核心的テクノロジーに注目
2019年注目のストレージスタートアップ“えりすぐりの9社”(1/2 ページ)
ストレージのスタートアップ企業は、成功するよりも失敗に終わる可能性が高い。それでも、意欲のある企業がクラウド、バックアップ、コンバージェンス、フラッシュの革新的テクノロジーに挑んでいる。
毎年、勇敢な挑戦者がストレージスタートアップ企業を立ち上げ、大成功を収めるチャンスを求め、大きな賭けにでている。
Pure Storageはオールフラッシュのスタートアップ企業から公開会社へと変わることに成功した。一方、ハイブリッドベンダーのTintriはそうならなかった。Nutanixはハイパーコンバージドインフラ(HCI)という考え方に先駆けて取り組み、その過程でIT分野において名の知れた存在になった。だが、NimboxxというHCIスタートアップ企業を覚えているストレージ管理者はどれだけいるだろうか。
失敗する可能性が高いからといって、経験豊かなストレージイノベーター企業は競争へと戻ることをためらわない。ハイパフォーマンスストレージ機器の需要はかつてないほど高まっている。核となるデータセンターやエッジ環境での人工知能(AI)と分析への関心の高まりが、こうした需要を押し上げている。
大きな成功を収めていなくても、革新的テクノロジーを市場に送り出している企業は多い。大手ベンダーはそうしたテクノロジーを買収するか、模倣する。そのため、次のPure StorageやNutanixになる可能性がどうであれ、こうしたストレージスタートアップ企業は注目に値する。
エンドユーザーは、スタートアップ企業の製品採用を、そのテクノロジーで決めるわけではない。重要な問題は、新しいベンダーが持続可能なビジネスを作り上げ、長期にわたって生き残ることができるかどうかだ。
本稿では、2019年注目の有望新興企業を数社取り上げる。目を向けたのは、バックアップ、クラウド、コンバージェンス、フラッシュにまたがるストレージ製品やストレージサービスを提供する企業だ。本稿で取り上げるほとんどのストレージスタートアップ企業が提供する製品やサービスは、あらゆる一般企業に適合するだろう。だが、クラウドに目を向けるハイエンドデータセンターを明確にターゲットにする企業もある。
取り上げるのは以下のベンダーだ。
- Burlywood
- Cloud Daddy
- HiveIO
- JetStream Software
- Kaleao
- Liqid
- RStor
- Storbyte
- StorOne
Burlywood
Burlywoodは、独自のSSDを作成するツールを提供する。同社の「TrueFlash」は、複数のクラウドワークロードに合わせてSSDをカスタマイズするために、プログラム可能なフラッシュコントローラーを備える。
米コロラド州ロングモントを拠点とするBurlywoodは、コモディティNANDフラッシュの階層の上にインテリジェントソフトウェア層を重ねている。その設計では、コントローラーにストレージエミュレーターを含め、メディアの不良やエラー率を管理する手法を組み込む。
大半の企業にとっては、コモディティ価格のSSDで十分だろう。BurlywoodがTrueFlashのターゲットにすのは、パフォーマンスの高いフラッシュに依存する大規模データセンターだ。ハイパースケールクラウドプロバイダーなどがその例だ。
Burlywoodは、ページストライプにデータをシーケンシャルに書き込んでから、そのデータとバッファーに格納されているデータを比較する。データページの比較に失敗すると、そのデータは別のページに再度書き込む。少なくとも一部の再書き込みがストレージによって認識されると、信号がホストに送信される。
TrueFlash SSDは、さまざまなI/Oパターンに対応するため、マルチストリームQoS(Quality of Service)機能によってパーティション分割される。Burlywoodによると、TrueFlashで構築したデバイスは、次世代フラッシュが利用可能になった時点でそれを即座に活用できるようファームウェア経由で再プログラミングできるという。
Burlywoodは、同社のフラッシュスタックの他に、社内で、あるいは委託製造業者を通じてSSDを設計中の顧客をガイドするための参照設計も用意している。
Cloud Daddy
流行の最先端を追い求めるヒップスターならぬヒップダディーがいるかどうかは分からないが、Amazon Web Services(AWS)における厄介なデータ保護の問題に関して言えば、Cloud Daddyこそヒップ(最先端)だ。
AWSは安全なクラウド環境を提供するという重荷を背負っている。だが、データセキュリティに関する責任は個々の顧客に委ねている。そこにCloud Daddyの出番がある。
米ニュージャージー州プリンストンにある同社の「Cloud Daddy Secure Backup」は、AWSの「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)、「Amazon Elastic Block Store」(Amazon EBS)、「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)、「Amazon Aurora」「NoSQL」「Amazon RedShift」のAPIを統合する。データはAWSのリージョン間や複数のアカウント間でもレプリケートされる。
