動き始めた「ラーニングアナリティクス」【第2回】
教育ビッグデータ分析「ラーニングアナリティクス」に必須な“4つの機能”とは?(3/3 ページ)
ラーニングアナリティクスのメリット
ラーニングアナリティクスを導入することで、受講者や指導者、教員にどのようなメリットが生じるのでしょうか。主なメリットについて見ていきましょう。
メリット1:ゴールに相関する行動を明らかにする
学習には「コース終了」「資格取得」「卒業」「志望校合格」などのゴールがあり、学習者はそれぞれのゴールを目指して学習を進めます。ゴールのために必要な学習行動や学習習慣をラーニングアナリティクスで分析して、学習者へ提示することで、受講者に気付きを与えたり、指導者がより的確な指導に役立てたり、教材作成者へコース設計のフィードバックをしたりできるようになります。
メリット2:属人的な指導ノウハウからデータに裏付けされた指導へ
教員が学習者を指導する際、学習指導要領や標準的な指導マニュアルに加え、教員個人の経験やノウハウを基にしていることでしょう。ただし1人の教員が指導を経験できる学習者の人数には限りがあり、学習者のタイプに偏りがある恐れもあります。ラーニングアナリティクスを適用することで、1人の教員では指導できないほど多くの学習者の学習履歴からノウハウを集めることができます。たとえ指導経験の浅い教員であっても、属人的な経験だけではなく、データに裏打ちされた適切な指導ができるようになるでしょう。
メリット3:受講者一人一人に合わせた専用指導
多くの人がつまずきやすいポイントをあらかじめ踏まえた上で指導し、さらに受講者ごとのレベルや進行状況、学習習慣に合わせた効率的な指導をすることで、一人一人をフォローするきめ細かい教育を届けることができるようになるでしょう。
メリット4:一歩先の予測
これまでの学習者の膨大な学習履歴を基に、学習途中の学習者のその後を予測することができるようになります。例えばコースを途中でやめたり学校を退学したりする人を事前に予測する、現状の学習状況で志望校に合格するかどうかを判定するといったことも可能になるはずです。
ラーニングアナリティクスが導き出した結果が教育資産に
こうしたラーニングアナリティクスのメリットは、いずれも過去の学習者の膨大な学習履歴を基に実現しています。過去の学習者が学習した足跡は、次の学習者への道しるべになることでしょう。多くの人が陥りやすいポイント、ゴールのために必要な学習習慣や適切な指導方法など、ラーニングアナリティクスからはさまざまな結果を導き出すことができます。こうしたデータは、教員や教育機関の資産となり得ます。
これまで教育機関は、優れた教育カリキュラムや教材、そして有能な教員を資産としてきました。今後はこれらに加え、ラーニングアナリティクスが重要な存在となるはずです。学習履歴の集積である教育ビッグデータは、いわば“宝の山”として教育資産となり得るでしょう。そしてこの宝の山から価値を引き出すことこそがラーニングアナリティクスなのです。
執筆者紹介
吉田 自由児(よしだ・じゆうじ) デジタル・ナレッジ代表取締役COO、デジタル・ナレッジ教育テクノロジ研究所所長
1973年生まれ。早稲田大学理工学部卒。大学でCAI(コンピュータ支援教育)を研究しデジタル・ナレッジ創業時から参加。エンジニアとしてeラーニングシステムのパッケージ開発や数多くの個別SI(システムインテグレーション)に従事。近年はラーニングアナリティクスへの関心が高く、同社ラーニングアナリティクス総合サービス「Analytics+」の初期バージョンを1人で開発した。
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動き始めた「ラーニングアナリティクス」
教育や学習活動から生まれる教育ビッグデータを生かす「ラーニングアナリティクス」。その実態を明らかにする。
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