってこれは何を意味するだろうか。まず、「PCの時代は終わった」という流説は無視しよう。ガウンダー氏に言わせれば、それは一種の誇大広告のようなものだという。CIOはIntelの動向を注意深く見守り、PCとそれ以外のデバイスの幅広い利用目的を分析し、要望ごとに従業員を分類すべきだという。
従業員を分類し、それぞれの要望に合ったデバイスを割り当てるには、各従業員の役割と日常業務を綿密に確認するのに加え、詳細なパイロットテストや効果判定テストも必要だ。このプロセスには試行錯誤を要するとガウンダー氏は話す。
「新しいデバイスを試して適合するかどうか確認し、業務に不可欠なアプリケーションがそのデバイスで適切に動くことを確かめる必要がある」(ガウンダー氏)
また、ハン氏は、CIOはより柔軟なモバイル環境への移行計画を立て、新しい環境がハードウェアの調達に及ぼす影響を調査すべきだという。
例えば、新しい環境では無線ドックなどの設備が増える。スプレッドシートやワープロの作業用には引き続きディスプレイも使うことになるだろうが、従業員が外出先でもデバイスを使えるように柔軟な構成が必要になる。
さらに、「従業員に部屋や席を固定的に割り当てるのではなく、必要に応じて同じスペースをいろいろな人が使えるようにすべきだ」とハン氏は付け加えた。
だが、企業がこのような全面的な変更を実現するには時間がかかり、3~5年を要する、とハン氏は予想する。それには予算の要因も大きく影響するという。
「時間も資金も必要だ。世界の経済環境も考えると、まだまだ不透明な部分が大きい」(ハン氏)
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