ネットワークをシンプルにする方法
「作った人でさえ理解できない設計」がネットワークを複雑にする
ネットワークの設計に見当外れの機能を盛り込んでいないだろうか。全体像をしっかりと把握できなくなっていないだろうか。もしそうだとしたら、複雑さという落とし穴にはまっている可能性がある。
情報システムは複雑になっている。ネットワーク、アプリケーション、データベース、ストレージシステムなど、あらゆる面で複雑化が進んでいる。その一端を担っているのが人だ。
人はさまざまな理由から、シンプルな解決策よりも複雑な解決策を好む傾向がある。多くの人が複雑な解決策を好むと、時間がたつにつれてその影響が積み重なる。やがて複雑さという落とし穴にはまるまで、この傾向が変わることはない。
複雑さという落とし穴にはまろうとしているかどうかを判断するには、どうすればよいだろうか。この問いに明確な答えはない。ただし注意すべき具体的な兆候は幾つかある。
機能を詰め込み過ぎるべからず
1つ目の兆候は次のように訪れる。あなたが少し前に書き上げたネットワークの設計を見直してみよう。全てのコンポーネントを体系的に見るのだ。一部の小さな要素は理解できても設計全体を把握できないとすれば、頭の中で設計全体をまとめて考えることができなくなっている可能性がある。こうした状態で生まれた設計では、導入やトラブルシューティング、管理の担当者も、その設計を基に現実のネットワークを構築することは難しいだろう。
2つ目の兆候は機能の増殖だ。設計時でも導入時でも、何かを追加したことで生じた問題を解決するために、機能やプロトコル、マニアックな仕組み、新たな仕掛けを加えることがある。このことが、複雑さという落とし穴へと向かう道への第一歩となる。ビーバーが作るダムの木々のように、「わずかな漏れも許さぬ」とばかりに機能を積み上げているとしたら、そのネットワーク設計は危うい状況になっている。そのまま突き進めば思考は硬直化し、やがて不具合が生じる可能性が高まる。
3つ目の兆候は、誰一人理解できそうにない難解な機能を使用する事態に陥っていることだ。追加した機能の運用方法さえ分からないとしたら、もうどうしようもない。動作を理解するためにマニュアルを読み、ネットワーク内でその機能を構成した理由を理解するためにメモを見る――。こうしたことを何度も繰り返すようになったら、恐らく複雑さという落とし穴に近づいている。
ネットワーク設計のトレードオフを探る
落とし穴に近づいている兆候を見つけた際、設計中のネットワークに対してできることはあるだろうか。まず大規模なネットワークでの複雑さの概念を理解することだ。その上で複数の要素間で厳密なトレードオフを考慮し、見直すべき対象を明らかにする。ほとんどのネットワークでは、速度、品質、コストのトレードオフに向き合うことになる。
複雑さについて体系的かつ広く理解したら、それを最適化する目的と理由を自らに問い掛ける。この問い掛けを通じて、ビジネスの問題点を振り返る。繰り返すが、振り返るのはビジネスの要件ではなく、問題点だ。その後、最適化する対象とその理由を再考する。
情報システム、特にネットワークでは、複雑さという落とし穴が実に多く見られる。全てのIT担当者がシステムの複雑さのレベルを診断するスキルと、システムをシンプルにするスキルを学ぶ必要がある。
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