クラウドや私物端末の利用が広がり、ネットワークの境界が崩壊しつつある。こうした中、重要性が高まっているのが「ゼロトラスト」に基づくネットワークセキュリティの実現だ。その主要な5つの理由を解説する。
「ゼロトラスト」は、単なるセキュリティ分野のバズワード(流行語)のように思えるかもしれない。だがゼロトラストアプローチをネットワークセキュリティに取り入れる動きは、企業の間で着実に広がっている。
インターネットの草創期、ネットワークセキュリティの専門家は、ネットワークの防御を表現する言葉として中世の用語を取り入れた。「要塞(ようさい)ホスト」(bastion host:踏み台ホスト)や「境界」「ファイアウォール」「ゲートウェイ」は、どれもネットワークの防御に関係する用語だ。当時のネットワークインフラはシンプルだったため、企業はホストを「社内にある信頼できるもの」と「社外にある信頼できないもの」の2種類に分類できた。
しかし世界は変わった。昔は、社内にいるユーザーは「信頼された従業員」、社外から企業のリソースにアクセスするユーザーは「信頼できない人」と見なされていた。現在、リソースへのアクセスは社内外の両方から可能になり、そのユーザーも多岐にわたるようになった。従業員や消費者、下請け業者、ベンダーなど、信頼できる第三者と信頼できない第三者が存在する。加えてBYOD(私物端末の業務利用)やパブリッククラウドサービス、リモートワークの普及により、ネットワークアクセスの安全性はファイアウォールなどのセキュリティゲートウェイに任せておけなくなったのが実情だ。
ネットワークセキュリティが複雑になる中、この状況に対処すべく、調査会社Forrester Researchのアナリストが2009年に発案したのが、何も信頼しないことを基本とするセキュリティ概念「ゼロトラスト」だ。Googleがゼロトラストに基づくセキュリティのフレームワーク(方法論)「BeyondCorp」を提唱し、自社で採用したことにより、この考え方が人々の間に広まった。
ゼロトラストに基づくネットワークセキュリティ対策を導入する動きが広がっている理由は、次の通りだ。
企業がファイアウォールと要塞化したネットワークの内側に、全てのデジタル資産を配置しても、安全とはいえない。承認済みのユーザーや攻撃者は、ダイヤルアップ接続とファイアウォールの例外を使用して境界保護を回避できる。企業はクラウドサービスやBYODといった手段を導入し、従業員や顧客、下請け業者、ベンダーなど信頼できる第三者が、社内LANのリソースにアクセスできるようにしている。この動きは勢いを強めており、課題は増すばかりだ。ゼロトラストアプローチを導入すると、アクセス権の状態をフラットにできるため、企業はより安全にアクセスを許可できるようになる。
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