セキュリティについては、Cloud Daddyではユーザーがファイアウォール規則を作成して、関連付けたセキュリティグループに適用できるようにしている。または、組み込みのテンプレートを使って自動ファイアウォール規則を作成することも可能だ。
ウィザードベースのダッシュボードにはバックアップジョブの推定コストがリアルタイムで表示される。コストが特定のしきい値に達した直後にデータを自動で階層化するAIエンジンがあれば、このコスト見積もり機能はもっと優れたものになるだろう。Cloud Daddyによると、同社の計画にはそうした機能が含まれているという。
エンタープライズライセンスは、ユーザー数120、AWSアカウント数30、AWSインスタンス数200で月額749ドルだ。中規模企業向けには、ユーザー数40、AWSアカウント数10、AWSインスタンス数50で月額299ドルの料金プランを用意している。ベーシックライセンスは、ユーザー数20、AWSアカウント数5、AWSインスタンス数20で月額129ドルだ。
HiveIO
HiveIOによると、ハイパーコンバージェンスがハードウェアの役割である必要はないという。米ニュージャージー州ホーボーケンにある同社は、低コストのHCIを構築するために必要なものを全て提供する。ただし、ハードウェアは提供しない。同社の「Hive Fabric」はコモディティサーバをHCIクラスタに変える。
このソフトウェアのみによるアプローチはMaxtaに似ている。Maxtaはソフトウェア単独で、またはサーバ参照アーキテクチャとして、同社のHCIソフトウェアの使用を許諾している。HiveIOはこれまで、Arrow ElectronicsとSynnexとの間で再販契約を締結してきたが、参照アーキテクチャは公開していない。
HiveIOの名前は群理論(Swarm Theory)の概念に由来する。同社の「Hive Fabric」はAIベースのメッセージバスを利用して複数のHCIクラスタ全体でリソースを管理する。同社の創業は2015年だが、破綻したHCIベンダーAtlantis Computingの資産買収により、2018年から注目されるようになった。
Hive Fabricは、オープンソースの「Linux」の「Kernel-based Virtual Machine」(KVM)を基礎に置く。ただし、VMwareの「vSphere」とMicrosoftの「Hyper-V」をサポートする。
企業には、ハードウェアにバンドルされるソフトウェアには昔から偏見がある。既にVMwareの製品を使用しているのであれば、HiveIOではなくVMwareの「vSAN」を導入する方が良いのではないだろうか。「記憶域スペースダイレクト」を使ったHyper-Vを利用できるとしたら、HiveIOに切り替えなければならない理由はあるだろうか。こうした疑問を持つ企業に対してHiveIOが突破口を開くには、説得力のある反論を用意する必要がある。
JetStream Software
オンプレミスとパブリックプロバイダーの両方でホストされる複数のクラウドにデータを階層化することは、話の種だけに終わらず、さらに先へと進んでいる。JetStream Softwareは、特に大規模仮想化環境にとって、こうした傾向が多くの機会をもたらすと見ている。
JetStream Softwareの「Cross-Cloud Data Management Platform」スイートは、ローカルのデータセンターとハイブリッドクラウド環境に散在するデータを保護する。この製品は、レプリケーション、Disaster Recovery as a Service(DRaaS)、クラウド間でのワークロード移行を組み合わせる。
米カリフォルニア州サンノゼを拠点とするJetStream SoftwareでCEOを務めるトム・クリットサー氏、社長のリッチ・ピーターソン氏、最高技術責任者(CTO)のサージ・シャット氏の3人は、ストレージスタートアップ企業をよく理解している。この3人はSanDiskによって買収されたフラッシュキャッシュベンダーFlashSoftの関係者だった。その買収元のSanDiskも、本稿執筆時点ではWestern Digitalの一部になっている。JetStream Softwareのテクノロジーは、同社がVMwareと共同開発した特殊なvSphere I/Oフィルタリングテクノロジーを中心にしている。
Cross-Cloud Data Management Platformには、同社の「Jetstream Accelerate」「JetStream Data Protection」「JetStream Migrate」が含まれている。
JetStream Accelerateは、大手企業向けに効率性とパフォーマンススケーリングを強化するように設計されており、I/Oを削減して不揮発性メモリ層にデータを書き込む。
Jetstream Data Protectionは、クラウドベースオブジェクトストア、NFS、仮想マシンに絶えずデータをレプリケートすることで、ビジネス継続性とDRaaSを実現する。
JetStream Migrateは仮想ディスクとVMの間のI/Oフィルターとして実行される。物理データセンターとクラウド間でのVMのライブ移行に伴うオーバーヘッドを減らすことが目標だ。
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