今後の有力なVDI端末の選択肢
「Raspberry Pi」の“35ドル”仮想デスクトップ、実機テストで分かった実力とは(1/2 ページ)
「Raspberry Pi」が非常に安価なため、シンクライアントとして活用を検討する企業は少なくない。しかし、進める上で注意するべきポイントがある。
Raspberry PiをVDIのシンクライアントとして使うには
Citrix Systemsは2016年5月に開催した年次カンファレンス「Citrix Synergy 2016」で、超小型コンピュータ「Raspberry Pi」の新モデル「Raspberry Pi 3」(RPi3)をベースとした独自のシンクライアントの開発を発表した。企業のIT部門は、今後こうしたデバイスが社内で一般的な存在となる可能性に備えるべきタイミングに来ているのかもしれない。
Raspberry Piは、BroadcomのSoC(System on Chip)を搭載する小型のシングルボードコンピュータだ。通常、教育機関が低コストのデバイスとして使用する。だが1台わずか35ドルからという価格の低さから、他にもさまざまな利用場面が考案されている。仮想デスクトップインフラ(VDI)のシンクライアントとしての利用も、当然ながら、そのうちの1つだ。
Citrixは、非営利団体Raspberry Pi Foundationと共同でRPi3シンクライアントデバイスを開発中だ。仮想化環境で高品位なユーザーエクスペリエンスを実現するための技術「Citrix HDX」に対応するSoCを搭載することで、RPi3デバイスでの仮想デスクトップ「XenDesktop」と仮想ソフトウェア「XenApp」のパフォーマンスを最適化する。
ハードウェアベンダーViewSonicおよびMicro Centerが75~90ドルで販売するシンクライアントデバイス「Citrix HDX Ready Pi」は、企業向けシンクライアントとして手頃な選択肢の1つとなるはずだ。これほどの低価格であるからには、今後、CitrixだけでなくVMwareの仮想化製品を利用している企業もRaspberry Piシンクライアントの採用を検討することになる。IT部門はこうしたデバイスでVDIをサポートする方法をよく理解しておく必要がある。
Raspberry Piシンクライアントの構成
Raspberry Piは通常、そのまますぐに使えるコンピュータとしてではなく、むき出しの回路基板として販売される。シンクライアントとして使用するためには、ケースやメモリカード、電源、マウス、キーボード、スクリーンを追加する必要がある。これら全てを追加しても、RPi3ベースのシンクライアントは大半の低価格デバイスと比べてまだはるかに安価だ。フル高解像度のRPi3シンクライアントを約200ドルで組み立てられる。
RPi3シンクライアントはクレジットカードサイズの回路基板に加え、HDMIポート、イーサネットポート、USBポート4基、その他幾つかの専用コネクタで構成される。電源にUSB充電器を使い、「Linux」を実行する。サイズと価格は別として、他のLinuxシンクライアントとの最大の違いはCPUの種類だ。x86系CPUを搭載する通常のクライアントPCと異なり、Raspberry PiはARMのCPUを搭載する。そのため、RPi3シンクライアントで実行できるソフトウェアは制限され、最高のパフォーマンスを発揮するにはカスタマイズしたソフトウェアが必要だ。
Raspberry Piをシンクライアントとして使うのは、まだ新しい動きだ。Linuxには幾つかシンクライアント向けにカスタマイズされたエディションがあるが、そのうち、Raspberry Piを設定し、構成するための管理コンソールを備えているのはThinLinXの「ThinLinX Operating System」だけである。こうした管理ツールが不足している限り、まだRaspberry Piシンクライアントを文句なしのシンクライアントと呼ぶことはできない。ただし、Citrixの参加で状況が変わる兆しかもしれない。現時点では、管理ツールの選択肢が少ないVDIクライアントを推奨するのは難しい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[サイボウズ株式会社] DXに必要な「Dスキル」「Xスキル」を持った人材を育成するには? -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] データで見る、DXが「順調に進む企業」と「つまずく企業」の違い -
製品資料
[サイボウズ株式会社] 賛否が割れがちな「Notesからの移行」 新環境への移行を納得してもらうには? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] 農林中金に学ぶ内製開発 処理効率を約2倍に高めAI活用も加速させた方法とは? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] NTTグループのデジタル変革術、17万人が利用する決裁プロセス刷新の全貌
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
2
kintoneで実践 製造業のための「見積もり管理」改善のヒント
-
3
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
4
サーバ約70台をAWSへ ヤナセが移行前にやった「通信要件の可視化」
-
5
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
6
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
7
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI活用」を掲げた年金刷新が炎上 英政府が大手ITアウトソースを切り捨て「内製回帰」した理由
-
10
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
7
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
8
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
9
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー