開発者とDBAとの協力関係も改善
事例:ステートフルアプリの速度を最大限に高めたデータベースDevOpsツール(1/2 ページ)
ステートフルアプリの柔軟性を高めるデータベース管理と永続ストレージのソフトウェアが登場し、「データベースDevOps」は成立しない言葉ではなくなっている。小売業、金融業など5社のユースケースを紹介する。
DevOpsを担当する部門は、大きな障害に悩まされることなく、アプリケーションの迅速な開発が可能になるだろう。
2017年の今頃は、データベース管理者(DBA)の文化的反発や、データベースDevOpsツールの未成熟さが、アジャイルなエンタープライズ開発者がステートフルアプリケーションに対して短期間で繰り返し変更を加える際の障害になっていた。だが現在は、データベースを変化の早いDevOpsパイプラインに合わせるアプリケーションツールやインフラツールが登場している。
英国を拠点とするベビー服の小売業者Mamas & Papasでデータアーキテクトを務めるマシュー・ヘーグ氏は次のように話す。「当社のマーケティング部門による戦略変更に、当社のデータベースは追い付くことができなかった。例えば、マーケティング構想を木曜日の夕方に知らされると、月曜日の朝には結果を求められた。そのような変更をそのような短期間で実現するのは非常に難しかった」
開発者とDBAとの協力関係を復活させたツール
ヘーグ氏のチームは、Microsoftの「Power BI」で同社のデータウェアハウス(DWH)を管理し、2017年からはRedgateのデータベースDevOpsツールを中心にチームを再編成した。DBAチームはヘーグ氏のチームを「DataOpsチーム」と呼ぶようになり、チームはMicrosoftの「Visual Studio Team Services」を使用して、業務時間内に同社のDWHに1日当たり15~20件の変更を加えている。
Redgateの「SQL Monitor」が、同社の開発者とDBAとの協力関係を改善するきっかけになった。ヘーグ氏はコラボレーションツール「Slack」のチャネルを利用して、開発者がこの監視ツールのインタフェースやアラートにアクセスできるようにした。その結果、開発者はアプリケーションの変更によって生じるDWHへの影響を即座に確認できるようになった。チームはデータベース自体のテストを立ち上げるため、必要に応じてRedgateのツール「SQL Clone」も使用している。
「DevOpsに着手したとき大きな疑問があった。それは、まず文化を変えるのか、それとも文化が変わることを願ってツールを導入するのかというものだ。当社では、ツールが文化の変化を促し、その変化はDataOpsチームや開発チームだけでなく、ITサポートチームにも現れた」(ヘーグ氏)
スキーマを同期するデータベースDevOpsツール
Redgateの「SQL Toolbelt」スイートは、企業がデータの整合性を確保しながらデータベーススキーマを素早く変更できるツールだ。同様のツールは他にも幾つかある。Redgateは、Microsoftの「SQL Server」を重視している。これに対して、DaticalやDBmaestroなどのベンダーは、「Oracle Database」や「MySQL」など、さまざまなデータベースをサポートする。これらのツールは全て、アプリケーションの更新によって生じるデータベーススキーマへの変更を追跡し、こうした変更を従来のデータベース管理ツールよりも素早く適用する。データベースの更新を自動化するために、CI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリー)パイプラインとも連携する。
2016年にeBayから独立した電子商取引関連企業のRadialは、2年以上を費やし、Daticalのツールを利用して、データベースDevOpsプロセスを確立した。その結果、同社はOracle Database、SQL Server、MySQL、Sybaseのデータベースが関係するアプリ開発プロセスを数日から2~3時間に短縮している。
Radialでデータベースアーキテクトを務めるデボン・シーグフリード氏は次のように話す。「ある時期、当社のレガシーアプリの導入は2~3カ月おきだったが、今では2週間という短期間で30~40個のマイクロサービスを導入している。マイクロサービスにはそれぞれ1つの目的があり、各サービスは独自のスキーマを備えたデータストアを保持する」
Radialは7000人の従業員を擁する多国籍企業であり、約300個のOracle Databaseと約130個のSQL Serverのインスタンスを管理している。同社がDaticalのツールによって処理した中で最大のデータベース変更ログには、1300件を超える個別の変更が含まれている。
「個別変更レベルの管理や、変更による導入前の影響予測についてのDaticalのサポートには満足している。セキュリティやコンプライアンスの標準を適用する優れたルールエンジンもある」(シーグフリード氏)
Daticalのツールは、オープンソースのCDツール「GoCD」のDevOpsパイプラインと連携する。だが、DBAは依然として運用環境のデータベースに手動で変更を加えている。シーグフリード氏は、今後2カ月以内に、Daticalのアップデートによってレガシーデータベースのオブジェクトの細かい属性を検出できるようになれば、この状況が変わると考えている。
ING銀行のトルコ支社は、.NET開発者をつなぎとめるためにDaticalの競合企業DBmaestroに目を向けている。同行では、.NET開発者がMicrosoftの「Team Foundation Server 2018」を使用して20TBの主要バンキングデータベース(Oracle Database)への変更をチェックしている。2017年11月、同社はDevOpsプラットフォーム「DBmaestro」を展開した。それまで同社の開発者は、開発段階やテスト段階で行われるスキーマやスクリプトへの変更を手動で追跡し、正しいものだけを運用環境に導入するようにしていた。現在は、こうした作業をDBmaestroが自動的に処理する。
ING銀行トルコ支社でIT製品マネジャーを務めるオンダー・アルチンカート氏は次のように話す。「導入スクリプトの作成や運用前の変更を把握するのは安全な手法ではなく、多くの作業を必要とする。こうした作業を開発者がする必要がなくなった。現在は、15チームに分かれた60人の開発者と70のアプリケーション開発パイプラインによって、およそ1週間ごとにデータベースへの変更を実行できる」
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