“IoT×ブロックチェーン”を考える
“ブロックチェーン”は万能薬ではない、IoTでの使用が適さない理由とは(1/2 ページ)
IoTでブロックチェーンの使用を提案する出版物や記事も少なくない。しかし、必ずしも使うのが良いというわけではない。本稿ではその理由を紹介する。
現在、注目を集めている他の新しいテクノロジーと同様、ブロックチェーンにも誇大広告が付いて回っている。ブロックチェーンは、金融取引や契約などにとって革命的なテクノロジーで、IoT(モノのインターネット)でブロックチェーンの使用を提案している出版物や記事も少なくない。
ブロックチェーン技術は安全な分散型台帳で、トランザクションを監視して保存するものだが、それ以上のことはしない。大抵のトランザクションは一意でなければならない。トランザクションが一意でなければならない場合に、ブロックチェーンを使用するとトランザクションの一意性を確保できる。各種トランザクションが発生する金融業界にブロックチェーンが特に適している理由は、ここにある。少なくとも理論的には、ブロックチェーンは改ざん可能だが、現在の技術では改ざんは事実上不可能だ。
量子コンピュータが現実のものになれば、ブロックチェーンが侵害される方法が編み出されないように祈るのではなく、侵害されないことを祈るようになるだろう。
ブロックチェーンの全体体系は、悪意のある攻撃によって不正アクセスされないブロックチェーンネットワークに参加している大多数のノードに支えられている。ブロックチェーンネットワークにとって不審なトランザクションは拒否される。しかし、この仕組みはIoTの世界で必要なものだろうか。単体のノードでも悪意のある攻撃に対するセキュリティは必要だ。単体のノードが不正アクセスされれば、ブロックチェーンネットワーク全体が危機にさらされることになる。これはブロックチェーンが提供すべきものと正反対のものである。
本稿は、ある意味では既に複雑になっているIoTにブロックチェーンを無理に合わせる必要がない理由を説明する。
ブロックチェーンとは
物理的な通貨のやりとりが発生すると、物理的な通貨は支払う側から受け取る側に移動する。つまり、物理的な通貨のコピーが作成される機会はない。しかし、デジタル形式の通貨は、簡単に通貨をデジタル形式でコピーしたり、コピーした通貨を他のトランザクションで利用したりすることが可能だ。デジタル通貨のコピーを防止するために、中央機関がトランザクションを監視して、通貨価値の持ち主を追跡する必要がある。この中央機関は、デジタル通貨や他の契約ベースのトランザクションにおいて最も弱い部分だ。中央機関が何らかの理由で不正アクセスされた場合、全ての通貨とその価値はなくなるだろう。そのため、中央認証機関を悪意ある攻撃から守ることはとても重要だ。
何らかの理由で中央機関が不要になれば、デジタル通貨の不正アクセスはなくなる。ブロックチェーン技術は、トランザクションの取り締まりや認証にかかわる中央機関が存在しない解決策だ。ブロックチェーンは分散型台帳で、ブロックチェーンネットワークに参加している全ノードが、実行された全トランザクションの履歴を持っている。あるノードでコピーがあると、他の全てのノードが複製のトランザクションを認識して、コピーは拒否される。ブロックチェーンは、ネットワークに参加している大部分のノードがトランザクションの有効性に合意するまで侵害できない。ブロックチェーンネットワークを侵害するには、ブロックチェーンネットワークに参加している全ノードの処理能力を合算したものよりも高い処理能力が必要になるが、事実上そのような処理能力は実現不可能だ。
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