XenApp/XenDesktopの導入コストを下げる
「Raspberry Pi」搭載端末が1万円以下、CitrixのVDIクライアントは買いか(2/2 ページ)
Citrix HDXに最適化したRaspberry Pi 3シンクライアントデバイス
CitrixはハードウェアメーカーのViewSonicおよびMicro Centerと提携した。両パートナーはCitrix HDXに最適化し、TLXOSで動作するRaspberry Pi 3シンクライアントデバイスを販売する。価格は購入数量に応じて75~90ドル。Raspberry Piデバイス本体、フラッシュストレージ、ケース、電源および管理ソフトウェアのTLXOSのライセンスを含む。これらのコンポーネントのコストを考えれば、かなり良心的な価格だといえる。またCitrixによると、これらのデバイスは数分で導入できるという。
CitrixとThinLinXは共同開発を通じて、Raspberry Piデバイス用の「Citrix Receiver」クライアントソフトウェアの最初のバージョンでできる限り高い性能の実現を目指した。だが、制約もある。例えば、Receiverは1台のモニターしかサポートしない。将来的に2台のモニターをサポートするのは不可能ではないが、Raspberry Piデバイスで利用可能なリソースとポートに制限があるので断言はできない。少なくとも現行のハードウェアバージョンで4台のモニターをサポートするのは今後も不可能だ。また、Raspberry Piシンクライアントデバイスを使用する企業は、USBのリダイレクションでも苦労するのは間違いなさそうだ。クライアントサイドのレンダリングなどのタスクを処理するためのリソースが不足しているからだ。
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これらのシンクライアントの開発と販売は手掛けないというCitrixの方針は間違っていない。同社はハードウェア企業ではなく、シンクライアントの管理にまで手を伸ばす必要はない。ViewSonicとMicro Centerは適切なローンチパートナーだ。両社はDellやHewlett-Packard Enterprise、IGELなどのシンクライアントベンダーと直接的な競合関係にはなかったからだ。
Raspberry Piシンクライアントのハードウェアそのものの利益率は大きくないため、Citrixが同デバイスのサポートを改善することで最大の利益を得るのはThinLinXだ。TLXOSはx86ベースのマイクロプロセッサ上で動作するOS/管理ソフトウェアインフラなので、ユーザー企業がRaspberry Piシンクライアントを使い始めれば、他の端末のOSもTLXOSに切り替えることで全ての端末を同じインタフェースから管理できる可能性がある。つまりIT部門は、再利用したPCや安価な「Intel NUC」ベースのミニPC、他のメーカーのx86ベース搭載シンクライアントおよびRaspberry Piデバイスが混在する環境を一元的に管理できるようになるのだ。
当面、これらの新しいCitrix HDX SoCデバイスの一般的なユースケースはタスクワーカー用になると思われるため、残る最大の疑問は拡張性だ。Citrixは拡張性に関する具体的な数字を公表しておらず、「数百ユーザー以上をサポートする総合的プラットフォームはまだ検証していないが、これまでのテストでは何の問題も見つかっていない」としている。多くの大企業がRaspberry Piを試すために既存のシンクライアントをお払い箱にするとは思えないため、拡張性がさほど問題にならない中堅・中小企業が主に導入する可能性が高い。
Raspberry Piは教育分野のシンクライアントコンピューティング市場で主流になっているが、管理ソフトウェアの充実とCitrixの参入により、これらの低価格端末が企業市場に進出する準備が整ったといえそうだ。
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