「Windows Virtual Desktop」の弱点とは【後編】
「Windows Virtual Desktop」の管理機能が持つ4つの制約
「Windows Virtual Desktop」は、管理面ではまだ完成度が足りない。本稿で取り上げる4つの機能は、CitrixやVMwareの製品ほど強力ではない。
MicrosoftはDaaS(Desktop as a Service)の「Windows Virtual Desktop」(WVD)をシンプルなアーキテクチャにすることを目指している。ユーザー企業が管理すべき対象を仮想デスクトップと仮想アプリケーションのみに絞り、それらの仕組みを支えるクラウドサービス群「Microsoft Azure」のコンポーネントを管理しないで済むようにすることを目指した。ただしWVDは競合サービスと比べて、幾つかの機能が不十分だ。前編「Microsoft純正DaaS『Windows Virtual Desktop』はどう進化する? 課題は?」に続く本稿は、WVDの管理機能が持つ制約を具体的に説明する。
目次
- 制約1.イメージファイルの更新機能
- 制約2.自動スケーリング機能(会員限定)
- 制約3.管理機能(会員限定)
- 制約4.ユーザーエクスペリエンス(会員限定)
併せて読みたいお薦め記事
「Windows Virtual Desktop」についてもっと詳しく
- Windows Virtual Desktopで実現できる「マルチユーザー版Windows 10」とは?
- Windows Virtual Desktopでも心配な「印刷問題」とは? その回避策を紹介
- Windows 7は「Windows Virtual Desktop」で延命可能 その利点と“代償”とは?
「DaaS」についてもっと詳しく
制約1.イメージファイルの更新機能
WVDはCitrix SystemsやVMwareのデスクトップ仮想化製品とは異なり、仮想デスクトップや仮想アプリケーションのイメージファイル更新する簡単な方法を標準では提供していない。IT担当者はAzureのサービスを使って、このような更新機能をエンドユーザーに提供できるが、それはWVDの機能からは外れている。IT担当者は、Azureのリソース管理機能「Azure Resource Manager テンプレート」や仮想マシン(VM)の自動スケーリングサービス「Virtual Machine Scale Sets」などの機能やサービスを組み合わせて利用しなければならない。
小規模なDaaS環境では、イメージファイルの更新機能はあまり問題にならない可能性がある。ただし大規模な環境や、IT担当者が多くの種類のイメージファイルを扱わなければならない環境では、必要な機能の一つだ。
制約2.自動スケーリング機能
WVDはAzureベースのクラウドサービスだ。そのため主要機能の一つとして、VMの自動スケーリングやプロビジョニング(配備)機能が期待できる。だがMicrosoftはこれらの機能をまだ提供していない。同社はIT担当者が利用できるガイダンスとスクリプトを作成したものの、自動スケーリングには、スクリプトを実行するためのVMが追加で1台必要になる。
AzureのVMは秒単位で課金するサービスのため、業務時間外にインスタンスをスケールダウンし、必要に応じてスケールアップできる機能が、WVDの主要機能群に含まれるべきだ。事実、VMwareやCitrixのDaaSはこうした機能を提供している。
制約3.管理機能
現状では、WVDのセッション(仮想デスクトップや仮想アプリケーションに接続した状態)を制御したり、エンドユーザーを補助したりできる管理機能は限られている。例えばデスクトップ仮想化製品やアプリケーション仮想化製品の管理機能であるCitrixの「Citrix Director」やVMwareの「Horizon Help Desk Tool」は、ヘルプデスク機能を用意している。
Microsoftは現時点では、コマンドラインインタフェース(CLI)「PowerShell」用のコマンド(コマンドレット)として、ある程度のWVDセッションの制御が可能なコマンドレットを提供している。IT担当者がアドオンとしてインストールできる管理用ユーザーインタフェース(UI)も構築している。ただしIT担当者が管理用UIを利用するには、これをインストールするだけでなく、新しくリソースを割り当てる必要がある。
制約4.ユーザーエクスペリエンス
WVDが提供する仮想デスクトップや仮想アプリケーションの全てのエンドユーザートラフィックは、Azureを経由する。これは仮想デスクトップを通してやりとりするデータが、必ずWVDの管理用コンポ―ネント(コントロールプレーン)があるAzureのリージョン(データセンター)に送られることも意味する。
WVDのコントロールプレーンは現在、6つの地域のAzureリージョンでのみ使用できる。その他のリージョンで仮想デスクトップをホストした場合は通信の遅延が発生する可能性があり、ユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザー経験価値)を制限することになる。
DaaS/クラウドホスト型VDIに関するミニアンケート
お勤め先で導入するIT製品/サービスの選定に携わる方を対象に、ベンダーが仮想デスクトップをサービスとして提供する「DaaS」(サービスとしてのデスクトップ)や、ユーザー企業がクラウドに仮想デスクトップインフラ(VDI)をホスティングする「クラウドホスト型VDI」に関してお伺いいたします。
※本アンケートでお答えいただいた情報は、記事やレポートなどに使わせていただく場合があります。
※下にアンケートフォームが表示されない場合は、以下のリンクからアクセスしてください。
- DaaS/クラウドホスト型VDIに関するミニアンケート(SurveyMonkey)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「Windows Virtual Desktop」の弱点とは
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー