インシデント発覚まで2年も
“史上最大規模の情報流出”で露呈したYahoo!の危ういセキュリティ体制(1/2 ページ)
Yahoo!の史上最大規模の情報流出は広範囲に影響を及ぼしている。訴訟が起こされ、米証券取引委員会(SEC)の調査の可能性が浮上し、同社の侵害検知体制と対応策に疑問の声が上がっている。
史上最大規模の情報流出をきっかけにYahoo!のセキュリティ体制が疑問視されており、トラブルはさらに続きそうだ。
今回の流出で5億人のユーザーの情報が盗まれ、影響を受けた2人のユーザーが被害者を代表する訴訟を提起した。サンディエゴの米連邦地裁に提出された訴状によると、Yahoo!は重大な過失により「原告および同様の立場の人々の個人情報を安全に保存管理する義務」を怠ったとして告訴されたという。
だが、Cyber Risk ManagementのCEO、ヨンゴン・チョン氏は、Yahoo!の重過失を立証するのは難しいだろうと話す。
侵害発生から把握まで、なぜ2年もかかったのか
クラウドサービスプロバイダーに関連する現行の法律と規制では、実際に発生する悪影響を予防することよりも、コンプライアンス(法令順守)のための膨大な管理に重点を置いているとチョン氏は指摘する。「データ侵害に関するサービスレベル契約はない。プライバシー法と情報公開法は侵害検知について明確に定義していない。コンプライアンスのための管理を徹底して規制順守を示しさえすれば注意義務を履行していることになるとしたら、私たちのサイバーリスク管理のルールは壊れる」(同氏)
この告訴は今回の情報流出に関連する別の注目トピックにも言及している。それは、2014年の侵害発生からYahoo!がそれを把握するまでに2年もかかっている点だ。専門家はなぜそれほど時間がかかったか疑問視している。実際は2016年7月には既に問題を把握していたのではないかという指摘もある。
ZscalerのCISO(情報セキュリティ最高責任者)を務めるマイケル・サットン氏はブログ記事で次のように述べている。
(Yahoo!の)CEOのマリッサ・メイヤー氏は、7月の時点で侵害の事実を知っていながら9月まで当局に報告しなかった可能性がある。もしそうだとしたら、Yahoo!の買収に合意したVerizonは問いただしたいことがたくさんあるだろう。これは注意義務の履行において極めて重要な情報だが、Yahoo!は(証券取引委員会に)9月9日に提出した書類ではデータ侵害の認識を認めていない
民主党のマーク・ウォーナー上院議員は証券取引委員会(SEC)に対し、Yahoo!がセキュリティ侵害通知法に違反していないかどうか調査するように要請した。ワーナー氏はSECに送った文書で次のように書いている。
Yahoo!および同社の経営幹部が投資家と国民に情報を公開する義務を履行したかどうか、そして同社が自社のITシステムのセキュリティについて完全で正確な報告を行ったかどうか、調査することを勧める。また公開された報告書によると、2010年以降に重大なデータ侵害を報告した企業は、登録企業約9000社のうち100社未満であり、このような事態の開示に関するSECの現行基準が適切であるか見直すことを勧める
Strategic Cyber VenturesのCEO、トム・ケラーマン氏も、SECは上場企業をもっと積極的に規制すべきであり、Verizonは今回の情報流出について心配すべきだと述べる。「執拗(しつよう)なサイバー犯罪が続く現在、投資家はサイバーリスクにも留意する必要がある。合併買収における注意義務にはサイバーセキュリティの健全性評価も含めるべきだ。Verisonはまさにその好例だ。Yahoo!のネットワークについては慎重に総合的な評価を行い、サイバー犯罪者がVerizonの既存インフラにまで有害な影響を及ぼすようなバックドアがないかどうか、注意深く確認する必要がある」(ケラーマン氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー