病院のBYODで想定すべきリスクと対策
「電子カルテを私物スマホで見たい」を安全にかなえる方法は?
医療機関は患者情報などの機密データを扱うため、セキュリティ対策とデータ保護は特に重要だ。医療機関で私物端末の業務利用(BYOD)が一般的になると状況は複雑になる。最低限どのような対策が必要か。
「モバイルデバイスはデスクトップPCよりも安全である」という神話は正しくない。医療の現場で使うモバイルデバイスのセキュリティを維持するには、保護状態を維持する方法をユーザーに思い出させるためのさまざまな取り組みをする必要がある。
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医療現場における、セキュリティと利便性のトレードオフ
医療機関のIT部門にとって、医師が保有する個人デバイスの保護と管理は難しい。IT部門は通常、個人のデバイスでは個人のコンテンツに干渉する可能性があるツールの使用を強制できないからだ。医師が電子カルテなど病院のシステムにある患者のデータにアクセスするために個人用デバイスを使用している場合、そのデバイスを紛失するとデータセキュリティの懸念につながる。権限のないユーザーがデータにアクセスすると、米国ではHIPAA(米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)の違反に直結するからだ。
スマートフォンは、コミュニケーションからショッピング、仕事関連のコンテンツへのアクセスまで幅広い目的で使用されるようになり、必須のアイテムになった。医療機関で働くモバイルユーザーは、病院や診療所で通話中あるいは巡回中であっても、迅速かつ容易に医療記録にアクセスできる。
モバイルデバイスで医療データを安全に利用できるようにする方法
機密性の高い医療データにアクセスする医療従事者の間で、モバイルデバイスのセキュリティを確保するには、私物端末の業務利用(BYOD)に関する特別なセキュリティポリシーを策定する必要がある。どのようなデバイスやセキュリティ製品も完璧ではない。Appleの「iOS」では2019年に少なくとも156件の脆弱(ぜいじゃく)性が報告されている。
攻撃者はモバイルデバイスの脆弱性を利用して悪意のあるコードを実行し、標的のデバイスを制御しようとする。モバイルデバイスが攻撃されると以下のような問題がすぐに発生する可能性がある。医療におけるモバイルデバイスのセキュリティ侵害だ。
- 電子カルテなど病院のシステムに関連するクレデンシャル(IDやパスワードなど認証に必要な資格情報)の盗難
- モバイルデバイスの外部ストレージ内に保存された業務関連ファイルの暗号化
- 患者と医師の個人的な会話の盗聴
- 従業員のモバイルデバイスでテキストメッセージとして共有される個人情報の漏えい
- GPS(全地球測位システム)位置情報の収集
このような現実に直面し、IT部門はモバイルデバイスをデータ侵害から保護するための取り組みを続けている。モバイルデバイスの保護に役立つ以下の重要な推奨事項について、モバイルワーカーを教育することが重要だ。
- ベンダーから入手可能な最新のファームウェアで、モバイルデバイスを常に最新の状態にしておくこと
- デバイスメーカーが推奨するアプリケーションストアからのみアプリケーションをインストールすること
- モバイルデバイスを「Jailbreak(脱獄)」「root化」しないこと
- アプリケーションへの支払いを免れるための「アプリケーションの横流し」をしないこと
- ウイルス対策ソフトウェアを必ずインストールすること
- 必ずパスコードを使用してデバイスをロックすること
IT部門が潜在的な感染や侵害を完全に阻止するには、セキュリティの認識と教育だけでは不十分だが、まずはここから始める必要がある。多要素認証、高度なネットワーク脅威検出、アプリケーションのコンテナ化などの他のテクノロジーは全て、感染したモバイルデバイスが環境に与えるダメージを最小限に抑えるのに効果がある。
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