攻撃は容易。被害は深刻
専門家が口をそろえる「IoTのセキュリティは難しい」、強化のための3ステップ
モノのインターネット(IoT)のセキュリティを強化するのはとても難しい。しかし、ここに示す「3つのステップ」を実行すればIoT接続機器を守ることができる。
「IoT(モノのインターネット)のセキュリティは難しい」と企業のセキュリティ担当者は口をそろえる。新しいテクノロジーはどれもそうだが、IoTの場合は、対象範囲の広さが状況を難しくする一因になっている。
IoTの範囲は幅広く、実にさまざまなユースケースやシチュエーション、多様な機器が含まれる。IoTのセキュリティと一口に言っても、会議室のIP接続テレビから、製造現場のインテリジェントセンサー、オペレーションテクノロジー(公益事業の産業用制御システムなど)、ヘルスケア事業者の医療機器(デジタル画像処理システムやバイオメディカル機器など)に至るまで、あらゆる機器が対象になる。
過渡期を乗り切る
あらゆる機器がIoTによってインターネットに接続することで、これらが組織のセキュリティに及ぼす潜在的な影響は容易に想像がつく。テレビが社内ネットワークへの侵入経路になる恐れがある。製造現場のセンサーなどの機器には、競合他社が欲しがる情報が入っている。産業用制御システムはサイバー戦争の引き金になる危険がある(基幹インフラへの攻撃など)。医療機器は患者の健康と安全に影響する。こうした機器を適切なセキュリティ設定で導入することは非常に重要で、その状態を継続することもまた等しく重要だ。
もちろん、これについて最も重要な役割を担うのは各機器の製造ベンダーだ。これからテクノロジーが成熟し、標準化が進み、当局が設定するだろう規則によって責任を明記すれば、将来的に状況は改善していくだろう。だが、それまでの現実問題として、企業のセキュリティ担当者が企業の安全を保護していかなければならない。
これはいろいろな意味で難しい。まず、サービスやデスクトップ、BYOD(私物端末の業務利用)における汎用(はんよう)OSの強化と違って、IoT機器の場合、エンドユーザーが直接変更できることはあまりない。IoT機器にセキュリティ関連オプションがあったとしても、それを取捨選択する権限を組織がセキュリティ担当者に与えていないことが多い。また、対象機器が多岐にわたるため、汎用的なガイドラインでは限界がある。例えば、テレビに適用する設定変更やセキュリティ対策は、農業機器用の湿度センサーには当てはまらない。そのため、IoTのセキュリティ強化は、事例ごと、デバイスごとに決める必要がある。
IoTのセキュリティを強化する3つのステップ
企業が自社のIoTのセキュリティを強化する手段は幾つかある。セキュリティの観点から重要な役割を果たす以下のシンプルなステップを実施すれば、今後の堅牢なシステム作りに役立つはずだ。
第1のステップ:組織が導入する新しい機器を識別するプロセスの構築
このステップは、次の2つで構成する。
- 新しい機器の識別と検出、インベントリ
- 広範なアセット管理アプローチへの機器の統合
この1つ目の対策では、冗長化によって検出を強化する。例えば、脆弱(ぜいじゃく)性評価情報などの既存データソースを利用して、ネットワーク内にある既知の機器と不明の機器を識別すべきだ。同時に、ビジネスチームやその他のチームと協力体制を敷いて、保護の必要な特殊用途機器の導入と、そうした機器を必要とするビジネス自動化シナリオやユースケースに関する作業を特定する。
2つ目の「広範なアセット管理アプローチへの機器の統合」では、機器の保護やセキュリティの観点から的確な設定を行う責任の所在と範囲を明確にする。これは、重要な手続きを実施する責任者を決めることに等しい。IT部門担当者がいい場合もあれば、ビジネスチームやサードパーティーベンダーのサポート担当者に依頼するのがいい場合もある。いずれにしても、責任の所在を明確にすることによって、適切なアクションが確実に実施できるようにすべきだ。
この情報と1つ目の対策で収集したインベントリ情報を統合することも有用だ。状況によっては機器ごとに責任を割り振る場合もあり、こうした情報はインベントリと関連付けて保持する必要がある。
第2のステップ:IoT機器におけるセキュリティモデルの詳しい調査
企業で設定可能なセキュリティ構成パラメータなどの構造も調べよう。この場合も、機器ごとに実施する必要がある。機器に対するセキュリティの責任範囲が複数のチームに分散することを考えると、セキュリティ目標のドキュメント化が役に立つ。このドキュメントには、特定機器のセキュリティ担当チームに向けた技術的なガイダンスの他、セキュリティチームが直接関与しない調達活動などにおいて考慮すべきセキュリティ関連事項も記載しておきたい。例えば、機器の製造元が用いる適用試験技法の要件やガイドライン、信頼される実行環境の使用、暗号化要件(転送中データと保存データの両方)などを明文化する。
第3のステップ:ネットワークの他の部分の保護を整備する
IoT機器に対する攻撃を抑止するには、社内のそれ以外の部分を十分に保護しておくことが不可欠となる。経験豊富なセキュリティ担当者なら、いずれにしても万全のセキュリティ体制を整えるだろうが、IoTを導入するとその必要性は一層高まる。例えば、脆弱性評価、侵入テスト、適用セキュリティテストの他、IDSなどの“検出”管理や認証強化などを整備する必要がある。
要するに、IoTのセキュリティを強化する最後のステップは、既存のあらゆる標準的な対策を駆使し、総体として堅牢なセキュリティ体制を築くことだ。
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