プライベートクラウドへの移行計画の立て方【後編】
「プライベートクラウド」移行を経営陣に納得させるためにやるべきこと
プライベートクラウドへの移行を実行に移すためには、経営陣の承認を取り付ける必要がある。IT担当者は何をすればよいのか。
ITインフラの総保有コスト(TCO)の最適化やスケーラビリティとアジリティの向上のために、特定のユーザー企業専用のクラウドである「プライベートクラウド」を構築し、アプリケーションを移行させる企業は少なくない。しかし「プライベートクラウドへの移行をコスト削減のための取り組みだと見るべきではない」と、ITコンサルティング会社Protivitiでマネージングディレクターを務めるサミール・ダット氏は警告する。プライベートクラウドにアプリケーションを移行するときに、短期的なコストを増大させる幾つかの要因があるからだ。前編「『プライベートクラウド』への移行に失敗しないためにまず何をすべきか」に続く本稿は、IT担当者がプライベートクラウドへの移行計画を立案するときのポイントを説明する。
プライベートクラウド移行を経営陣に納得させるための準備事項
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「プライベートクラウドに対する先行投資コストがたとえ高くなったとしても、プライベートクラウドへの移行はデジタル活用のための一歩になる」。こうした考え方を経営陣が取り入れない限り、企業はプライベートクラウドの全てのメリットを得ることはできない。
インフラのスケールアウトやDevOps(開発と運用の融合)の実現、プログラムでITインフラの管理を効率化する手法「Infrastructure as Code」(IaC)の採用、コンテナの導入――。こうした取り組みを検討している場合「パブリッククラウドよりもプライベートクラウドの方がこうした仕組みをより効率的に導入できる可能性がある」と、ITコンサルティング会社Maven Wave Partnersでプリンシパルを務めるマイク・ロンバード氏は話す。
プライベートクラウドへの移行を検討したとしても、一般的にはIT担当者が最終決定権を持つわけではない。その場合、決定は経営陣が下すことになる。ただしIT担当者は、意思決定者に最善の方法を提案することはできる。例えばIT担当者はプライベートクラウドを構築する製品・サービス選定のための詳しい調査の際に、自社の技術的な条件や業務内容に基づいた助言ができる。
IT担当者はプライベートクラウドへの移行計画を立案するときに、バックアップの方法を決める必要がある。バックアップには多くの手法がある。まずは障害発生時からさかのぼって、いつの時点の状態に戻すのかを示す「目標復旧時点」(RPO)と、障害発生からいつまでに復旧させるかを示す「目標復旧時間」(RTO)を決めるのがよい。その後、これらの目標を実現する最善のバックアップ方法を判断する。
調査会社IDCでアナリストを務めるシュリラーム・スブラマニアン氏によると、実際にプライベートクラウドにアプリケーションを移行するときに、どの程度の時間がかかるかは、アプリケーションの性質と社内のIT担当者が持つ専門知識の程度によって変わる。IT担当者は、アプリケーションをまとめてパッケージ化し、構成に必要最小限の変更だけを加えてアプリケーションを移行する「リフト」か、ソースコードを移行先のインフラに適した形に改善して移行する「リファクタリング」を選ぶことができる。
クラウドでの運用を前提とした「クラウドネイティブ」なアーキテクチャや、複数のコンポーネントによる分散アーキテクチャのアプリケーションを構築する際は、アプリケーションのリファクタリングが必要だ。この場合は、ソースコードを全面的に書き換えるため、移行にかかる時間は長くなる。リファクタリングの工程にかかる時間を短縮するために、専用の自動化ツールを使うべきだとスブラマニアン氏は提案する。
IT担当者は、利用可能な技術を慎重に検討し、組織やチームに必要な技術を確実に選んでから、プライベートクラウド移行の適切な手順を策定することが重要だ。
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