「COVID-19」で変わるデバイス管理【後編】
新型コロナで広がる“私物端末で在宅勤務”に「ゼロトラスト」が必要な理由
テレワークを迅速に導入するには従業員の私物デバイスの利用を認めることが選択肢の一つになる。ただしその際は十分なセキュリティ対策が必要だ。どのような点に注意すればよいのだろうか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡散する今、企業が抱える課題は従業員が利用するテレワーク用のデバイスを迅速に用意することだ。これへの対処として、私物デバイスの業務利用(BYOD)を許可する企業もある。これは従業員に幅広い選択肢を持たせる決断ではありつつも、セキュリティを脅かす決断でもある。
「ゼロトラスト」に基づく私物デバイス管理の中身
近年は従業員が性能の高い私物のPCを所有することは珍しくなくなった。だがそうした個人所有のデバイスの利用を認めて生産性を高めようとすれば、大きなセキュリティリスクを生じさせる。通信機器ベンダーBlackBerryのアレックス・ウィリス氏は「組織が業務利用のデバイスを管理することができなければ、セキュリティを真にコントロールすることはできない」と指摘する。
モバイルデバイスの観点でも同様のリスクを懸念する声がある。Apple製デバイスの管理機能をクラウドサービスとして提供するAddigyの創業者兼CEO(最高経営責任者)、ジェイソン・デットバーン氏によると、Appleはデバイスの製造をCOVID-19が拡大した中国に依存していることから、企業向けに十分なデバイスを供給できなくなりつつある。従ってモバイルデバイスの選択肢は「従業員の手持ちのデバイスに頼らければならない場合もある」(デットバーン氏)。
BYODに使えるApple製デバイスを既に所有している従業員は少なくない。「Windows」デバイスを中心に導入していた組織も、テレワークで従業員に働いてもらうためには「Apple製デバイスの管理にも対処しなければならない可能性がある」とデットバーン氏は語る。
企業が従業員の私物デバイスに依存しなければならない状況の中で、セキュリティ面の不安を和らげるために利用できるのが、エンドユーザーの行動とデバイスを継続的に検証する「ゼロトラストセキュリティ」だ。従業員が利用するあらゆるデバイスを監視するゼロトラストセキュリティの戦略を導入すれば、重要な業務アプリケーションとデータを防御する態勢を強められる。調査会社Forrester Researchでアナリストを務めるクリストファー・シャーマン氏は、これによって「従業員の自宅におけるネットワークの安全性に対する不安を軽減し、ゆとりを生じさせられるだろう」と語る。
ゼロトラストセキュリティは、ファイアウォールの外側にいる相手は一切信用せず、内側にいれば全員が安全と見なす「籠城式」のセキュリティとは考え方が異なる。ゼロトラストセキュリティでは、デバイスがアプリケーションとどのようなやりとりをしているのか、どのネットワークに接続しているのかといったあらゆるプロセスを逐一認証する。こうした手順をエンドユーザーは把握する必要はない。「相手がネットワークの内側にいるか外側にいるかは問題にしない。誰もが信頼できない相手とみなすのがゼロトラストセキュリティだ」とウィリス氏は解説する。
不審な挙動を検知すれば、ゼロトラストトラストの考え方に基づく管理製品は再認証を要求する。この際、従業員が通常通りに仕事をこなすことを妨げる面倒な作業は生じない。
デバイス管理の実践
BlackBerryやAddigyはCOVID-19が拡大する間、期間限定で一部の製品を無償で利用できるようにしている。「何がどうなるのか誰にもはっきり分からない中で、IT管理者は予算の制約や支出凍結で手足を縛られた状態にある」と、デットバーン氏は指摘。もし通常通りの決済の基準を維持するのであれば「恐らくテレワークの環境整備は実現しないだろう」と、同氏は製品無償化の背景を説明する。
「適切なパッチ管理と設定管理、確実なエンドポイントセキュリティ対策こそが、テレワーク用のデバイスを守るための最善の対策だ」とシャーマン氏は語る。実際、こうした目的を達するために、主要な「統合エンドポイント管理」(UEM)製品はデバイスの管理とセキュリティ機能を組み合わせて提供している。
ウィリス氏によれば、適切なテレワークの計画を迅速に立てたいならば、デバイス管理の重要性を認識しておくべきだ。「テレワークで重要なのはネットワークによる接続だと考えがちだが、真の最終目標はセキュアな接続でなければならない」と同氏は説明する。
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